マイノリティーの声(VOM)


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国 連 基 準5455
「世界と日本」データベースプロジェクト 日本政治と国際関係のデータベース 東京大学東洋文化研究所
https://worldjpn.net/documents/texts/SDGs/19861204.D1E.html
「世界と日本」データベース
https://worldjpn.net/documents/indices/mt/index.html
「世界と日本」データベース https://worldjpn.net/front.shtml
  国連とゴルバチョフさん 273
T 1948年 世界人権宣言 371
U 1965年 人種差別撤廃条約 560
V 1966年 国際人権規約・社会権規約・A規約 937
W 1966年 国際人権規約・自由権規約・B規約 1282 20条ヘイトクライム禁止  人権教科書
X 1984年 拷問禁止条約 2016 人権条約と人権理事会
  1986年 発展の権利に関する宣言3156
Y 1989年 ILO169号条約 2678
追加1992年 マイノリティーの権利宣言3161
Z 1993年 ウイーン宣言 3180
[ 1997年 先住民の権利に関する一般的勧告23 3622 (英文)
\ 2001年 ダーバン宣言と行動計画 3695
] 2006年 障害者権利条約 4032 2020.9.30掲載
11 2007年 先住民族権利宣言 4989  14条  28条 「先住民族と法」5016   (英文 先住民族権利宣言)
12 2014年 先住民族世界会議成果文書 5440

▼先住民族をめぐる国連の流れ:
1957年(ILO 107号)→
1971年国連人権委員会、ホセ・マルチネス・コーボ(エクアドルの人権専門家) を特別報告者に任命。「先住民に対する差別問題の研究」→
1972年に予備報告書提出→1989年(ILO 169号)→
1993年ウイーン宣言→
1997年一般的勧告23 →
2001年ダーバン宣言→
2007年先住民族権利宣言→
2014年先住民族世界会議
▼実質的には1971年のコーボ特別報告者の任命がスタートと考えていいと思います。今日まで約50年。歴史上はじめて先住民族が自分たちの 権利を主張できる環境が整ったというところだとおもいます。わたしも一緒に行動します。(2020.5.11)
※次の解説は国連広報センターのHPです。
「国際連合(United Nations:連合国)」という名称は、 第二次世界大戦中にアメリカのフランクリン・D・ルーズベルト大統領が考え出したものであった。 その言葉が最初に使われたのは、26カ国政府の代表が枢軸国に対して共に戦うと誓った 1942年1月1日の「連合国宣言(Declaration by United Nations)」の中であった。
中国、ソビエト連邦、イギリス、アメリカの代表が 1944年にワシントンD.C. に集まって行った審議に続き、 翌年の1945年、50カ国の代表が 「国際機関に関する連合国会議(United Nations Conference on International Organization)」 に出席するためにサンフランシスコに集まった。 会議では「戦争の惨害」を終わらせるとの強い決意のもとに国連憲章(Charter of the United Nations) が起草され、1945年6月26日に署名された。
▼国連の創設そのものがアメリカ主導のもとに進んでいる。 現在アメリカは国連軽視の方向だが考え直しする必要があるのではないか。(2020.10.4)
国連憲章前文
われら連合国の人民は、
われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、
基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念をあらためて確認し、
正義と条約その他の国際法の源泉から生ずる義務の尊重とを維持することができる条件を確立し、
一層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを促進すること並びに、このために、
寛容を実行し、且つ、善良な隣人として互いに平和に生活し、
国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせ、
共同の利益の場合を除く外は武力を用いないことを原則の受諾と方法の設定によって確保し、
すべての人民の経済的及び社会的発達を促進するために国際機構を用いることを決意して、
これらの目的を達成するために、われらの努力を結集することに決定した。
よって、われらの各自の政府は、サン・フランシスコ市に会合し、 全権委任状を示してそれが良好妥当であると認められた代表者を通じて、 この国際連合憲章に同意したので、ここに国際連合という国際機構を設ける。
▼あらためて読んでみる。崇高な理念。少しでも近づけるように動きたい。(2020.5.6)
▼「国連基準」を作成していますが、条文解釈はことあるごとにこの前文に立ち返ることが大事だとおもいます。(2020.5.11)
▼憲章の中で第10章「経済社会理事会」が人権問題に直接かかわる理事会とわかりましたので条文を掲載します。(2020.10.4)
民族自決権について
英文憲章 https://www1.doshisha.ac.jp/~karai/intlaw/docs/unch-je.pdf
国連憲章
第9章 経済的及び社会的国際協力
INTERNATIONAL ECONOMIC AND SOCIAL CO-OPERATION
第55条〔目的〕
Article 55
人民の同権及び自決の原則の尊重に基礎をおく諸国間の平和的且つ友好的関係に必要な安定及び 福祉の条件を創造するために、国際連合は、次のことを促進しなければならない。
With a view to the creation of conditions of stability and well-being which are necessary for peaceful and friendly relations among nations based on respect for the principle of equal rights and self-determination of peoples, the United Nations shall promote:
a 一層高い生活水準、完全雇用並びに経済的及び社会的の進歩及び発展の条件
a. higher standards of living, full employment, and conditions of economic and social progress and development;
b 経済的、社会的及び保健的国際問題と関係国際問題の解決並びに文化的及び教育的国際協力
b. solutions of international economic, social, health, and related problems; and international cultural and educational co-operation; and
c 人種、性、言語又は宗教による差別のないすべての者のための人権及び基本的自由の普遍的な 尊重及び遵守
c. universal respect for, and observance of, human rights and fundamental freedoms for all without distinction as to race, sex, language, or religion.
植民地独立付与宣言 https://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/mt/19601214.D1J.html
あらゆる形態および表現の植民地主義を速やかかつ無条件に終わらせる必要があることを厳粛に表明する。そして、この目的のために以下を宣言する。
2.〔自決権〕すべての人民は自決の権利を有し、この権利によって、その政治的地位を自由に決定し、その経済的、 社会的及び文化的発展を自由に追求する。

宣言から規約へ
(A規約) 第一条 1 すべての人民は、自決の権利を有する。この権利に基づき、すべての人民は、 その政治的地位を自由に決定し並びにその経済的、 社会的及び文化的発展を自由に追求する。
(B規約) 第一条 1 すべての人民は、自決の権利を有する。この権利に基づき、すべての人民は、 その政治的地位を自由に決定し並びにその経済的、 社会的及び文化的発展を自由に追求する。
▼「アイヌ語が国会に響く」常本論文を読んで確認のためテキストに返る。(2021.1.29)

第10章 経済社会理事会
第61条
1.経済社会理事会は、総会によって選挙される54の国際連合加盟国で構成する。
2.3の規定を留保して、経済社会理事会の18理事国は、3年の任期で毎年選挙される。退任理事国は、引き続いて再選される資格がある。
3.経済社会理事会の理事国の定数が27から54に増加された後の第1回の選挙では、 その年の終わりに任期が終了する9理事国に代って選挙される理事国に加えて、更に27理事国が選挙される。 このようにして選挙された追加の27理事国のうち、総会の定めるところに従って、 9理事国の任期は1年の終りに、他の9理事国の任期は2年の終りに終了する。
4.経済社会理事会の各理事国は、1人の代表者を有する。
第62条
1.経済社会理事会は、経済的、社会的、文化的、教育的及び保健的国際事項並びに関係国際事項に関する研究及び報告を行い、 または発議し、並びにこれらの事項に関して総会、国際連合加盟国及び関係専門機関に勧告をすることができる(may make or initiate)。
2.理事会は、すべての者のための人権及び基本的自由の尊重及び遵守を助長するために、勧告をすることができる。
3.理事会は、その権限に属する事項について、総会に提出するための条約案を作成することができる。
4.理事会は、国際連合の定める規則に従って、その権限に属する事項について国際会議を招集することができる。
第63条
1.経済社会理事会は、第57条に掲げる機関のいずれとの間にも、その機関が国際連合と連携関係をもたされるについての 条件を定める協定を締結することができる。この協定は、総会の承認を受けなければならない。
2.理事会は、専門機関との協議及び専門機関に対する勧告並びに総会及び国際連合加盟国に対する勧告によって、 専門機関の活動を調整することができる。
第64条
1.経済社会理事会は、専門機関から定期報告を受けるために、適当な措置をとることができる。 理事会は、理事会の勧告と理事会の権限に属する事項に関する総会の勧告とを実施するためにとられた措置について報告を受けるため、 国際連合加盟国及び専門機関と取極を行うことができる。
2.理事会は、前記の報告に関するその意見を総会に通報することができる。
第65条
経済社会理事会は、安全保障理事会に情報を提供することができる。経済社会理事会は、 また、安全保障理事会の要請があったときは、これを援助しなければならない。
第66条
1.経済社会理事会は、総会の勧告の履行に関して、自己の権限に属する任務を遂行しなければならない。
2.理事会は、国際連合加盟国の要請があったとき、又は専門機関の要請があったときは、総会の承認を得て役務を提供することができる。
3.理事会は、この憲章の他の箇所に定められ、または総会によって自己に与えられるその他の任務を遂行しなければならない。

ゴルバチョフさん 「BURAKU」の頁にもゴルバチョフさんの記事があります。そちらへも飛んでください。2020.7.30朝日新聞出版から出版されました 『ミハイル・ゴルバチョフ』は素晴らしいです。
国連とゴルバチョフ
▼昨日、国連の存在意義そのものについての素晴らしい文書を見つけました。 私がペレストロイカ時代から抱いていたイメージの文書です。当時は読んでいませんでしたが国連中心にこれからの世界は動いていく必要があると感じていたことを裏付ける文書に30年後に出会いました。 感慨深いです。(2020.11.13)
「世界政治」1989年1月(780号) 1988年12月7日 ゴルバチョフ書記長の国連演説
▲2020.11.12国会図書館からコピーの提供を調布図書館経由で受ける。ペレストロイカの始まった1988年で「われわれの理想は、法に従う法治国家の 世界共同体である」と宣言している。ゴルバチョフ書記長はその通り行動した。(2021.8.9)
国連演説のゴルバチョフさん 電子書籍「KarlenGorbachev, Mikhail Sergeyevich. Mikhail Gorbachev - Essential Thoughts: Learning from the man who changed the world (p.1). Wisdom-Light Publications. Kindle 版.
「ミハイル・ゴルバチョフ」48ページ
1988年12月7日の第43回国連総会におけるミハイル・ゴルバチョフの演説から
「平和と安全のための普遍的な国際センターとなりうる能力をますます発揮している国際連合に敬意を表するためにここに来た。人類の集団的英知と 意思を汲み上げることのできるこの組織の権威に敬意を表すためにここに来た。 我が国で起こっている革命的ペレストロイカを伝えわれわれの新しい重要な決定について最初にこの組織に知らせるためにここにいるのである。」
▼以下国連に深くかかわる内容について抜粋します。
「国連のような、それなくして世界政治はもはや考えられないユニークな機関」
「包括的安全保障の構想は、国連憲章にもとづくものであり、国際法は すべての国家にたいして拘束力をもつという立場から出ている」
「われわれの理想は、それぞれの対外活動においても法に従う法治国家の 世界共同体である」
「すべての中心に人間が、その関心事が、権利と自由が置かれる時に初めて、国際交流は諸国民の真の利益を反映するものとなり、 全般的安全保障の事業に確実に奉仕するものとなる。この文脈の中で私は、40年前の1948年12月10日に採択された普遍的な人権宣言を高く評価する声に、 わが国の声を合流させたい。この文書は今日も重要性を保っている。この中にも国連の目的と課題の普遍的性格が反映されたのである。」 (2020.11.22)
▼著書『ミハイル・ゴルバチョフ』からも引用する必要があります。いずれ。(2020.11.30)
「ペルシャ湾での出来事(1990年8月2日のサダム・フセインの侵略行為)は、地域的な危機に対する超大国の振る舞いの分岐点となった。 すなわち、超大国同士が初めて意見を一致させたのである。 我々は即座に侵略行為を断固非難し、クエートからの侵略部隊の無条件撤退と、クウェートの主権回復を要求した。 厳しい経済制裁を含め、しかるべき 国連安保理決議は、我々の積極的な参加によって採択された。」(193p)
▼米ソが協力すれば国連安保理が機能するというお手本・前例。 安保理に絶望するのではなく条件が整えば機能する。現在では米・中・ロの協力。(2020.12.1)
Wikipedia: 国連安保理決議660は、湾岸戦争に関する決議で、決議採択当日の8月2日に行われたイラクのクウェート侵攻を非難し、 同国に即時の無条件撤退を求めるもの。決議は賛成14:反対0:棄権1(イエメンは退席)で採択された。

T 世界人権宣言Universal Declaration of Human Rights※1948年12月10日、国連総会で採択 全30条

前文
人類社会のすべての構成員(all members of the human family) の固有の尊厳(dignity:high repute;honor)と平等で譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由、正義及び平和の基礎であるので、
人権の無視及び軽侮が、人類の良心を踏みにじった野蛮行為をもたらし、言論及び信仰の自由が受けられ、恐怖及び欠乏のない世界の到来が、一般の人々の最高の願望として宣言されたので、
人間が専制と圧迫とに対する最後の手段として反逆(rebellion:armed resistance)に訴えることがないようにするためには、法の支配によって人権を保護することが肝要であるので、
諸国間の友好関係の発展を促進することが、肝要であるので、
国際連合の諸国民(the peoples of the United Nations) は、国際連合憲章において、基本的人権、人間の尊厳及び価値並びに 男女の同権についての信念を再確認し、かつ、一層大きな自由のうちで社会的進歩と生活水準の向上とを促進することを決意したので、
加盟国(Member States )は、国際連合と協力して、人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守の促進を達成することを誓約したので、
これらの権利及び自由に対する共通の理解は、この誓約を完全にするためにもっとも重要であるので、
よって、ここに、国際連合総会は、 社会の各個人及び各機関が、この世界人権宣言を常に念頭に置きながら、加盟国自身の人民の間にも、また、 加盟国の管轄下にある地域の人民の間にも、これらの権利と自由との尊重を指導及び教育によって促進すること並びにそれらの普遍的かつ効果的な承認と遵守とを国内的及び国際的な漸進的措置によって確保することに努力するように、すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の規準として、 この世界人権宣言(Universal Declaration of Human Rights)を公布する。

第 1条 すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は理性と良心
とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。
第 2条
1. すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、 門地その他の地位(national or social origin, property, birth or other status)又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる。
2. さらに、個人の属する国又は地域が独立国であると、信託統治地域であると、非自治地域であると、 又は他のなんらかの主権制限の下にあるとを問わず、その国又は地域の政治上、管轄上又は国際上の地位に基づくいかなる差別もしてはならない。
第 3条 すべて人は、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有する。
第 4条 何人も、奴隷にされ、又は苦役(slavery or servitude)に服することはない。奴隷制度及び奴隷売買は、いかなる形においても禁止する。
第 5条 何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは屈辱的な取扱若しくは刑罰を受けることはない。
第 6条 すべて人は、いかなる場所においても、法の下において、人として認められる権利を有する。

須賀野チイ

第 7条 すべての人は、法の下において平等であり、また、いかなる差別もなしに法の平等な保護を受ける権利を有する。 すべての人は、この宣言に違反するいかなる差別に対しても、また、そのような差別をそそのかすいかなる行為に対しても、 平等な保護を受ける権利を有する。
第 8条 すべて人は、憲法又は法律によって与えられた基本的権利を侵害する行為に対し、 権限を有する国内裁判所による効果的な救済を受ける権利を有する。
第 9条 何人も、ほしいままに逮捕、拘禁、又は追放されることはない。
第10条 すべて人は、自己の権利及び義務並びに自己に対する刑事責任が決定されるに当って、独立の公平な裁判所による 公正な公開の審理を受けることについて完全に平等の権利を有する。
第11条
1. 犯罪の訴追を受けた者は、すべて、自己の弁護に必要なすべての保障を与えられた公開の裁判において法律に従って有罪の立証があるまでは、 無罪と推定される権利を有する。
2. 何人も、実行の時に国内法又は国際法により犯罪を構成しなかった作為又は不作為(act or omission)のために有罪とされることはない。 また、犯罪が行われた時に適用される刑罰より重い刑罰を課せられない。
第12条 何人も、自己の私事、家族、家庭若しくは通信に対して、ほしいままに干渉され、又は名誉及び信用に対して攻撃を受けることはない。 人はすべて、このような干渉又は攻撃に対して法の保護を受ける権利を有する。
第13条
1. すべて人は、各国の境界内において自由に移転及び居住する権利を有する。
2. すべて人は、自国その他いずれの国をも立ち去り、及び自国に帰る権利を有する。
第14条
1. すべて人は、迫害を免れるため、他国に避難することを求め、かつ、避難する権利を有する。
2. この権利は、もっぱら非政治犯罪又は国際連合の目的及び原則に反する行為を原因とする訴追の場合には、援用することはできない。
第15条
1. すべて人は、国籍をもつ権利を有する。
2. 何人も、ほしいままに(arbitrarily)その国籍を奪われ、又はその国籍を変更する権利を否認されることはない。
第16条
1. 成年の男女は、人種、国籍又は宗教によるいかなる制限をも受けることなく、婚姻し、かつ家庭をつくる権利を有する。 成年の男女は、婚姻中、及びその解消に際し、婚姻に関し平等の権利を有する。
2. 婚姻は、婚姻の意思を有する両当事者(intending spouses)の自由かつ完全な合意によってのみ成立する。
3. 家庭は、社会の自然かつ基礎的な集団単位であって、社会及び国の保護を受ける権利を有する。
第17条
1. すべて人は、単独で又は他の者と共同して財産を所有する権利を有する。
2. 何人も、ほしいままに自己の財産を奪われることはない。
第18条 すべて人は、思想、良心及び宗教の自由に対する権利を有する。この権利は、宗教又は信念を変更する自由並びに単独で又は他の者と共同して、公的に又は私的に、布教、行事、礼拝及び儀式によって宗教又は信念を表明する自由を含む。
第19条 すべて人は、意見及び表現の自由に対する権利を有する。この権利は、干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由並びにあらゆる手段により、また、国境を越えると否とにかかわりなく、情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む。
第20条
1. すべての人は、平和的集会及び結社の自由に対する権利を有する。
2. 何人も、結社に属することを強制されない。
第21条
1. すべての人は、直接に又は自由に選出された代表者を通じて、自国の政治に参与する権利を有する。
2. すべて人は、自国においてひとしく公務につく権利を有する。
3. 人民の意思(The will of the people) は、統治の権力の基礎とならなければならない。 この意思は、定期のかつ真正な選挙によって表明されなければならない。 この選挙は、平等の普通選挙によるものでなければならず、また、 秘密投票又はこれと同等の自由が保障される投票手続によって行われなければならない。
▼中国、朝鮮人民共和国はこの条項に従った制度ではない、ということ。(2020.10.2)
第22条
すべて人は、社会の一員として、社会保障を受ける権利を有し、かつ、国家的努力及び国際的協力により、 また、各国の組織及び資源に応じて、自己の尊厳と自己の人格(personality)の自由な発展とに欠くことのできない経済的、 社会的及び文化的権利を実現する権利を有する。
第23条
1. すべて人は、勤労し、職業を自由に選択し、公正かつ有利な勤労条件を確保し、及び失業に対する保護を受ける権利を有する。
2. すべて人は、いかなる差別をも受けることなく、同等の勤労に対し、同等の報酬を受ける権利を有する。
3. 勤労する者(Everyone who works) は、すべて、自己及び家族に対して人間の尊厳にふさわしい(an existence worthy of human dignity)生活を保障する公正かつ有利な報酬を受け、 かつ、必要な場合には、他の社会的保護手段によって補充を受けることができる。
4. すべて人は、自己の利益を保護するために労働組合を組織し、及びこれに参加する権利を有する。
第24条 すべて人は、労働時間の合理的な制限及び定期的な有給休暇を含む休息及び余暇をもつ権利を有する。
第25条
1. すべて人は、衣食住、医療及び必要な社会的施設等により、自己及び家族の健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利並びに失業、 疾病、心身障害、配偶者の死亡、老齢その他不可抗力による(in circumstances beyond his control)生活不能の場合は、保障を受ける 権利を有する。
▼こういう権利があることを日本社会が意識する必要がある。(2020.10.2)
2. 母と子とは、特別の保護及び援助を受ける権利を有する。すべての児童は、嫡出であると否とを問わず、同じ社会的保護を受ける。
第26条
1. すべて人は、教育を受ける権利を有する。教育は、少なくとも初等の及び基礎的の段階においては、無償でなければならない。 初等教育は、義務的でなければならない。技術教育及び職業教育は、一般に利用できるものでなければならず、また、 高等教育は、能力に応じ、すべての者にひとしく開放されていなければならない。
2. 教育は、人格の完全な発展( full development of the human personality )並びに人権及び基本的自由の尊重の強化を目的としなければならない。 教育は、すべての国又は人種的若しくは宗教的集団の相互間の理解、寛容及び友好関係を増進し、かつ、平和の維持のため、国際連合の活動を促進するものでなければならない。
3. 親は、子に与える教育の種類を選択する優先的権利を有する。
第27条
1. すべて人は、自由に社会の文化生活に参加し、芸術を鑑賞し、及び科学の進歩とその恩恵とにあずかる権利を有する。
2. すべて人は、その創作した科学的、文学的又は美術的作品から生ずる精神的及び物質的利益を保護される権利を有する。
第28条 すべて人は、この宣言に掲げる権利及び自由が完全に実現される社会的及び国際的秩序に対する権利を有する。
第29条
1. すべて人は、その人格の自由かつ完全な発展がその中にあってのみ可能である社会に対して義務を負う。
2. すべて人は、自己の権利及び自由を行使するに当たっては、他人の権利及び自由の正当な承認及び尊重を保障すること 並びに民主的社会における道徳、公の秩序及び一般の福祉の正当な要求を満たすことをもっぱら目的として法律によって定められた制限にのみ服する。
3. これらの権利及び自由は、いかなる場合にも、国際連合の目的及び原則に反して行使してはならない。
第30条 この宣言のいかなる規定も、いずれかの国、集団又は個人に対して、この宣言に掲げる権利及び自由の破壊を目的とする活動に従事し、 又はそのような目的を有する行為を行う権利を認めるものと解釈してはならない。

▼人権が「自由、正義及び平和の基礎」であると前文で宣言。
人種差別撤廃条約の「世系」に部落民が入るかどうかをめぐって日本政府は「人種、皮膚の色、過去の世代の民族的、種族的出身に着目した概念」 と主張するが 人権宣言「第2条 第 1項 すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、 国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、 この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる。」の規定から 考えれば、絶対そうはならない。人種差別撤廃条約も世界人権宣言に立ち返って解釈する必要があるとおもう。(2020.5.6)

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U あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約Convention on the Elimination of Racial Discrimination   1965年12月21日、国連総会で採択。  全25条
1995年12月15日、日本締結。

この条約の締約国は、
 国際連合憲章がすべての人間に固有の尊厳及び平等の原則に基礎を置いていること並びにすべての加盟国が、 人種、性、言語又は宗教による差別のないすべての者のための人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守を助長し及び奨励するという 国際連合の目的の一(one of the purposes of the United Nations) を達成するために、国際連合と協力して共同及び個別の行動をとることを誓約したことを考慮し、
 世界人権宣言が、すべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳及び権利について平等であること 並びにすべての人がいかなる差別をも、 特に人種、皮膚の色又は国民的出身(race, colour or national origin)による差別を受けることなく同宣言に掲げるすべての権利及び自由を享有することができることを宣明していること を考慮し、
 すべての人間が法律の前に平等であり、いかなる差別に対しても、また、 いかなる差別の扇動に対しても(against any incitement to discrimination)法律による平等の保護を受ける権利を有することを考慮し、
▼ヘイトスピーチがすでにここで禁止されている。(2020.10.2)
 国際連合が植民地主義並びにこれに伴う隔離及び差別のあらゆる慣行(いかなる形態であるかいかなる場所に存在するかを問わない。) を非難してきたこと並びに1960年12月14日の植民地及びその人民に対する独立の付与に関する宣言(国際連合総会決議第1514号(第15回会期)) がこれらを速やかにかつ無条件に終了させる必要性を確認し及び厳粛に宣明したことを考慮し、
 1963年11月20日のあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際連合宣言(国際連合総会決議第1904号(第18回会期))が、 あらゆる形態及び表現による人種差別を全世界から速やかに撤廃し(eliminating racial discrimination throughout the world in all its forms and manifestations)並びに人間の尊厳に対する理解及び尊重を確保する必要性を厳粛に確認 していることを考慮し、
 人種的相違に基づく優越性のいかなる理論も科学的に誤りであり、道徳的に非難されるべきであり及び社会的に不正かつ 危険であること並びに理論上又は実際上、いかなる場所においても、人種差別を正当化することはできないことを確信し、
 人種、皮膚の色又は種族的出身を理由とする人間の差別が諸国間の友好的かつ平和的な関係に対する 障害となること並びに諸国民の間の平和及び安全並びに同一の国家内に共存している人々の調和をも害するおそれがあることを再確認し、
▼「皮膚の色を理由とする人間の差別が……同一の国家内に共存している人々の調和をも害する」と1965年にすでに国連で確認されている。 自由と民主主義のアメリカよ、どうした。(2020.10.3)
公民権法(Civil Right Act) https://www.y-history.net/appendix/wh1604-007.html 
▼1964年には、1960年代のアメリカ黒人の公民権運動が盛り上がりによって 公民権法(Civil Right Act)が成立している。(2020.10.3)
 人種に基づく障壁の存在がいかなる人間社会の理想にも反することを確信し、
 世界のいくつかの地域において人種差別が依然として存在していること及び人種的優越又は憎悪に基づく 政府の政策(アパルトヘイト、隔離又は分離の政策等)がとられていることを危険な事態として受けとめ、
 あらゆる形態及び表現による人種差別を速やかに撤廃するために必要なすべての措置をとること並びに人種間の理解を促進し、 いかなる形態の人種隔離及び人種差別もない国際社会を建設するため、人種主義に基づく理論及び慣行を防止し並びにこれらと戦う(to prevent and combat racist doctrines and practices )ことを決意し、
 1958年に国際労働機関が採択した雇用及び職業についての差別に関する条約及び1960年に国際連合教育科学文化機関が採択した 教育における差別の防止に関する条約に留意し、
 あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際連合宣言に具現された原則を実現すること及びこのための実際的な措置を 最も早い時期にとることを確保することを希望して、
 次のとおり協定した。

第1条
1 この条約において、「人種差別」とは、人種、皮膚の色、世系 又は民族的若しくは 種族的出身(race, colour, descent, or national or ethnic origin)に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、 文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、 享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するものをいう。
▼この条文の世系に部落が入るかどうかが国連人権委員会と日本政府との間に意見の違いがある。委員会は部落も入るとして、日本政府に 勧告を出している。(2020.5.7)
▼descent:lineage=direct descent from an ancestor 「WEBSTER'S NEW WORLD DICTIONARY」によるとdescentの意味が上記のように 「先祖からの直接の子孫」であるならばdescentに部落が入ることは明らかではないか。(2020.10.3)

2 この条約は、締約国が市民と市民でない者との間に設ける区別、排除、制限又は優先については、適用しない。
3 この条約のいかなる規定も、国籍、市民権又は帰化に関する締約国の法規に何ら影響を及ぼすものと解してはならない。ただし、これらに関する法規は、いかなる特定の民族に対しても差別を設けていないことを条件とする。
4 人権及び基本的自由の平等な享有又は行使を確保するため、保護を必要としている特定の人種若しくは 種族の集団又は個人の適切な進歩を確保することのみを目的として、必要に応じてとられる特別措置は、人種差別とみなさない。 ただし、この特別措置は、その結果として、異なる人種の集団に対して別個の権利を維持することとなってはならず、また、 その目的が達成された後は継続してはならない。

第2条
1 締約国は、人種差別を非難し、また、あらゆる形態の人種差別を撤廃する政策及びあらゆる人種間の理解を促進する政策をすべての適当な方法により遅滞なくとることを約束する。このため、
(a)各締約国は、個人、集団又は団体に対する人種差別の行為又は慣行に従事しないこと並びに国及び地方のすべての 公の当局及び機関がこの義務に従って行動するよう確保することを約束する。
▼朝鮮人学校に対する無償化を実施しないのは人種差別になるのでは。(2020.10.3)
(b)各締約国は、いかなる個人又は団体による人種差別も後援せず、擁護せず又は支持しないことを約束する。
(c)各締約国は、政府(国及び地方)の政策を再検討し及び人種差別を生じさせ又は永続化させる効果を有するいかなる法令も改正し、廃止し又は無効にするために効果的な措置をとる。
(d)各締約国は、すべての適当な方法(状況により必要とされるときは、立法を含む。)により、 いかなる個人、集団又は団体による人種差別も禁止し、終了させる。
▼この条項は政府がマイノリティーに対する効果的な差別禁止措置をとることを期待している。(2020.10.3)
(e)各締約国は、適当なときは、人種間の融和を目的とし(integrationist )、 かつ、複数の人種で構成される団体及び運動を支援し並びに人種間の障壁を撤廃する他の方法を奨励すること並びに 人種間の分断を強化するようないかなる動きも抑制することを約束する。
▼integrationistを人種間の融和を目的とし、と訳するのは適切ではない。人種間の統一又は統合、一体化のニュアンスで訳すべき。 分断の対極のことば。ところでトランプは分断を煽っている。この条項に違反している。(2020.10.3)
2 締約国は、状況により正当とされる場合には、特定の人種の集団又はこれに属する個人に対し人権及び基本的自由の十分かつ平等な享有を保障するため、社会的、経済的、文化的その他の分野において、当該人種の集団又は個人の適切な発展及び保護を確保するための特別かつ具体的な措置をとる。この措置は、いかなる場合においても、その目的が達成された後、その結果として、異なる人種の集団に対して不平等な又は別個の権利を維持することとなってはならない。

第3条
 締約国は、特に、人種隔離及びアパルトヘイトを非難し、また、自国の管轄の下にある領域におけるこの種のすべての慣行を防止し、禁止し及び根絶することを約束する。

第4条
 締約国は、一の人種の優越性若しくは一の皮膚の色若しくは種族的出身の人の集団の優越性の思想若しくは理論に基づくあらゆる宣伝及び団体又は人種的憎悪及び人種差別(形態のいかんを問わない。)を正当化し若しくは助長することを企てるあらゆる宣伝及び団体を非難し、また、このような差別のあらゆる扇動又は行為を根絶することを目的とする迅速かつ積極的な措置をとることを約束する。このため、締約国は、世界人権宣言に具現された原則及び次条に明示的に定める権利に十分な考慮を払って、特に次のことを行う。
(a)人種的優越又は憎悪に基づく思想のあらゆる流布、人種差別の扇動、いかなる人種若しくは皮膚の色若しくは種族的出身を異にする人の集団に対するものであるかを問わずすべての暴力行為又はその行為の扇動及び人種主義に基づく活動に対する資金援助を含むいかなる援助の提供も、法律で処罰すべき犯罪であることを宣言すること。
(b)人種差別を助長し及び扇動する団体及び組織的宣伝活動その他のすべての宣伝活動を違法であるとして禁止するものとし、このような団体又は活動への参加が法律で処罰すべき犯罪であることを認めること。
(c)国又は地方の公の当局又は機関が人種差別を助長し又は扇動することを認めないこと。

第5条
 第2条に定める基本的義務に従い、締約国は、特に次の権利の享有に当たり、あらゆる形態の人種差別を禁止し及び撤廃すること並びに人種、 皮膚の色又は民族的若しくは種族的出身による差別なしに、すべての者が法律の前に平等であるという権利を保障することを約束する。
(a)裁判所その他のすべての裁判及び審判を行う機関の前での平等な取扱いについての権利
(b)暴力又は傷害(公務員によって加えられるものであるかいかなる個人、集団又は団体によって加えられるものであるかを問わない。) に対する身体の安全及び国家による保護についての権利
▼アメリカ・警官による黒人圧殺事件(フロイド事件)はまさにこの条項が禁止している公務員の事件。(2020.6.27)

(c)政治的権利、特に普通かつ平等の選挙権に基づく選挙に投票及び立候補によって参加し、国政及びすべての段階における政治に参与し並びに公務に平等に携わる権利
(d)他の市民的権利、特に、
 (i)国境内における移動及び居住の自由についての権利
 (ii)いずれの国(自国を含む。)からも離れ及び自国に戻る権利
 (iii)国籍についての権利
 (iv)婚姻及び配偶者の選択についての権利
 (v)単独で及び他の者と共同して財産を所有する権利
 (vi)相続する権利
 (vii)思想、良心及び宗教の自由についての権利
 (viii)意見及び表現の自由についての権利
 (ix)平和的な集会及び結社の自由についての権利
(e)経済的、社会的及び文化的権利、特に、
 (i)労働、職業の自由な選択、公正かつ良好な労働条件、失業に対する保護、同一の労働についての同一報酬 及び
   公正かつ良好な報酬についての権利
 (ii)労働組合を結成し及びこれに加入する権利
 (iii)住居についての権利
 (iv)公衆の健康、医療、社会保障及び社会的サービスについての権利
 (v)教育及び訓練についての権利
 (vi)文化的な活動への平等な参加についての権利
(f)輸送機関、ホテル、飲食店、喫茶店、劇場、公園等一般公衆の使用を目的とするあらゆる場所又はサービスを利
用する権利
▼部落が世系に該当するとなると第4条、第5条の規定の適用を受けることになる。差別禁止法を国内的に制定せざるを得なくなる。 日本政府が世系の解釈に屁理屈をこね回す理由がここにある。私が考えてきた反「延喜式」制定の手掛かりがここにあった。 すでに国際的には反「延喜式」の社会になっていたのだ。目が覚めた。この条項を日本社会に広めること。(2020.5.7)

第6条
 締約国は、自国の管轄の下にあるすべての者に対し、権限のある自国の裁判所及び他の国家機関を通じて、この条約に反して人権及び基本的自由を侵害するあらゆる人種差別の行為に対する効果的な保護及び救済措置を確保し、並びにその差別の結果として被ったあらゆる損害に対し、公正かつ適正な賠償又は救済を当該裁判所に求める権利を確保する。

第7条
 締約国は、人種差別につながる偏見と戦い、諸国民の間及び人種又は種族の集団の間の理解、寛容及び友好を促進し並びに国際連合憲章、世界人権宣言、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際連合宣言及びこの条約の目的及び原則を普及させるため、特に教授、教育、文化及び情報の分野において、迅速かつ効果的な措置をとることを約束する。

第8条
1 締約国により締約国の国民の中から選出される徳望が高く、かつ、公平と認められる18人の専門家で構成する人種差別の撤廃に関する委員会(以下「委員会」という。)を設置する。委員会の委員は、個人の資格で職務を遂行する。その選出に当たっては、委員の配分が地理的に衡平に行われること並びに異なる文明形態及び主要な法体系が代表されることを考慮に入れる。
2 委員会の委員は、締約国により指名された者の名簿の中から秘密投票により選出される。各締約国は、自国民の中から一人を指名することができる。
3 委員会の委員の最初の選挙は、この条約の効力発生の日の後6箇月を経過した時に行う。国際連合事務総長は、委員会の委員の選挙の日の遅くとも3箇月前までに、締約国に対し、自国が指名する者の氏名を2箇月以内に提出するよう書簡で要請する。同事務総長は、指名された者のアルファベット順による名簿(これらの者を指名した締約国名を表示した名簿とする。)を作成し、締約国に送付する。
4 委員会の委員の選挙は、国際連合事務総長により国際連合本部に招集される締約国の会合において行う。この会合は、締約国の3分の2をもって定足数とする。この会合においては、出席しかつ投票する締約国の代表によって投じられた票の最多数で、かつ、過半数の票を得た指名された者をもって委員会に選出された委員とする。
5(a)委員会の委員は、4年の任期で選出される。ただし、最初の選挙において選出された委員のうち9人の委員の任期は、 2年で終了するものとし、これらの9人の委員は、最初の選挙の後直ちに、委員会の委員長によりくじ引きで選ばれる。   
 (b)締約国は、自国の専門家が委員会の委員としての職務を遂行することができなくなった場合には、その空席を補充するため、委員会の承認を条件として自国民の中から他の専門家を任命する。
6 締約国は、委員会の委員が委員会の任務を遂行している間、当該委員に係る経費について責任を負う。

第9条
1 締約国は、次の場合に、この条約の諸規定の実現のためにとった立法上、司法上、行政上その他の措置に関する報告を、委員会による検討のため、国際連合事務総長に提出することを約束する。
(a)当該締約国についてこの条約が効力を生ずる時から1年以内
(b)その後は2年ごとに、更には委員会が要請するとき。 委員会は、追加の情報を締約国に要請することができる。
2 委員会は、その活動につき国際連合事務総長を通じて毎年国際連合総会に報告するものとし、また、締約国から得た報告及び情報の検討に基づく提案及び一般的な性格を有する勧告を行うことができる。これらの提案及び一般的な性格を有する勧告は、締約国から意見がある場合にはその意見と共に、総会に報告する。

第10条
1 委員会は、手続規則を採択する。
2 委員会は、役員を2年の任期で選出する。
3 委員会の事務局は、国際連合事務総長が提供する。
4 委員会の会合は、原則として、国際連合本部において開催する。

第11条
1 締約国は、他の締約国がこの条約の諸規定を実現していないと認める場合には、その事案につき委員会の注意を喚起することができる。委員会は、その通知を関係締約国に送付する。当該通知を受領する国は、3箇月以内に、当該事案について及び、当該国がとった救済措置がある場合には、当該救済措置についての書面による説明又は声明を委員会に提出する。
2 最初の通知の受領の後6箇月以内に当該事案が二国間交渉又は当事国にとって可能な他のいかなる手続によっても当事国の双方の満足するように調整されない場合には、いずれの一方の締約国も、委員会及び他方の締約国に通告することにより当該事案を再び委員会に付託する権利を有する。
3 委員会は、2の規定により委員会に付託された事案について利用し得るすべての国内的な救済措置がとられかつ尽くされたことを確認した後に、一般的に認められた国際法の原則に従って、当該事案を取り扱う。ただし、救済措置の実施が不当に遅延する場合は、この限りでない。
4 委員会は、付託されたいずれの事案についても、関係締約国に対し、他のあらゆる関連情報を提供するよう要請することができる。
5 この条の規定から生ずるいずれかの事案が委員会により検討されている場合には、関係締約国は、当該事案が検討されている間、投票権なしで委員会の議事に参加する代表を派遣する権利を有する。

第12条
1(a)委員長は、委員会が必要と認めるすべての情報を入手し、かつ、取りまとめた後、5人の者(委員会の委員であるか否かを問わない。) から成る特別調停委員会(以下「調停委員会」という。)を設置する。調停委員会の委員は、すべての紛争当事国の同意を得て任命するものとし、 調停委員会は、この条約の尊重を基礎として事案を友好的に解決するため、関係国に対してあっせんを行う。  
 (b)調停委員会の構成について3箇月以内に紛争当事国が合意に達しない場合には、合意が得られない調停委員会の委員については、委員会の秘密投票により、3分の2以上の多数による議決で、委員会の委員の中から選出する。
2 調停委員会の委員は、個人の資格で、職務を遂行する。委員は、紛争当事国の国民又はこの条約の締約国でない国の国民であってはならない。
3 調停委員会は、委員長を選出し、及び手続規則を採択する。
4 調停委員会の会合は、原則として、国際連合本部又は調停委員会が決定する他の適当な場所において開催する。
5 第10条3の規定により提供される事務局は、締約国間の紛争のために調停委員会が設けられた場合には、調停委員会に対しても役務を提供する。
6 紛争当事国は、国際連合事務総長が作成する見積りに従って、調停委員会の委員に係るすべての経費を平等に分担する。
7 国際連合事務総長は、必要なときは、6の規定による紛争当事国の経費の分担に先立って調停委員会の委員の経費を支払う権限を有する。
8 委員会が入手し、かつ、取りまとめる情報は、調停委員会の利用に供しなければならず、また、調停委員会は、関係国に対し、他のあらゆる関連情報を提供するよう要請することができる。

第13条
1 調停委員会は、事案を十分に検討した後、当事国間の係争問題に係るすべての事実関係についての調査結果を記載し、かつ、紛争の友好的な解決のために適当と認める勧告を付した報告を作成し、委員会の委員長に提出する。
2 委員会の委員長は、調停委員会の報告を各紛争当事国に通知する。これらの紛争当事国は、3箇月以内に、委員会の委員長に対し、調停委員会の報告に付されている勧告を受諾するか否かを通知する。
3 委員会の委員長は、2に定める期間の後、調停委員会の報告及び関係締約国の意図の表明を、他の締約国に通知する。

第14条
1 締約国は、この条約に定めるいずれかの権利の当該締約国による侵害の被害者であると主張する当該締約国の管轄の下にある個人又は集団からの通報を、委員会が受理しかつ検討する権限を有することを認める旨を、いつでも宣言することができる。委員会は、宣言を行っていない締約国についての通報を受理してはならない。
2 1に規定する宣言を行う締約国は、その管轄の下にある個人又は集団であって、この条約に定めるいずれかの権利の侵害の被害者であると主張し、かつ、他の利用し得る国内的な救済措置を尽くしたものからの請願を受理しかつ検討する権限を有する機関を、国内の法制度の枠内に設置し又は指定することができる。
3 1の規定に基づいて行われた宣言及び2の規定に基づいて設置され又は指定される機関の名称は、関係締約国が国際連合事務総長に寄託するものとし、同事務総長は、その写しを他の締約国に送付する。宣言は、同事務総長に対する通告によりいつでも撤回することができる。ただし、その撤回は、委員会で検討中の通報に影響を及ぼすものではない。
4 2の規定に基づいて設置され又は指定される機関は、請願の登録簿を保管するものとし、登録簿の証明された謄本は、その内容が公開されないとの了解の下に、適当な経路を通じて毎年国際連合事務総長に提出する。
5 請願者は、2の規定に基づいて設置され又は指定される機関から満足な結果が得られない場合には、その事案を6箇月以内に委員会に通報する権利を有する。
6(a)委員会は、付託されたいずれの通報についても、この条約のいずれかの規定に違反していると申し立てられている 締約国の注意を内密に喚起する。ただし、関係のある個人又は集団の身元関係事項は、当該個人又は集団の明示の同意なしに明らかにしてはならない。 委員会は、匿名の通報を受領してはならない。  
 (b)注意を喚起された国は、3箇月以内に、当該事案について及び、当該国がとった救済措置がある場合には、 当該救済措置についての書面による説明又は声明を委員会に提出する。
7(a)委員会は、関係締約国及び請願者により委員会の利用に供されたすべての情報に照らして通報を検討する。 委員会は、請願者が利用し得るすべての国内的な救済措置を尽くしたことを確認しない限り、請願者からのいかなる通報も検討してはならない。 ただし、救済措置の実施が不当に遅延する場合は、この限りでない。  
(b)委員会は、提案及び勧告をする場合には、これらを関係締約国及び請願者に送付する。
8 委員会は、通報の概要並びに、適当なときは、関係締約国の書面による説明及び声明の概要並びに当該委員会の提案及び勧告の概要を、その年次報告に記載する。
9 委員会は、少なくとも10の締約国が1の規定に基づいて行った宣言に拘束される場合にのみ、この条に規定する任務を遂行する権限を有する。

第15条
1 この条約の規定は、1960年12月14日の植民地及びその人民に対する独立の付与に関する宣言(国際連合総会決議第1514号(第15回会期))の目的が達成されるまでの間、他の国際文書又は国際連合及びその専門機関により当該人民に付与された請願の権利を何ら制限するものではない。
2(a)国際連合の諸機関が、信託統治地域及び非自治地域並びに国際連合総会決議第1514号(第15回会期) が適用される他のすべての地域の住民からの請願であって、この条約の対象とする事項に関連するものを検討するに当たって、 この条約の原則及び目的に直接関連する事項を取り扱っている場合には、第8条1の規定に基づいて設置される委員会は、当該請願の写しを受領し、 これらの機関に対し、当該請願に関する意見の表明及び勧告を提出する。
 (b)委員会は、(a)に規定する地域内において施政国により適用されるこの条約の原則及び目的に直接関連する立法上、司法上、行政上 その他の措置についての報告の写しを国際連合の権限のある機関から受領し、これらの機関に対し、意見を表明し及び勧告を行う。
3 委員会は、国際連合の諸機関から受領した請願及び報告の概要並びに当該請願及び報告に関連する委員会の意見の表明及び勧告を、国際連合総会に対する報告に記載する。
4 委員会は、国際連合事務総長に対し、2(a)に規定する地域について、この条約の目的に関連しかつ同事務総長が入手し得るすべての情報を要求する。

第16条
 紛争又は苦情の解決に関するこの条約の規定は、国際連合及びその専門機関の基本文書又は国際連合及びその専門機関により採択された条約に定める差別の分野における紛争又は苦情の解決のための他の手続を妨げることなく適用するものとし、締約国の間で効力を有する一般的な又狽ヘ特別の国際取極による紛争の解決のため、締約国が他の手続を利用することを妨げるものではない。

第17条
1 この条約は、国際連合又はいずれかの専門機関の加盟国、国際司法裁判所規程の当事国及びこの条約の締約国となるよう国際連合総会が招請するその他の国による署名のために開放しておく。
2 この条約は、批准されなければならない。批准書は、国際連合事務総長に寄託する。

第18条
1 この条約は、前条1に規定する国による加入のために開放しておく。
2 加入は、加入書を国際連合事務総長に寄託することによって行う。

第19条
1 この条約は、27番目の批准書又は加入書が国際連合事務総長に寄託された日の後30日目の日に効力を生ずる。
2 27番目の批准書又は加入書が寄託された後にこの条約を批准し又はこれに加入する国については、この条約は、その批准書又は加入書の寄託の日の後30日目の日に効力を生ずる。

第20条
1 国際連合事務総長は、批准又は加入の際に行われた留保を受領し、かつ、この条約の締約国であるか又は将来締約国となる可能性のあるすべての国に当該留保を送付する。留保に異議を有する国は、その送付の日から90日の期間内に、その留保を承認しない旨を同事務総長に通告する。
2 この条約の趣旨及び目的と両立しない留保は、認められない。また、この条約により設置する機関の活動を抑制するような効果を有する留保は、認められない。留保は、締約国の少なくとも3分の2が異議を申し立てる場合には、両立しないもの又は抑制的なものとみなされる。
3 留保は、国際連合事務総長にあてた通告によりいつでも撤回することができる。通告は、その受領の日に効力を生ずる。

第21条
 締約国は、国際連合事務総長に対して書面による通告を行うことにより、この条約を廃棄することができる。廃棄は、同事務総長がその通告を受領した日の後1年で効力を生ずる。

第22条
 この条約の解釈又は適用に関する2以上の締約国の間の紛争であって、交渉又はこの条約に明示的に定められている手続によって解決されないものは、紛争当事国が他の解決方法について合意しない限り、いずれかの紛争当事国の要請により、決定のため国際司法裁判所に付託される。

第23条
1 いずれの締約国も、国際連合事務総長にあてた書面による通告により、いつでもこの条約の改正を要請することができる。
2 国際連合総会は、1の要請についてとるべき措置があるときは、その措置を決定する。

第24条
 国際連合事務総長は、第17条1に規定するすべての国に対し、次の事項を通報する。
(a)第17条及び第18条の規定による署名、批准及び加入
(b)第19条の規定によりこの条約が効力を生ずる日
(c)第14条、第20条及び前条の規定により受領した通告及び宣言
(d)第21条の規定による廃棄

第25条
1 この条約は、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とし、国際連合に寄託される。
2 国際連合事務総長は、この条約の認証謄本を第17条1に定める種類のいずれかに属するすべての国に送付する。
 以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けて、1966年3月7日にニュー・ヨークで署名のために開放されたこの条約に署名した。


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V 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約International Covenant on Economic, Social and Cultural Rights (A規約)1966年  全31条

この規約の締約国は、
 国際連合憲章において宣明された原則によれば、
人類社会のすべての構成員の固有の尊厳及び平等のかつ奪い得ない権利を認めることが世界における自由、正義及び平和の基礎をなすものであることを考慮し、  これらの権利が人間の固有の尊厳に由来することを認め、
 世界人権宣言によれば、
自由な人間は恐怖及び欠乏からの自由を享受することであるとの理想は、すべての者がその市民的及び政治的権利とともに経済的、社会的及び文化的権利を享有することのできる条件が作り出される場合に初めて達成されることになることを認め、  人権及び自由の普遍的な尊重及び遵守を助長すべき義務を国際連合憲章に基づき諸国が負っていることを考慮し、
 個人が、他人に対し及びその属する社会に対して義務を負うこと並びにこの規約において 認められる権利の増進及び擁護のために努力する責任を有することを認識して、
次のとおり協定する。

第一条
1 すべての人民は、自決の権利を有する。この権利に基づき、すべての人民は、その政治的地位を自由に決定し並びにその経済的、 社会的及び文化的発展を自由に追求する。
▼「自決の権利」 日本社会においてアイヌ民族、沖縄人にとってある意味現実的な規定。地方自治もこの規定とつながっているようにもおもえる。(2020.5.7)

2 すべて人民は、互恵の原則に基づく国際的経済協力から生ずる義務及び国際法上の義務に違反しない限り、自己のためにその天然の 富及び資源を自由に処分することができる。人民は、いかなる場合にも、その生存のための手段を奪われることはない。
3 この規約の締約国(非自治地域及び信託統治地域の施政の責任を有する国を含む。)は、国際連合憲章の規定に従い、 自決の権利が実現されることを促進し及び自決の権利を尊重する。

第二条
1 この規約の各締約国は、立法措置その他のすべての適当な方法によりこの 規約において認められる権利の完全な実現を漸進的に達成するため、自国における利用可能な手段を最大限に用いることにより、 個々に又は国際的な援助及び協力、特に、経済上及び技術上の援助及び協力を通じて、行動をとることを約束する。
2 この規約の締約国は、この規約に規定する権利が人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、 国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位によるいかなる差別もなしに行使されることを保障することを約束する。
3 開発途上にある国は、人権及び自国の経済の双方に十分な考慮を払い、 この規約において認められる経済的権利をどの程度まで外国人に保障するかを決定することができる。

第三条
 この規約の締約国は、この規約に定めるすべての経済的、社会的及び文化的権利の享有について男女に同等の権利を確保することを約束する。

第四条
 この規約の締約国は、この規約に合致するものとして国により確保される権利の享受に関し、 その権利の性質と両立しており、かつ、民主的社会における一般的福祉を増進することを目的としている場合に限り、 法律で定める制限のみをその権利に課すことができることを認める。

第五条
1 この規約のいかなる規定も、国、集団又は個人が、この規約において認められる権利若しくは自由を破壊し 若しくはこの規約に定める制限の範囲を超えて制限することを目的とする活動に従事し 又はそのようなことを目的とする行為を行う権利を有することを意味するものと解することはできない。
2 いずれかの国において法律、条約、規則又は慣習によって認められ又は存する基本的人権については、 この規約がそれらの権利を認めていないこと又はその認める範囲がより狭いことを理由として、それらの権利を制限し又は侵すことは許されない。

第三部
第六条
1 この規約の締約国は、労働の権利を認めるものとし、この権利を保障するため適当な措置をとる。 この権利には、すべての者が自由に選択し又は承諾する労働によって生計を立てる機会を得る権利を含む。
2 この規約の締約国が1の権利の完全な実現を達成するためとる措置には、 個人に対して基本的な政治的及び経済的自由を保障する条件の下で着実な経済的、社会的及び文化的発展を実現し 並びに完全かつ生産的な雇用を達成するための技術及び職業の指導及び訓練に関する計画、政策及び方法を含む。

第七条
この規約の締約国は、すべての者が公正かつ良好な労働条件を享受する権利を有することを認める。 この労働条件は、特に次のものを確保する労働条件とする。
(a) すべての労働者に最小限度次のものを与える報酬
   (i)  公正な賃金及びいかなる差別もない同一価値の労働についての同一報酬。特に、女子については、同一の労
     働についての同一報酬とともに男子が享受する労働条件に劣らない労働条件が保障されること。
▼非正規雇用、外国人労働者の待遇に関してこの規定が働く可能性大。(2020.5.7)

   (ii)  労働者及びその家族のこの規約に適合する相応な生活
(b) 安全かつ健康的な作業条件
(c) 先任及び能力以外のいかなる事由も考慮されることなく、すべての者がその雇用関係においてより高い適当な地
位に昇進する均等な機会
(d) 休息、余暇、労働時間の合理的な制限及び定期的な有給休暇並びに公の休日についての報酬

第八条
1 この規約の締約国は、次の権利を確保することを約束する。
(a) すべての者がその経済的及び社会的利益を増進し及び保護するため、 労働組合を結成し及び当該労働組合の規則にのみ従うことを条件として自ら選択する労働組合に加入する権利。 この権利の行使については、法律で定める制限であって国の安全若しくは公の秩序のため 又は他の者の権利及び自由の保護のため民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も課することができない。
(b) 労働組合が国内の連合又は総連合を設立する権利及びこれらの連合又は総連合が国際的な労働組合団体を結成し又はこれに加入する権利
(c) 労働組合が、法律で定める制限であって国の安全若しくは公の秩序のため又は他の者の権利及び自由の保護のため 民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も受けることなく、自由に活動する権利
(d) 同盟罷業をする権利。ただし、この権利は、各国の法律に従って行使されることを条件とする。
2 この条の規定は、軍隊若しくは警察の構成員又は公務員による1の権利の行使について合法的な制限を課することを妨げるものではない。
3 この条のいかなる規定も、結社の自由及び団結権の保護に関する千九百四十八年の国際労働機関の条約の締約国が、 同条約に規定する保障を阻害するような立法措置を講ずること又は同条約に規定する保障を阻害するような方法により 法律を適用することを許すものではない。

第九条
 この規約の締約国は、社会保険その他の社会保障についてのすべての者の権利を認める。

第十条
 この規約の締約国は、次のことを認める。
1 できる限り広範な保護及び援助が、社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し、特に、 家族の形成のために並びに扶養児童の養育及び教育について責任を有する間に、与えられるべきである。 婚姻は、両当事者の自由な合意に基づいて成立するものでなければならない。
2 産前産後の合理的な期間においては、特別な保護が母親に与えられるべきである。 働いている母親には、その期間において、有給休暇又は相当な社会保障給付を伴う休暇が与えられるべきである。
3 保護及び援助のための特別な措置が、出生の他の事情を理由とするいかなる差別もなく、 すべての児童及び年少者のためにとられるべきである。児童及び年少者は、 経済的及び社会的な搾取から保護されるべきである。 児童及び年少者を、その精神若しくは健康に有害であり、 その生命に危険があり又はその正常な発育を妨げるおそれのある労働に使用することは、 法律で処罰すべきである。また、国は年齢による制限を定め、 その年齢に達しない児童を賃金を支払って使用することを法律で禁止しかつ処罰すべきである。

第十一条
1 この規約の締約国は、自己及びその家族のための相当な食糧、衣類及び住居を内容とする 相当な生活水準についての並びに生活条件の不断の改善についてのすべての者の権利を認める。 締約国は、この権利の実現を確保するために適当な措置をとり、 このためには、自由な合意に基づく国際協力が極めて重要であることを認める。
2 この規約の締約国は、すべての者が飢餓から免れる基本的な権利を有することを認め、 個々に及び国際協力を通じて、次の目的のため、具体的な計画その他の必要な措置をとる。
(a) 技術的及び科学的知識を十分に利用することにより、 栄養に関する原則についての知識を普及させることにより 並びに天然資源の最も効果的な開発及び利用を達成するように農地制度を発展させ又は改革することにより、 食糧の生産、保存及び分配の方法を改善すること。
(b) 食糧の輸入国及び輸出国の双方の問題に考慮を払い、需要との関連において世界の食糧の供給の衡平な分配を確保すること。

第十二条
1 この規約の締約国は、すべての者が到達可能な最高水準の身体及び精神の健康を享受する権利を有することを認める。
2 この規約の締約国が1の権利の完全な実現を達成するためにとる措置には、次のことに必要な措置を含む。
(a) 死産率及び幼児の死亡率を低下させるための並びに児童の健全な発育のための対策
(b) 環境衛生及び産業衛生のあらゆる状態の改善
(c) 伝染病、風土病、職業病その他の疾病の予防、治療及び抑圧
(d) 病気の場合にすべての者に医療及び看護を確保するような条件の創出

第十三条
1 この規約の締約国は、教育についてのすべての者の権利を認める。 締約国は、教育が人格の完成及び人格の尊厳についての意識の十分な発達を指向し 並びに人権及び基本的自由の尊重を強化すべきことに同意する。 更に、締約国は、教育が、すべての者に対し、自由な社会に効果的に参加すること、 諸国民の間及び人種的、種族的又は宗教的集団の間の理解、寛容及び友好を促進すること 並びに平和の維持のための国際連合の活動を助長することを可能にすべきことに同意する。
2 この規約の締約国は、1の権利の完全な実現を達成するため、次のことを認める。
(a) 初等教育は、義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとすること。
(b) 種々の形態の中等教育(技術的及び職業的中等教育を含む。)は、すべての適当な方法により、 特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、 すべての者に対して機会が与えられるものとすること。
(c) 高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、 能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。
(d) 基礎教育は、初等教育を受けなかった者又はその全課程を修了しなかった者のため、 できる限り奨励され又は強化されること。
(e) すべての段階にわたる学校制度の発展を積極的に追求し、 適当な奨学金制度を設立し及び教育職員の物質的条件を不断に改善すること。
3 この規約の締約国は、父母及び場合により法定保護者が、 公の機関によって設置される学校以外の学校であって 国によって定められ又は承認される最低限度の教育上の基準に適合するものを 児童のために選択する自由並びに自己の信念に従って児童の宗教的及び道徳的教育を確保する自由を有することを尊重することを約束する。
4 この条のいかなる規定も、個人及び団体が教育機関を設置し及び管理する自由を妨げるものと解してはならない。 ただし、常に、1に定める原則が遵守されること及び当該教育機関において行なわれる教育が 国によって定められる最低限度の基準に適合することを条件とする。

第十四条
 この規約の締約国となる時にその本土地域又はその管轄の下にある他の地域において 無償の初等義務教育を確保するに至っていない各締約国は、すべての者に対する無償の義務教育の原則を その計画中に定める合理的な期間内に漸進的に実施するための詳細な行動計画を二年以内に作成しかつ採用することを約束する。

第十五条
1 この規約の締約国は、すべての者の次の権利を認める。
(a) 文化的な生活に参加する権利
(b) 科学の進歩及びその利用による利益を享受する権利
(c) 自己の科学的、文学的又は芸術的作品により生ずる精神的及び物質的利益が保護されることを享受する権利
2 この規約の締約国が1の権利の完全な実現を達成するためにとる措置には、科学及び文化の保存、発展及び普及に必要な措置を含む。
3 この規約の締約国は、科学研究及び創作活動に不可欠な自由を尊重することを約束する。
4 この規約の締約国は、科学及び文化の分野における国際的な連絡及び協力を奨励し及び発展させることによって得られる利益を認める。

第四部
第十六条
1 この規約の締約国は、この規約において認められる権利の実現のためにとった措置 及びこれらの権利の実現についてもたらされた進歩に関する報告をこの部の規定に従って提出することを約束する。
2
(a) すべての報告は、国際連合事務総長に提出するものとし、同事務総長は、 この規約による経済社会理事会の審議のため、その写しを同理事会に送付する。
(b) 国際連合事務総長は、また、いずれかの専門機関の加盟国であるこの規約の締結によって提出される 報告又はその一部が当該専門機関の基本文書によりその任務の範囲内にある事項に関連を有するものである場合には、 それらの報告又は関係部分の写しを当該専門機関に送付する。

第十七条
1 この規約の締約国は、経済社会理事会が締約国及び関係専門機関との協議の後 この規約の効力発生の後一年以内に作成する計画に従い、報告を段階的に提出する。
2 報告には、この規約に基づく義務の履行程度に影響を及ぼす要因及び障害を記載することができる。
3 関連情報がこの規約の締約国により国際連合又はいずれかの専門機関に既に提供されている場合には、 その情報については、再び提供の必要はなく、提供に係る情報について明確に言及することで足りる。

第十八条
 経済社会理事会は、人権及び基本的自由の分野における国際連合憲章に規定する責任に基づき、 いずれかの専門機関の任務の範囲内にある事項に関するこの規約の規定の遵守について もたらされた進歩に関し当該専門機関が同理事会に報告することにつき、 当該専門機関と取極を行うことができる。報告には、当該専門機関の権限のある機関が この規約の当該規定の実施に関して採択した決定及び勧告についての詳細を含ませることができる。

第十九条
 経済社会理事会は、第十六条及び第十七条の規定により締約国が提出する 人権に関する報告並びに前条の規定により専門機関が提出する人権に関する報告を、 検討及び一般的な性格を有する勧告のため又は適当な場合には情報用として、人権委員会に送付することができる。

第二十条
 この規約の締約国及び関係専門機関は、前条にいう一般的な性格を有する勧告に関する意見 又は人権委員会の報告において若しくはその報告で引用されている文書において 言及されている一般的な性格を有する勧告に関する意見を、経済社会理事会に提出することができる。
▼このあたりの条項を読んでいると総会、経済社会理事会、人権委員会の組織的役割が見えてくる。 「一般的な性格を有する勧告」ということばもこれまで目にしてきたが正確なことはわからなかった。少し理解が進んだ。 (2020.5.12)

第二十一条
 経済社会理事会は、一般的な性格を有する勧告を付した報告、 並びにこの規約の締約国及び専門機関から得た情報であってこの規約において認められる権利 の実現のためにとられた措置及びこれらの権利の実現についてもたらされた進歩に関する情報の概要を、 総会に随時提出することができる。

第二十二条
 経済社会理事会は、技術援助の供与に関係を有する国際連合の他の機関及びこれらの補助機関 並びに専門機関に対し、この部に規定する報告により提起された問題であって、 これらの機関がそれぞれの権限の範囲内でこの規約の効果的かつ漸進的な実施に寄与すると 認められる国際的措置をとることの適否の決定に当たって参考となるものにつき、注意を喚起することができる。

第二十三条
 この規約の締約国は、この規約において認められる権利の実現のための 国際的措置には条約の締結、勧告の採択、技術援助の供与並びに関係国の政府との連携により組織される協議 及び検討のための地域会議及び専門家会議の開催のような措置が含まれることに同意する。

第二十四条
 この規約のいかなる規定も、この規約に規定されている事項につき、 国際連合の諸機関及び専門機関の任務をそれぞれ定めている国際連合憲章及び専門機関の基本文書の規定の適用を妨げるものと解してはならない。

第二十五条
 この規約のいかなる規定も、すべての人民がその天然の富及び資源を 十分かつ自由に享受し及び利用する固有の権利を害するものと解してはならない。

第二十六条
1 この規約は、国際連合又はいずれかの専門機関の加盟国、国際司法裁判所規程の当事国 及びこの規約の締約国となるよう国際連合総会が招請する他の国による署名のために開放しておく。
2 この規約は、批准されなければならない。批准書は、国際連合事務総長に寄託する。
3 この規約は、1に規程する国による加入のために開放しておく。
4 加入は、加入書を国際連合事務総長に寄託することによって行う。
5 国際連合事務総長は、この規約に署名し又は加入したすべての国に対し、各批准書又は各加入書の寄託を通報する。

第二十七条
1 この規約は、三十五番目の批准書又は加入書が国際連合事務総長に寄託された日の後三箇月で効力を生ずる。
2 この規約は、三十五番目の批准書又は加入書が寄託された後に批准し又は加入する国については、 その批准書又は加入書が寄託された日の後三箇月で効力を生ずる。

第二十八条
 この規約は、いかなる制限又は例外もなしに連邦国家のすべての地域について適用する。

第二十九条
1 この規約のいずれの締約国も、改正を提案し及び改正案を国際連合事務総長に提出することができる。 同事務総長は、直ちに、この規約の締約国に対し、改正案を送付するものとし、 締約国による改正案の審議及び投票のための締約国会議の開催についての賛否を同事務総長に通告するよう要請する。 締約国の三分の一以上が会議の開催に賛成する場合には、同事務総長は、国際連合の主催の下に会議を招集する。 会議において出席しかつ投票する締約国の過半数によって採択された改正案は、承認のため、国際連合総会に提出する。
2 改正は、国際連合総会が承認し、かつ、この規約の締約国の三分の二以上の多数がそれぞれの国の 憲法上の手続に従って受諾したときに、効力を生ずる。
3 改正は、効力を生じたときは、改正を受諾した締約国を拘束するものとし、 他の締約国は、改正前のこの規約の規定(受諾した従前の改正を含む。)により引き続き拘束される。

第三十条
 第二十六条5の規定により行われる通報にかかわらず、国際連合事務総長は、同条1に規定するすべての国に対し、次の事項を通報する。
(a) 第二十六条の規定による署名、批准及び加入
(b) 第二十七条の規定に基づきこの規約が効力を生ずる日及び前条の規定により改正が効力を生ずる日

第三十一条
1 この規約は、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とし、国際連合に寄託される。
2 国際連合事務総長は、この規約の認証謄本を第二十六条に規定するすべての国に送付する。

 以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けて、 千九百六十六年十二月十九日にニューヨークで署名のために開放されたこの規約に署名した。


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W 市民的、政治的権利に関する国際規約 International Covenant on Civil and Political Rights(B規約) 1966年  全53条
署名 1978年5月30日 批准1979年6月21日

この規約の締約国は、
国際連合憲章において宣明された原則によれば、
人類社会のすべての構成員の固有の尊厳及び平等のかつ奪い得ない権利 を認めることが世界における自由、正義及び平和の基礎をなすものであることを考慮し、これらの権利が人間の固有の尊厳に由来することを認め、
世界人権宣言によれば、
自由な人間は市民的及び政治的自由並びに恐怖及び欠乏からの自由を享受するものであるとの理想は、 すべての者がその経済的、社会的及び文化的権利とともに市民的及び政治的権利を享有することのできる条件が作り出される場合に 初めて達成されることになることを認め、
▼「自由な人間は……条件が作り出される場合に初めて達成される」単なる空想的でない極めて現実的規定。(2020.5.7)
人権及び自由の普遍的な尊重及び遵守を助長すべき義務を国際連合憲章に基づき諸国が負っていることを考慮し、
個人が、他人に対し及びその属する社会に対して義務を負うこと並びにこの規約において認められる権利の増進 及び擁護のために努力する責任を有することを認識して、
次のとおり協定する。
▼「個人が、他人に対し及びその属する社会に対して(人権及び自由の普遍的な尊重及び遵守を助長すべき)義務を負う」 まさか私個人が国連の規約によってこのような義務を負わされているとは今日はじめて自覚しました。(2020.5.7)
 
第一条
1 すべての人民は、自決の権利を有する。この権利に基づき、すべての人民は、その政治的地位を自由に決定し並びにその経済的、 社会的及び文化的発展を自由に追求する。
2 すべての人民は、互恵の原則に基づく国際的経済協力から生ずる義務及び国際法上の義務に違反しない限り、 自己のためにその天然の富及び資源を自由に処分することができる。 人民は、いかなる場合にも、その生存のための手段を奪われることはない。
3 この規約の締約国(非自治地域及び信託統治地域の施政の責任を有する国を含む。)は、国際連合憲章の規定に従い、 自決の権利が実現されることを促進し及び自決の権利を尊重する。

第二条
1 この規約の各締約国は、その領域内にあり、かつ、その管轄の下にあるすべての個人に対し、 人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは 社会的出身、財産、出生又は他の地位等によるいかなる差別もなしにこの規約において認められる権利を尊重し及び確保することを約束する。
2 この規約の各締約国は、立法措置その他の措置がまだとられていない場合には、 この規約において認められる権利を実現するために必要な立法措置その他の措置をとるため、 自国の憲法上の手続及びこの規約の規定に従って必要な行動をとることを約束する。
▼厳しい規定だ。すばらしい。(2020.5.7)
▼「差別禁止法」の制定がこの条項から締約国の義務としてでてくる。日本政府も批准しているから運動として活用できる。(2020.5.12)


3 この規約の各締約国は、次のことを約束する。
 (a) この規約において認められる権利又は自由を侵害された者が、 公的資格で行動する者によりその侵害が行われた場合にも、効果的な救済措置を受けることを確保すること。
 (b) 救済措置を求める者の権利が権限のある司法上、行政上 若しくは立法上の機関又は国の法制で定める他の権限のある機関によって決定されることを確保すること 及び司法上の救済措置の可能性を発展させること。
 (c) 救済措置が与えられる場合に権限のある機関によって執行されることを確保すること。
▼冤罪事件にはこの条項が役に立つとおもう。(2020.5.12)

第三条
この規約の締約国は、この規約に定めるすべての市民的及び政治的権利の享有について男女に同等 の権利を確保することを約束する。

第四条
1 国民の生存を脅かす公の緊急事態の場合においてその緊急事態の存在が公式に宣言されているときは、 この規約の締約国は、事態の緊急性が真に必要とする限度において、 この規約に基づく義務に違反する措置をとることができる。 ただし、その措置は、当該締約国が国際法に基づき負う他の義務に抵触してはならず、 また、人種、皮膚の色、性、言語、宗教又は社会的出身のみを理由とする差別を含んではならない。
2 1の規定は、第六条、第七条、第八条1及び2、第十一条、第十五条、第十六条並びに第十八条の規定に違反することを許すものではない。
3 義務に違反する措置をとる権利を行使するこの規約の締約国は、 違反した規定及び違反するに至った理由を国際連合事務総長を通じて この規約の他の締約国に直ちに通知する。更に、違反が終了する日に、同事務総長を通じてその旨通知する。

第五条
1 この規約のいかなる規定も、国、集団又は個人が、 この規約において認められる権利及び自由を 破壊し若しくはこの規約に定める制限の範囲を超えて制限することを目的とする活動に従事し 又はそのようなことを目的とする行為を行う権利を有することを意味するものと解することはできない。
2 この規約のいずれかの締約国において法律、条約、規則又は慣習によって認められ又は存する基本的人権については、 この規約がそれらの権利を認めていないこと又はその認める範囲がより狭いことを理由として、 それらの権利を制限し又は侵してはならない。
▼配慮が行届いている。(2020.5.7)

第六条
1 すべての人間は、生命に対する固有の権利を有する。この権利は、法律によって保護される。何人も、恣意的にその生命を奪われない。
2 死刑を廃止していない国においては、死刑は、犯罪が行われた時に効力を有しており、かつ、 この規約の規定及び集団殺害犯罪の防止及び処罰に関する条約の規定に抵触しない法律により、 最も重大な犯罪についてのみ科することができる。 この刑罰は、権限のある裁判所が言い渡した確定判決によってのみ執行することができる。
3 生命の剥奪が集団殺害犯罪を構成する場合には、 この条のいかなる想定も、この規約の締約国が集団殺害犯罪の防止及び処罰に関する条約の規定に基づいて負う義務を 方法のいかんを問わず免れることを許すものではないと了解する。
4 死刑を言い渡されたいかなる者も、特赦又は減刑を求める権利を有する。 死刑に対する大赦、特赦又は減刑はすべての場合に与えることができる。
5 死刑は、十八歳未満の者が行った犯罪について科してはならず、また、妊娠中の女子に対して執行してはならない。
6 この条のいかなる規定も、この規約の締約国により死刑の廃止を遅らせ又は妨げるために援用されてはならない。
▼国際社会は死刑廃止。(2020.5.7)

第七条
 何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けない。 特に、何人も、その自由な同意なしに医学的又は科学的実験を受けない。
▼日本の警察・検察の被疑者への取調がこの条項に触れないか。(2020.5.7)

第八条
1 何人も、奴隷の状態に置かれない。あらゆる形態の奴隷制度及び奴隷取引は、禁止する。
2 何人も、隷属状態に置かれない。
3
(a) 何人も、強制労働に服することを要求されない。
(b) (a)の規定は、犯罪に対する刑罰として強制労働を伴う拘禁刑を科することができる国において、 権限のある裁判所による刑罰の言渡しにより強制労働をさせることを禁止するものと解してはならない。
(c) この3の適用上、「強制労働」には、次のものを含まない。
 (i) 作業又は役務であって、(b)の規定において言及されておらず、かつ、裁判所の合法的な命令によって 抑留されている者又はその抑留を条件付きで免除されている者に通常要求されるもの
  (ii) 軍事的性質の役務及び、良心的兵役拒否が認められている国においては、 良心的兵役拒否者が法律によって要求される国民的役務
 (iii) 社会の存立又は福祉を脅かす緊急事態又は災害の場合に要求される役務
▼今回のコロナで出勤要請があった職場などはこれに当たるとおもう。(2020.5.7)

 (iv) 市民としての通常の義務とされる作業又は役務

第九条
1 すべての者は、身体の自由及び安全についての権利を有する。 何人も、恣意的に逮捕され又は抑留されない。何人も、法律で定める理由及び手続によらない限り、その自由を奪われない。
2 逮捕される者は、逮捕の時にその理由を告げられるものとし、自己に対する被疑事実を速やかに告げられる。
3 刑事上の罪に問われて逮捕され又は抑留された者は、 裁判官又は司法権を行使することが法律によって認められている他の官憲の面前に速やかに連れて行かれるものとし、 妥当な期間内に裁判を受ける権利又は釈放される権利を有する。裁判に付される者を抑留することが原則であってはならず、 釈放に当たっては、裁判その他の司法上の手続のすべての段階における出頭及び必要な場合における判決の執行のための 出頭が保証されることを条件とすることができる。
▼ゴーンの釈放中の出国はこの規定に違反しそうだ。(2020.5.7)

4 逮捕又は抑留によって自由を奪われた者は、裁判所がその抑留が合法的であるかどうかを遅滞なく決定すること 及びその抑留が合法的でない場合にはその釈放を命ずることができるように、裁判所において手続をとる権利を有する。
5 違法に逮捕され又は抑留された者は、賠償を受ける権利を有する。

第十条
1 自由を奪われたすべての者は、人道的にかつ人間の固有の尊厳を尊重して、取り扱われる。
▼第7条とも関連している。(2020.5.7)

2
(a) 被告人は、例外的な事情がある場合を除くほか有罪の判決を受けた者とは分離されるものとし、 有罪の判決を受けていない者としての地位に相応する別個の取扱いを受ける。
(b) 少年の被告人は、成人とは分離されるものとし、できる限り速やかに裁判に付される。
3 行刑の制度は、被拘禁者の矯正及び社会復帰を基本的な目的とする処遇を含む。 少年の犯罪者は、成人とは分離されるものとし、その年齢及び法的地位に相応する取扱いを受ける。

第十一条
 何人も、契約上の義務を履行することができないことのみを理由として拘禁されない。

第十二条
1 合法的にいずれかの国の領域内にいるすべての者は、当該領域内において、移動の自由及び居住の自由についての権利を有する。
2 すべての者は、いずれの国(自国を含む。)からも自由に離れることができる。
3 1及び2の権利は、いかなる制限も受けない。ただし、その制限が、法律で定められ、国の安全、公の秩序、 公衆の健康若しくは道徳又は他の者の権利及び自由を保護するために必要であり、かつ、 この規約において認められる他の権利と両立するものである場合は、この限りでない。
4 何人も、自国に戻る権利を恣意的に奪われない。
▼「在日」コリアンの指紋押捺に絡む自国に戻る権利を拒否されたケースはこの条項に触れそうだ。(2020.5.7)

第十三条
 合法的にこの規約の締約国の領域内にいる外国人は、 法律に基づいて行われた決定によってのみ当該領域から追放することができる。 国の安全のためのやむを得ない理由がある場合を除くほか、当該外国人は、自己の追放に反対する理由を提示すること 及び権限のある機関又はその機関が特に指名する者によって自己の事案が審査されることが認められるものとし、 この為にその機関又はその者に対する代理人の出頭が認められる。
▼日本の出入国管理事務所の業務にはこの規定の適用に問題があるような気がする。(2020.5.7)
▼日本社会をこのB規約で総点検する必要がある。(2020.5.7)

▼ 2008年5月14日UPR作業部会の日本に関する報告書から。
(13)
・警察の留置施設にいる被留置者の取調べの組織的な監視・記録、及び刑事訴 訟法の、拷問等禁止条約第15条及び自由権規約第14条3項との適合性の確 保、全ての関連する資料にアクセスできる被告人の権利の保障。(アルジェリア)
・警察と司法機関が被疑者に自白させるために過度の圧力を加えることを避け るために、@強制された自白の危険性に対する警察の関心をひくように、一層 組織的かつ集中的な取り組み、A取調べを監視する手続の見直し、B長期にわ たる「代用監獄」の使用についての再検証、C拷問等禁止条約第15条に適合 することを確保すべく刑事法の見直し。(ベルギー)
・被拘禁者の拘禁に際して手続保障を強化するメカニズムの構築。(カナダ)
・留置手続が人権法の義務に調和することを確保するため、いわゆる「代用監獄」制度の再検討、及び留置施設の外部による監視に関する拷問禁止委員会の 勧告の実施。(イギリス)
▼やっぱり国連人権委員会で勧告されている。(2020.6.24)

第十四条
1 すべての者は、裁判所の前に平等とする。すべての者は、 その刑事上の罪の決定又は民事上の権利及び義務の争いについての決定のため、 法律で設置された、権限のある、独立の、かつ、公平な裁判所による公正な公開審理を受ける権利を有する。 報道機関及び公衆に対しては、民主的社会における道徳、公の秩序若しくは国の安全を理由として、 当事者の私生活の利益のため必要な場合において又はその公開が司法の利益を害することとなる特別な状況において 裁判所が真に必要があると認める限度で、裁判の全部又は一部を公開しないことができる。 もっとも、刑事訴訟又は他の訴訟において言い渡される判決は、少年の利益のために必要がある場合 又は当該手続が夫婦間の争い若しくは児童の後見に関するものである場合を除くほか、公開する。
2 刑事上の罪に問われているすべての者は、法律に基づいて有罪とされるまでは、無罪と推定される権利を有する。
3 すべての者は、その刑事上の罪の決定について、十分平等に、少なくとも次の保障を受ける権利を有する。
(a) その理解する言語で速やかにかつ詳細にその罪の性質及び理由を告げられること。
(b) 防御の準備のために十分な時間及び便益を与えられ並びに自ら選任する弁護人と連絡すること。
(c) 不当に遅延することなく裁判を受けること。
(d) 自ら出席して裁判を受け及び、直接に又は自ら選任する弁護人を通じて、防御すること。 弁護人がいない場合には、弁護人を持つ権利を告げられること。司法の利益のために必要な場合には、 十分な支払手段を有しないときは自らその費用を負担することなく、弁護人を付されること。
(e) 自己に不利な証人を尋問し又はこれに対し尋問させること並びに自己に不利な証人と同じ条件で 自己のための証人の出席及びこれに対する尋問を求めること。
(f) 裁判所において使用される言語を理解すること又は話すことができない場合には、無料で通訳の援助を受けること。
(g) 自己に不利益な供述又は有罪の自白を強要されないこと。
▼ここまで「B規約」は個人を保護している。多くの人が知ること。(2020.5.7)
4 少年の場合には、手続は、その年齢及びその更生の促進が望ましいことを考慮したものとする。
5 有罪の判決を受けたすべての者は、法律に基づきその判決及び刑罰を上級の裁判所によって再審理される権利を有する。
6 確定判決によって有罪と決定された場合において、 その後に、新たな事実又は新しく発見された事実により誤審のあったことが決定的に立証されたことを理由として その有罪の判決が破棄され又は赦免が行われたときは、その有罪の判決の結果刑罰に服した者は、 法律に基づいて補償を受ける。ただし、その知られなかった事実が適当な時に明らかにされなかったことの全部又は一部が その者の責めに帰するものであることが証明される場合は、この限りでない。
7 何人も、それぞれの国の法律及び刑事手続に従って既に確定的に有罪又は無罪の判決を受けた行為について 再び裁判され又は処罰されることはない。


第十五条
1 何人も、実行の時に国内法又は国際法により犯罪を構成しなかった作為又は不作為を理由として有罪とされることはない。 何人も、犯罪が行われた時に適用されていた刑罰よりも重い刑罰を科されない。 犯罪が行われた後により軽い刑罰を科する規定が法律に設けられる場合には、罪を犯した者は、その利益を受ける。
2 この条のいかなる規定も、国際社会の認める法の一般原則により実行の時に犯罪とされていた作為 又は不作為を理由として裁判しかつ処罰することを妨げるものでない。

第十六条
すべての者は、すべての場所において、法律の前に人として認められる権利を有する。

第十七条
1 何人も、その私生活、家族、住居若しくは通信に対して恣意的に若しくは不法に干渉され又は名誉及び信用を不法に攻撃されない。
2 すべての者は、1 の干渉又は攻撃に対する法律の保護を受ける権利を有する。
▼プライバシーはこのB規約でも保護されている。国際基準ということ。(2020.5.7)

第十八条
1 すべての者は、思想、良心及び宗教の自由についての権利を有する。 この権利には、自ら選択する宗教又は信念を受け入れ又は有する自由並びに、 単独で又は他の者と共同して及び公に又は私的に、礼拝、儀式、行事及び教導によってその宗教又は信念を表明する自由を含む。
2 何人も、自ら選択する宗教又は信念を受け入れ又は有する自由を侵害するおそれのある強制を受けない。
3 宗教又は信念を表明する自由については、法律で定める制限であって公共の安全、公の秩序、 公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を保護するために必要なもののみを課することができる。
4 この規約の締約国は父母及び場合により法定保護者が、自己の信念に従って児童の宗教的及び 道徳的教育を確保する自由を有することを尊重することを約束する。
▼この第4項は日本社会ではあまり馴染みがないように感じる。(2020.5.7)

第十九条
1 すべての者は、干渉されることなく意見を持つ権利を有する。
2 すべての者は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、 口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、 国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。
3 2の権利の行使には、特別の義務及び責任を伴う。したがって、この権利の行使については、一定の制限を課すことができる。 ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために必要とされるものに限る。
(a) 他の者の権利又は信用の尊重
(b) 国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護

第二十条
1 戦争のためのいかなる宣伝も、法律で禁止する。
        2020.7.16朝日新聞朝刊
日本にはヘイトクライムを罰する法体系がない。自国で裁く法整備は不十分。 議員立法を想定した法案をまとめた。国際刑事裁判所(ICC)は2002年発効、日本も2007年参加。ICC条約は、紛争や難民、移民への対応に揺れる国際社会 で弱者を守ろうと国際法が発展してきた帰結。

2 差別、敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪の唱道は、法律で禁止する。
▼ヘイトスピーチは法律で禁止と明言されている。(2020.5.7)

第二十一条
 平和的な集会の権利は、認められる。この権利の行使については、法律で定める制限であって 国の安全若しくは公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳の保護又は他の者の権利及び自由の保護のため 民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も課することができない。

第二十二条
1 すべての者は、結社の自由についての権利を有する。 この権利には、自己の利益の保護のために労働組合を結成し及びこれに加入する権利を含む。
2 1の権利の行使については、法律で定める制限であって国の安全若しくは公共の安全、 公の秩序、公衆の健康若しくは道徳の保護又は他の者の権利及び自由の保護のため 民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も課することができない。 この条の規定は、1の権利の行使につき、軍隊及び警察の構成員に対して合法的な制限を課することを妨げるものではない。
3 この条のいかなる規定も、結社の自由及び団結権の保護に関する 千九百四十八年の国際労働機関の条約の締約国が、同条約に規定する保障を阻害するような立法措置を講ずること 又は同条約に規定する保障を阻害するような方法により法律を適用することを許すものではない。

第二十三条
1 家族は、社会の自然かつ基礎的な単位であり、社会及び国による保護を受ける権利を有する。
2 婚姻をすることができる年齢の男女が婚姻をしかつ家族を形成する権利は、認められる。
3 婚姻は、両当事者の自由かつ完全な合意なしには成立しない。
▼第3項が規定されているということは逆にそうでないケースがあるということ。(2020.5.7)

4 この規約の締約国は、婚姻中及び婚姻の解消の際に、婚姻に係る配偶者の権利及び責任の平等を確保するため、 適当な措置をとる。その解消の場合には、児童に対する必要な保護のため、措置がとられる。

第二十四条
1 すべての児童は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、国民的若しくは社会的出身、 財産又は出生によるいかなる差別もなしに、未成年者としての地位に必要とされる保護の措置であって 家族、社会及び国による措置について権利を有する。
2 すべての児童は、出生の後直ちに登録され、かつ、氏名を有する。
3 すべての児童は、国籍を取得する権利を有する。

第二十五条
 すべての市民は、第二条に規定するいかなる差別もなく、かつ、不合理な制限なしに、次のことを行う権利及び機会を有する。
(a) 直接に、又は自由に選んだ代表者を通じて、政治に参与すること。
(b) 普通かつ平等の選挙権に基づき秘密投票により行われ、選挙人の意思の自由な表明を保障する真正な定期的選挙において、 投票し及び選挙されること。
(c) 一般的な平等条件の下で自国の公務に携わること。
▼(a)(b)は市民であれば国籍は問わないということか。 (c)は自国の、と表現しているから国籍が前提になっているようにみえる。(2020.5.7)
▼この条文、英文で確認すること。(2020.5.15)


第二十六条
 すべての者は、法律の前に平等であり、いかなる差別もなしに法律による平等の保護を受ける権利を有する。 このため、法律は、あらゆる差別を禁止し及び人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、 国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位等のいかなる理由による 差別に対しても平等のかつ効果的な保護をすべての者に保障する。
▼日本国憲法に似る。(2020.5.7)

第二十七条
 種族的、宗教的又は言語的少数民族が存在する国において、 当該少数民族に属する者は、その集団の他の構成員とともに自己の文化を享有し、 自己の宗教を信仰しかつ実践し又は自己の言語を使用する権利を否定されない。
▼アイヌ民族の文化、宗教、言語はここでも保護されている。(2020.5.7)
▼B規約の27条までが自由権の具体的内容。A規約は社会権。「人権教科書」はB規約が土台。(2020.11.20)
▼第28条〜第45条は人権委員会の実務に関する規定。事務総長の役割、経済社会理事会を通じての 年次報告の国連総会への提出など。(2020.5.7)
第二十八条
1 人権委員会(以下「委員会」という。)を設置する。委員会は、十八人の委員で構成するものとして、この部に定める任務を行う。
2 委員会は、高潔な人格を有し、かつ、人権の分野において能力を認められたこの規約の締約国の国民で構成する。 この場合において、法律関係の経験を有する者の参加が有益であることに考慮を払う。
3 委員会の委員は、個人の資格で、選挙され及び職務を遂行する。

第二十九条
1 委員会の委員は、前条に定める資格を有し、かつ、この規約の締約国により選挙のために指名された者の名簿の中から秘密投票により選出される。
2 この規約の各締約国は、一人又は二人を指名することができる。指名される者は、指名する国の国民とする。
3 いずれの者も、再指名される資格を有する。

第三十条
1 委員会の委員の最初の選挙は、この規約の効力発生の日の後六箇月以内に行う。
2 第三十四条の規定に従って空席(第三十三条の規定により宣言された空席をいう。)を補充するための選挙の場合を除くほか、 国際連合事務総長は、委員会の委員の選挙の日の遅くとも四箇月前までに、この規約の締約国に対し、 委員会の委員に指名された者の氏名を三箇月以内に提出するよう書面で要請する。
3 国際連合事務総長は、2にいう指名された者のアルファベット順による名簿(これらの者を指名した締約国名を表示した名簿とする。)を作成し、 名簿を各選挙の日の遅くとも一箇月前までにこの規約の締約国に送付する。
4 委員会の委員の選挙は、国際連合事務総長により国際連合本部に招集されるこの規約の締約国の会合において行う。 この会合は、この規約の締約国の三分の二をもって定足数とする。 この会合においては、出席しかつ投票する締約国の代表によって投じられた票の最多数で、かつ、 過半数の票を得た指名された者をもって委員会に選出された委員とする。

第三十一条
1 委員会は、1の国の国民を二人以上含むことができない。
2 委員会の選挙に当たっては、委員の配分が地理的に衡平に行われること 並びに異なる文明形態及び主要な法体系が代表されることを考慮に入れる。

第三十二条
1 委員会の委員は、四年の任期で選出される。委員は、再指名された場合には、再選される資格を有する。 ただし、最初の選挙において選出された委員のうち九人の委員の任期は、二年で終了するものとし、これらの九人の委員は、 最初の選挙の後直ちに、第三十条4に規定する会合において議長によりくじ引で選ばれる。
2 任期満了の際の選挙は、この部の前諸条の規定に従って行う。

第三十三条
1 委員会の委員が一時的な不在以外の理由のためその職務を遂行することができなくなったことを他の委員が一致して認める場合には、 委員会の委員長は国際連合事務総長にその旨を通知するものとし、同事務総長は、当該委員の職が空席となったことを宣言する。
2 委員会の委員が死亡し又は辞任した場合には、委員長は、直ちに国際連合事務総長にその旨を通知するものとし、 同事務総長は、死亡し又は辞任した日から当該委員の職が空席となったことを宣言する。

第三十四条
1 前条の規定により空席が宣言された場合において、当該宣言の時から六箇月以内に交代される委員の任期が満了しないときは、 国際連合事務総長は、この規約の各締約国にその旨を通知する。各締約国は、空席を補充するため、二箇月以内に 第二十九条の規定により指名された者の氏名を提出することができる。
2 国際連合事務総長は、1にいう指名された者のアルファベット順による名簿を作成し、 この規約の締約国に送付する。空席を補充するための選挙は、この部の関連規定に従って行う。
3 前条の規定により宣言された空席を補充するために選出された委員会の委員は、 同条の規定により委員会における職が空席となった委員の残余の期間在任する。

第三十五条
 委員会の委員は、国際連合総会が委員会の任務の重要性を考慮して決定する条件に従い、 同総会の承認を得て、国際連合の財源から報酬を受ける。

第三十六条
 国際連合事務総長は、委員会がこの規約に定める任務を効果的に遂行するために必要な職員及び便益を提供する。

第三十七条
1 国際連合事務総長は、委員会の最初の会合を国際連合本部に招集する。
2 委員会は、最初の会合の後は、手続規則に定める時期に会合する。
3 委員会は、通常、国際連合本部又はジュネーブにある国際連合事務所において会合する。

第三十八条
 委員会のすべての委員は、職務の開始に先立ち、公開の委員会において、 職務を公平かつ良心的に遂行する旨の厳粛な宣誓を行う。

第三十九条
1 委員会は、役員を二年の任期で選出する。役員は、再選されることができる。
2 委員会は、手続規則を定める。この手続規則には、特に次のことを定める。
(a) 十二人の委員をもって定足数とすること。
(b) 委員会の決定は、出席する委員が投ずる票の過半数によって行うこと。

第四十条
1 この規約の締約国は、
(a)当該締約国についてこの規約が効力を生ずる時から一年以内に、
(b)その後は委員会が要請するときに、
この規約において認められる権利の実現のためにとった措置 及びこれらの権利の享受についてもたらされた進歩に関する報告を提出することを約束する。
2 すべての報告は、国際連合事務総長に提出するものとし、同事務総長は、検討のため、これらの報告を委員会に送付する。 報告には、この規約の実施に影響を及ぼす要因及び障害が存在する場合には、これらの要因及び障害を記載する。
3 国際連合事務総長は、委員会との協議の後、報告に含まれるいずれかの専門機関の権限の範囲内にある事項に関する部分の写しを 当該専門機関に送付することができる。
4 委員会は、この規約の締約国の提出する報告を検討する。 委員会は、委員会の報告及び適当と認める一般的な性格を有する意見を締約国に送付しなければならず、 また、この規約の締約国から受領した報告の写しとともに当該一般的な性格を有する意見を経済社会理事会に送付することができる。
5 この規約の締約国は、四の規定により送付される一般的な性格を有する意見に関する見解を委員会に提示することができる。

第四十一条
1 この規約の締約国は、この規約に基づく義務が他の締約国によって履行されていない旨を主張するいずれかの締約国からの通報を 委員会が受理しかつ検討する権限を有することを認めることを、この条の規定に基づいていつでも宣言することができる。 この条の規定に基づく通報は、委員会の当該権限を自国について認める宣言を行った締約国による通報である場合に限り、 受理しかつ検討することができる。委員会は、宣言を行っていない締約国についての通報を受理してはならない。 この条の規定により受理される通報は、次の手続に従って取り扱う。
(a) この規約の締約国は、他の締約国がこの規約を実施していないと認める場合には、書面による通知により、 その事態につき当該他の締約国の注意を喚起することができる。通知を受領する国は、 通知の受領の後三箇月以内に、当該事態について説明する文書その他の文書を、通知を送付した国に提供する。 これらの文書は、当該事態について既にとられ、現在とっており又は将来とることができる 国内的な手続及び救済措置に、可能かつ適当な範囲において、言及しなければならない。
(b) 最初の通知の受領の後六箇月以内に当該事案が関係締約国の双方の満足するように調整されない場合には、 いずれの一方の締約国も、委員会及び他方の締約国に通告することにより当該事案を委員会に付託する権利を有する。
(c) 委員会は、付託された事案について利用し得るすべての国内的な救済措置がとられかつ尽くされたことを確認した後に限り、 一般的に認められた国際法の原則に従って、付託された事案を取り扱う。ただし、救済措置の実施が不当に遅延する場合は、この限りでない。
(d) 委員会は、この条の規定により通報を検討する場合には、非公開の会合を開催する。
(e) (c)の規定に従うことを条件として、委員会は、この規約において認められる人権及び基本的自由の尊重を基礎として 事案を友好的に解決するため、関係締約国に対してあっ旋を行う。
(f) 委員会は、付託されたいずれの事案についても、(b)にいう関係締約国に対し、あらゆる関連情報を提供するよう要請することができる。
(g) (b)にいう関係締約国は、委員会において事案が検討されている間において代表を出席させる権利を有するものとし、 また、口頭又は書面により意見を提出する権利を有する。
(h) 委員会は、(b)の通告を受領した日の後十二箇月以内に、報告を提出する。報告は、各事案ごとに、関係締約国に送付する。
  (i) (e)の規定により解決に到達した場合には、委員会は、事実及び到達した解決について簡潔に記述したものを
    報告する。
 (ii) (e)の規定により解決に到達しない場合には、委員会は、事実について簡潔に記述したものを報告するものと
    し、当該報告に関係締約国の口頭による意見の記録及び書面による意見を添付する。
2 この条の規定は、この規約の十の締約国が1の規定に基づく宣言を行った時に効力を生ずる。 宣言は、締約国が国際連合事務総長に寄託するものとし、同事務総長は、その写しを他の締約国に送付する。 宣言は、同事務総長に対する通告によりいつでも撤回することができる。 撤回は、この条の規定に従って既に送付された通報におけるいかなる事案の検討をも妨げるものではない。 宣言を撤回した締約国による新たな通報は、同事務総長がその宣言の撤回の通告を受領した後は、 当該締約国が新たな宣言を行わない限り、受理しない。

第四十二条
1 (a) 前条の規定により委員会に付託された事案が関係締約国の満足するように解決されない場合には、 委員会は、関係締約国の事前の同意を得て、特別調停委員会(以下「調停委員会」という。)を設置することができる。 調停委員会は、この規約の尊重を基礎として当該事案を友好的に解決するため、関係締約国に対してあっ旋を行う。
(b) 調停委員会は、関係締約国が容認する五人の者で構成する。調停委員会の構成について三箇月以内に関係締約国が合意に達しない場合には、 合意が得られない調停委員会の委員については、委員会の秘密投票により、三分の二以上の多数による議決で、 委員会の委員の中から選出する。
2 調停委員会の委員は、個人の資格で、職務を遂行する。委員は、関係締約国、 この規約の締約国でない国又は前条の規定に基づく宣言を行っていない締約国の国民であってはならない。
3 調停委員会は、委員長を選出し及び手続規則を採択する。
4 調停委員会の会合は、通常、国際連合本部又はジュネーブにある国際連合事務所において開催する。 もっとも、この会合は、調停委員会が国際連合事務総長及び関係締約国との協議の上決定する他の適当な場所において開催することができる。
5 第三十六条の規定により提供される事務局は、また、この条の規定に基づいて設置される調停委員会のために役務を提供する。
6 委員会が受領しかつ取りまとめる情報は、調停委員会の利用に供しなければならず、また、調停委員会は、 関係締約国に対し、他のあらゆる関連情報を提供するよう要請することができる。
7 調停委員会は、事案を十分に検討した後に、かつ、検討のため事案を取り上げた後いかなる場合にも十二箇月以内に、 関係締約国に通知するため、委員会の委員長に報告を提出する。
(a) 十二箇月以内に事案の検討を終了することができない場合には、調停委員会は、事案の検討状況について簡潔に記述したものを報告する。
(b) この規約において認められる人権の尊重を基礎として事案の友好的な解決に到達した場合には、調停委員会は、 事実及び到達した解決について簡潔に記述したものを報告する。
(c) (b)に規定する解決に到達しない場合には、調停委員会の報告には、 関係締約国間の係争問題に係るすべての事実関係についての調査結果及び当該事案の友好的な解決の可能性に関する意見を記載するとともに 関係締約国の口頭による意見の記録及び書面による意見を添付する。
(d) (c)の規定により調停委員会の報告が提出される場合には、関係締約国は、その報告の受領の後三箇月以内に、 委員会の委員長に対し、調停委員会の報告の内容を受諾するかどうかを通告する。
8 この条の規定は、前条の規定に基づく委員会の任務に影響を及ぼすものではない。
9 関係締約国は、国際連合事務総長が作成する見積りに従って、調停委員会の委員に係るすべての経費を平等に分担する。
10 国際連合事務総長は、必要なときは、9の規定による関係締約国の経費の分担に 先立って調停委員会の委員の経費を支払う権限を有する。

第四十三条
 委員会の委員及び前条の規定に基づいて設置される調停委員会の委員は、 国際連合の特権及び免除に関する条約の関連規定に規定する国際連合のための職務を行う 専門家の便益、特権及び免除を享受する。

第四十四条
 この規約の実施に関する規定は、国際連合及び専門機関の基本文書並びに国際連合及び専門機関において作成された 諸条約により又はこれらの基本文書及び諸条約に基づき人権の分野に関し定められた手続を妨げることなく適用するものとし、 この規約の締約国の間で効力を有する一般的な又は特別の国際取極による紛争の解決のため、 この規約の締約国が他の手続を利用することを妨げるものではない。

第四十五条
 委員会は、その活動に関する年次報告を経済社会理事会を通じて国際連合総会に提出する。


第四十六条
 この規約のいかなる規定も、この規約に規定されている事項につき、 国際連合の諸機関及び専門機関の任務をそれぞれ定めている国際連合憲章及び専門機関の 基本文書の規定の適用を妨げるものと解してはならない。

第四十七条
 この規約のいかなる規定も、 すべての人民がその天然の富及び資源を十分かつ自由に享受し及び利用する固有の権利を害するものと解してはならない。

第四十八条
1 この規約は、国際連合又はいずれかの専門機関の加盟国、 国際司法裁判所規程の当事国及びこの規約の締約国となるよう国際連合総会が招請する他の国による署名のために開放しておく。
2 この規約は、批准されなければならない。批准書は、国際連合事務総長に寄託する。
3 この規約は、1に規定する国による加入のために開放しておく。
4 加入は、加入書を国際連合事務総長に寄託することによって行う。
5 国際連合事務総長は、この規約に署名し又は加入したすべての国に対し、各批准書又は各加入書の寄託を通報する。

第四十九条
1 この規約は、三十五番目の批准書又は加入書が国際連合事務総長に寄託された日の後三箇月で効力を生ずる。
2 この規約は、三十五番目の批准書又は加入書が寄託された後に批准し又は加入する国については、 その批准書又は加入書が寄託された日の後三箇月で効力を生ずる。

第五十条
 この規約は、いかなる制限又は例外もなしに、連邦国家のすべての地域について適用する。

第五十一条
1 この規約のいずれの締約国も、改正を提案し及び改正案を国際連合事務総長に提出することができる。 同事務総長は、直ちに、この規約の締約国に対し、改正案を送付するものとし、 締約国による改正案の審議及び投票のための締約国会議の開催についての賛否を同事務総長に通告するよう要請する。 締約国の三分の一以上が会議の開催に賛成する場合には、同事務総長は、国際連合の主催の下に会議を招集する。 会議において出席しかつ投票する締約国の過半数によって採択された改正案は、承認のため、国際連合総会に提出する。
2 改正は、国際連合総会が承認し、かつ、この規約の締約国の三分の二以上の多数がそれぞれの国の憲法上の手続に従って受諾したときに、 効力を生ずる。
3 改正は、効力を生じたときは、改正を受諾した締約国を拘束するものとし、 他の締約国は、改正前のこの規約の規定(受諾した従前の改正を含む。)により引き続き拘束される。

第五十二条
 第四十八条五の規定により行われる通報にかかわらず、国際連合事務総長は、同条1に規定するすべての国に対し、次の事項を通報する。
(a) 第四十八条の規定による署名、批准及び加入
(b) 第四十九条の規定に基づきこの規約が効力を生ずる日及び前条の規定により改正が効力を生ずる日

第五十三条
1 この規約は、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とし、国際連合に寄託される。
2 国際連合事務総長は、この規約の認証謄本を第四十八条に規定するすべての国に送付する。

   以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けて、 千九百六十六年十二月十九日にニューヨークで署名のために開放されたこの規約に署名した。

              「人権教科書」の出版を希望しています
現在国連には「人権宣言」を筆頭に約30の人権にかかわる条約・規約があります。
しかしそれらがどういう内容なのか、また、実効性を持たせるための手段がどのように準備されているのか、 かつまたそれらがどれだけ守られているのか、国連で蓄積されてきたこれらの経験・英知を全体として世界のすべての市民が知る必要があり、 国連でもそのことは推奨されています。
21世紀の国連を中心とした世界共同体を、一人一人の人権が尊重され守られる社会に変えていくためには、 これまでの国連の達成物をただ受動的に知るだけでなく、書き込まれた願い、目標を実現するために、 さらには新たな条約を作り出していくために私たち市民は行動する必要があります。
こうしたことを若い中学・高校生の世代に学校で教えられる「人権教科書」のようなものがあればいいのではないかと考えています。
戦後日本には1948年〜1953年のごく短い期間でしたが、文部省が作った『民主主義』の教科書が学校で実際に使われた例があり、 その授業の経験は70年後の今の85歳以上の世代に生きていることを朝日新聞の記事(2020.8.11)で知りました。
このような教育を実践するために「人権教科書」が欲しいです。これは学校だけでなく家庭でも読まれ、 ゆくゆくは世界の各家庭に1冊は本棚にあればいいな、と考えています。それは多分「新書的」なものかな、とおもっています。
よろしくご検討お願い致します。
2020年11月19日           大西 信也
▼これを持って出版社に掛け合ってみようと思っています。(2020.11.20)
人権教育啓発推進センター、文科省初等中等教育局児童生徒課(人権教育担当)などにも足を運んでみます。(2020.11.23)


 この条約の締約国は、
 国際連合憲章において宣明された原則によれば、人類社会のすべての構成員の平等のかつ奪い得ない権利を認めることが世界における自由、 正義及び平和の基礎を成すものであることを考慮し、
 これらの権利が人間の固有の尊厳に由来することを認め、
 人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守を助長すべき義務を国際連合憲章、 特にその第五十五条の規定に基づいて諸国が負っていることを考慮し、
 何人も拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けないことを定めている 世界人権宣言第五条及び市民的及び政治的権利に関する国際規約第七条の規定に留意し、
 また、千九百七十五年十二月九日に国際連合総会で採択された 拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰を受けることからのすべての人の保護に関する宣言に留意し、
 拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰を無くすための 世界各地における努力を一層効果的なものとすることを希望して、
 次のとおり協定した。
第一部
第一条
1.この条約の適用上、「拷問」とは、身体的なものであるか精神的なものであるかを問わず 人に重い苦痛を故意に与える行為であって、本人若しくは第三者から情報若しくは自白を得ること、 本人若しくは第三者が行ったか若しくはその疑いがある行為について本人を罰すること、 本人若しくは第三者を脅迫し若しくは強要することその他これらに類することを目的として 又は何らかの差別に基づく理由によって、かつ、公務員その他の公的資格で行動する者により 又はその扇動により若しくはその同意若しくは黙認の下に行われるものをいう。
▼狭山事件はこれに該当(2020.6.25)

「拷問」には、合法的な制裁の限りで苦痛が生ずること又は合法的な制裁に固有の若しくは付随する苦痛を与えることを含まない。
2.1の規定は、適用範囲が一層広い規定を含んでおり又は含むことのある国際文書又は国内法令に影響を及ぼすものではない。
第二条
1.締約国は、自国の管轄の下にある領域内において拷問に当たる行為が行われることを防止するため、 立法上、行政上、司法上その他の効果的な措置をとる。
2.戦争状態、戦争の脅威、内政の不安定又は他の公の緊急事態であるかどうかにかかわらず、 いかなる例外的な事態も拷問を正当化する根拠として援用することはできない。
3.上司又は公の機関による命令は、拷問を正当化する根拠として援用することはできない。
第三条
1.締約国は、いずれの者をも、その者に対する拷問が行われるおそれがあると信ずるに足りる実質的な根拠がある他の国へ追放し、 送還し又は引き渡してはならない。
2.権限のある当局は、1の根拠の有無を決定するに当たり、すべての関連する事情 (該当する場合には、関係する国における一貫した形態の重大な、明らかな又は大規模な人権侵害の存在を含む。)を考慮する。
第四条
1.締約国は、拷問に当たるすべての行為を自国の刑法上の犯罪とすることを確保する。拷問の未遂についても同様とし、 拷問の共謀又は拷問への加担に当たる行為についても同様とする。
▼この条項は凄い。冤罪事件を防げる!(2020.6.25)

2.締約国は、1の犯罪について、その重大性を考慮した適当な刑罰を科することができるようにする。
第五条
1.締約国は、次の場合において前条の犯罪についての自国の裁判権を設定するため、必要な措置をとる。
(a)犯罪が自国の管轄の下にある領域内で又は自国において登録された船舶若しくは航空機内で行われる場合
(b)容疑者が自国の国民である場合
(c)自国が適当と認めるときは、被害者が自国の国民である場合
2.締約国は、容疑者が自国の管轄の下にある領域内に所在し、かつ、自国が1のいずれの締約国に対しても 第八条の規定による当該容疑者の引渡しを行わない場合において前条の犯罪についての自国の裁判権を設定するため、同様に、必要な措置をとる。
3.この条約は、国内法に従って行使される刑事裁判権を排除するものではない。
第六条
1.第四条の犯罪の容疑者が領域内に所在する締約国は、自国が入手することができる情報を検討した後、 状況によって正当であると認める場合には、当該容疑者の所在を確実にするため、抑留その他の法的措置をとる。 この措置は、当該締約国の法令に定めるところによるものとするが、 刑事訴訟手続又は犯罪人引渡手続を開始するために必要とする期間に限って継続することができる。
2.1の措置をとった締約国は、事実について直ちに予備調査を行う。
3.1の規定に基づいて抑留された者は、その国籍国の最寄りの適当な代表と又は、 当該者が無国籍者である場合には、当該者が通常居住している国の代表と直ちに連絡を取ることについて援助を与えられる。
4.いずれの国も、この条の規定に基づいていずれかの者を抑留する場合には、 前条1(a)、(b)又は(c)の場合に該当する国に対し、当該者が抑留されている 事実及びその抑留が正当とされる事情を直ちに通報する。 2の予備調査を行う国は、その結果をこれらの国に対して速やかに報告するものとし、 また、自国が裁判権を行使する意図を有するか否かを明らかにする。
第七条
1.第四条の犯罪の容疑者がその管轄の下にある領域内で発見された締約国は、 第五条の規定に該当する場合において、当該容疑者を引き渡さないときは、訴追のため自国の権限のある当局に事件を付託する。
2.1の当局は、自国の法令に規定する通常の重大な犯罪の場合と同様の方法で決定を行う。 第五条2の規定に該当する場合における訴追及び有罪の言渡しに必要な証拠の基準は、 同条1の規定に該当する場合において適用される基準よりも緩やかなものであってはならない。
3.いずれの者も、自己につき第四条の犯罪のいずれかに関して訴訟手続がとられている場合には、 そのすべての段階において公正な取扱いを保障される。
第八条
1.第四条の犯罪は、締約国間の現行の犯罪人引渡条約における引渡犯罪とみなされる。 締約国は、相互間で将来締結されるすべての犯罪人引渡条約に同条の犯罪を引渡犯罪として含めることを約束する。
2.条約の存在を犯罪人引渡しの条件とする締約国は、自国との間に犯罪人引渡条約を締結していない他の締約国から 犯罪人引渡しの請求を受けた場合には、この条約を第四条の犯罪に関する犯罪人引渡しのための法的根拠とみなすことができる。 この犯罪人引渡しは、請求を受けた国の法令に定める他の条件に従う。
3.条約の存在を犯罪人引渡しの条件としない締約国は、犯罪人引渡しの請求を受けた国の法令に定める条件に従い、 相互間で、第四条の犯罪を引渡犯罪と認める。
4.第四条の犯罪は、締約国間の犯罪人引渡しに関しては、当該犯罪が発生した場所のみでなく、 第五条1の規定に従って裁判権を設定しなければならない国の領域内においても行われたものとみなされる。
第九条
1.締約国は、第四条の犯罪のいずれかについてとられる刑事訴訟手続に関し、 相互に最大限の援助(当該訴訟手続に必要であり、かつ、自国が提供することができるすべての証拠の提供を含む。)を与える。
2.締約国は、相互間に司法上の相互援助に関する条約が存在する場合には、当該条約に合致するように1に規定する義務を履行する。
第十条
1.締約国は、拷問の禁止についての教育及び情報が、逮捕され、抑留され又は拘禁される者の身体の拘束、 尋問又は取扱いに関与する法執行の職員(文民であるか軍人であるかを問わない。)、医療職員、 公務員その他の者に対する訓練に十分取り入れられることを確保する。
▼ふだんからこういう教育が日本で行われているか?(2020.6.25)

2.締約国は、1に規定する職員、公務員その他の者の義務及び職務に関する規則又は指示に拷問の禁止を含める。
第十一条
 締約国は、拷問が発生することを無くすため、尋問に係る規則、指示、 方法及び慣行並びに自国の管轄の下にある領域内で逮捕され、抑留され又は拘禁される者の身体の拘束及び取扱いに係る措置についての 体系的な検討を維持する。
第十二条
 締約国は、自国の管轄の下にある領域内で拷問に当たる行為が行われたと信ずるに足りる合理的な理由がある場合には、 自国の権限のある当局が迅速かつ公平な調査を行うことを確保する。
第十三条
 締約国は、自国の管轄の下にある領域内で拷問を受けたと主張する者が自国の権限のある当局に 申立てを行い迅速かつ公平な検討を求める権利を有することを確保する。 申立てを行った者及び証人をその申立て又は証拠の提供の結果生ずるあらゆる不当な 取扱い又は脅迫から保護することを確保するための措置がとられるものとする。
第十四条
1.締約国は、拷問に当たる行為の被害者が救済を受けること及び公正かつ適正な賠償を受ける 強制執行可能な権利を有すること(できる限り十分なリハビリテーションに必要な手段が与えられることを含む。) を自国の法制において確保する。被害者が拷問に当たる行為の結果死亡した場合には、その被扶養者が賠償を受ける権利を有する。
2.1の規定は、賠償に係る権利であって被害者その他の者が国内法令に基づいて有することのあるものに影響を及ぼすものではない。
第十五条
 締約国は、拷問によるものと認められるいかなる供述も、当該供述が行われた旨の事実についての、 かつ、拷問の罪の被告人に不利な証拠とする場合を除くほか、訴訟手続における証拠としてはならないことを確保する。
▼「拷問によるものと認められるいかなる供述も、訴訟手続における証拠としてはならない」この規定が冤罪事件で裁判所は 適用しているか?(2020.6.25)

第十六条
1.締約国は、自国の管轄の下にある領域内において、第一条に定める拷問には至らない他の行為であって、 残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に当たり、かつ、 公務員その他の公的資格で行動する者により又はその扇動により若しくはその同意若しくは 黙認の下に行われるものを防止することを約束する。特に、第十条から第十三条までに規定する義務については、 これらの規定中「拷問」を「他の形態の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰」と読み替えた上で適用する。
2.この条約は、残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を禁止し又は 犯罪人引渡し若しくは追放に関連する他の国際文書又は国内法令に影響を及ぼすものではない。

第二部
第十七条
1.拷問の禁止に関する委員会(以下「委員会」という。)を設置する。委員会は、この部に定める任務を行う。 委員会は、徳望が高く、かつ、人権の分野において能力を認められた十人の専門家により構成され、 これらの専門家は、個人の資格で職務を遂行する。これらの専門家については、締約国が、 委員会の委員の配分が地理的に衡平に行われること及び法律関係の経験を有する者の参加が有益であることを考慮して選出する。
▼「拷問禁止委員会」は既に活動しているのか?(2020.6.25)
拷問禁止委員会 http://www.news-pj.net/siryou/2007/goumonkinshiiinkai-20070518.html

2.委員会の委員は、締約国により指名された者の名簿の中から秘密投票により選出される。 各締約国は、自国民の中から一人を指名することができる。締約国は、市民的及び政治的権利に関する国際規約に基づいて 設置された人権委員会の委員でもあり、かつ、拷問の禁止に関する委員会の任務を遂行する意思を有する者を指名することが 有益であることに留意する。
3.委員会の委員の選挙は、国際連合事務総長により招集される二年ごとの締約国の会合において行う。 この会合は締約国の三分の二をもって定足数とし、会合に出席しかつ投票する締約国の代表によって投じられた票の最多数で、 かつ、過半数の票を得た者をもって委員会に選出された委員とする。
4.委員会の委員の最初の選挙は、この条約の効力発生の日の後六箇月以内に行う。 国際連合事務総長は、委員会の委員の選挙の日の遅くとも四箇月前までに、締約国に対し、 自国が指名する者の氏名を三箇月以内に提出するよう書簡で要請する。同事務総長は、 このようにして指名された者のアルファベット順による名簿(これらの者を指名した締約国名を表示した名簿とする。) を作成し、締約国に送付する。
5.委員会の委員は、四年の任期で選出され、再指名された場合には、再選される資格を有する。 最初の選挙において選出された委員のうち五人の委員(これらの委員は、最初の選挙の後直ちに、 3に規定する会合において議長がくじで定めるものとする。)の任期は、二年で終了する。
6.委員会の委員が死亡し、辞任し又は他の理由により委員会の任務を遂行することができなくなった場合には、 当該委員を指名した締約国は、締約国の過半数の承認が得られることを条件として、 自国民の中から当該委員の残任期間中その職務を遂行する他の専門家を任命する。 その任命については、国際連合事務総長がこれを通報した後六週間以内に締約国の二分の一以上が反対しない限り、 必要な承認が得られたものとする。
7.締約国は、委員会の任務を遂行中の委員に係る経費について責任を負う。
第十八条
1.委員会は、役員を二年の任期で選出する。役員は、再選されることができる。
2.委員会は、手続規則を定める。この手続規則には、特に次のことを定める。
(a)六人の委員をもって定足数とすること。
(b)委員会の決定は、出席する委員が投ずる票の過半数によって行うこと。
3.国際連合事務総長は、委員会がこの条約に基づく任務を効果的に遂行するために必要な職員及び便益を提供する。
4.国際連合事務総長は、委員会の最初の会合を招集する。委員会は、最初の会合の後は、手続規則に定める時期に会合する。
5.締約国は、締約国の会合及び委員会の会合の開催に関連して生じた経費 (職員及び便益に係る費用等3に規定するところにより国際連合に生じた経費の国際連合に対する償還を含む。)について責任を負う。
第十九条
1.締約国は、自国がこの条約に基づく約束を履行するためにとった措置に関する報告を、 この条約が自国について効力を生じた後一年以内に、国際連合事務総長を通じて委員会に提出する。 その後は、締約国は、新たにとった措置に関する補足報告を四年ごとに提出し、及び委員会が要請することのある他の報告を提出する。
2.国際連合事務総長は、1の報告をすべての締約国に送付する。
3.1の報告は、委員会によって検討される。委員会は、当該報告について、 一般的な性格を有する意見であって適当と認めるものを表明することができる。 この場合には、当該意見は関係締約国に送付され、当該関係締約国は委員会に対する応答として自国が適当 と認めるいかなる見解も表明することができる。
4.委員会は、第二十四条の規定に従って提出する委員会の年次報告に、その裁量により 、3の規定に従って表明した意見を、当該意見について関係締約国から受領した見解と共に含める旨を決定することができるものとし、 また、当該関係締約国が要請する場合には、1の規定に基づいて提出された報告の写しを含めることができる。
第二十条
1.委員会は、いずれかの締約国の領域内における拷問の制度的な実行の存在が十分 な根拠をもって示されていると認める信頼すべき情報を受領した場合には、当該締約国に対し、 当該情報についての検討に協力し及びこのために当該情報についての見解を提出するよう要請する。
2.委員会は、関係締約国が提出することのあるすべての見解を他の入手可能なすべての情報と共に考慮した上で、 正当であると認める場合には、一人又は二人以上の委員を指名して秘密調査を行わせ及び委員会への早急な報告を行わせることができる。
3.委員会は、2の規定に従って調査が行われる場合には、関係締約国の協力を求める。 この調査を行うに当たっては、当該関係締約国の同意がある場合には、その領域を訪問することができる。
4.委員会は、2の規定に従って委員から提出された調査結果を検討した後、当該状況に照らして 適当と認める意見又は提案を付して当該調査結果を関係締約国に送付する。
5.1から4までに規定する委員会のすべての手続は秘密とし、また、当該手続のすべての段階において1の締約国の協力を求める。 委員会は、2の規定に従って行われた調査に係る手続が完了した後、当該締約国と協議の上、当該手続の結果の概要を第二十四条の 規定に従って提出する委員会の年次報告に含めることを決定することができる。
▼この20条の規定も凄いです。(2020.6.25)

第二十一条
1.この条約の締約国は、この条約に基づく義務が他の締約国によって履行されていない旨を主張するいずれかの締約国からの通報を 委員会が受理し及び検討する権限を有することを認める宣言を、この条の規定に基づいていつでも行うことができる。 この通報は、委員会が当該権限を有することを自国について認める宣言を行った締約国によるものである場合に限り、 この条に定める手続に従って受理し及び検討することができる。委員会は、宣言を行っていない締約国についての通報を この条の規定の下で取り扱ってはならない。この条の規定に基づいて受理される通報は、次の手続に従って取り扱う。
(a)締約国は、他の締約国がこの条約を実施していないと認める場合には、書面による通知により、 当該事案につき当該他の締約国の注意を喚起することができる。通知を受領した国は、その受領の後三箇月以内に、 当該事案について事情を明らかにするための説明その他の陳述を、書面により、通知を送付した国に提供する。 当該説明その他の陳述には、当該事案について既にとられたか、とることとなっているか又は利用することのできる 国内的な手続及び救済措置への言及を、可能かつ適当な範囲内において含めなければならない。
(b)最初の通知の受領の後六箇月以内に(a)の事案が関係締約国の双方が満足するように調整されない場合には、 いずれの一方の締約国も、委員会及び他方の締約国に対する通報により当該事案を委員会に付託する権利を有する。
(c)委員会は、この条の規定に基づいて付託された事案についてすべての国内的な救済措置がとられかつ尽くされたことを確認した後に限り、 一般的に認められた国際法の原則に従い、当該付託された事案を取り扱う。ただし、救済措置の実施が不当に遅延する場合又は この条約の違反の被害者である者に効果的な救済を与える可能性に乏しい場合は、この限りでない。
(d)委員会は、この条の規定に基づいて通報を検討する場合には、非公開の会合を開催する。
(e)(c)の規定に従うことを条件として、委員会は、この条約に定める義務の尊重を基礎として 事案を友好的に解決するため、関係締約国に対してあっせんを行う。このため、委員会は、適当な場合には、 特別調停委員会を設置することができる。
(f)委員会は、この条の規定に基づいて付託されたいずれの事案についても、 (b)の関係締約国に対し、あらゆる関連情報を提供するよう要請することができる。
(g)(b)の関係締約国は、委員会において事案が検討されている間において代表を出席させ及び口頭又は書面により意見を述べる権利を有する。
(h) 委員会は、(b)の通報を受領した日の後十二箇月以内に、次の(i)又は(ii)の規定に従って報告を提出する。 報告は、各事案ごとに、関係締約国に送付する。
 (i) (e)の規定により解決が得られた場合には、委員会は、事実及び得られた解決について簡潔に記述した報告を提出する。
 (ii) (e)の規定により解決が得られない場合には、委員会は、事実について簡潔に記述した報告を提出し、 その報告に関係締約国の口頭による意見の記録及び書面による意見を添付する。
2.この条の規定は、五の締約国が1の規定に基づく宣言を行った時に効力を生ずる。宣言は、締約国が国際連合事務総長に寄託するものとし、 同事務総長は、その写しを他の締約国に送付する。宣言は、同事務総長に対する通告により、いつでも撤回することができる。 撤回は、この条の規定に基づく通報により既に付託された事案の検討を妨げるものではない。 同事務総長が宣言の撤回の通告を受領した後は、いずれの締約国による新たな通報も、関係締約国が新たに宣言を行わない限り、 この条の規定に基づいて受理してはならない。
第二十二条
1.この条約の締約国は、自国の管轄の下にある個人であっていずれかの締約国によるこの条約の規定の違反の被害者であると主張する者により 又はその者のために行われる通報を、委員会が受理し及び検討する権限を有することを認める宣言を、 この条の規定に基づいていつでも行うことができる。委員会は、宣言を行っていない締約国についての通報を受理してはならない。 2.委員会は、この条の規定に基づく通報であっても、匿名のもの又は通報を行う権利の濫用であるか 若しくはこの条約の規定と両立しないと認めるものについては、これを受理することのできないものとしなければならない。
▼この慎重さは当然ですね。(2020.6.25)

3.委員会は、2の規定に従うことを条件として、この条の規定に基づいて行われたいずれの通報についても、 1の規定に基づく宣言を行いかつこの条約のいずれかの規定に違反しているとされた締約国の注意を喚起する。 注意を喚起された国は、六箇月以内に、当該事案及び救済措置が当該国によりとられている場合には当該救済措置 についての事情を明らかにするための説明その他の陳述を、書面により、委員会に提出する。
4.委員会は、関係する個人により又はその者のために及び関係締約国により委員会の利用に供されたすべての情報に照らして、 この条の規定に基づいて受理する通報を検討する。
5.委員会は、次のことを確認しない限り、この条の規定に基づく個人からのいかなる通報もしてはならない。
(a)同一の事案が他の国際的な調査又は解決の手続によってかつて検討されたことがなく、かつ、現在検討されていないこと。
(b)当該個人が、利用し得るすべての国内的な救済措置を尽くしたこと。ただし、救済措置の実施が不当に遅延する場合 又はこの条約の違反の被害者である者に効果的な救済を与える可能性に乏しい場合は、この限りでない。
6.委員会は、この条の規定に基づいて通報を検討する場合には、非公開の会合を開催する。
7.委員会は、その見解を関係する締約国及び個人に送付する。
8.この条の規定は、五の締約国が1の規定に基づく宣言を行った時に効力を生ずる。 宣言は、締約国が国際連合事務総長に寄託するものとし、同事務総長は、その写しを他の締約国に送付する。 宣言は、同事務総長に対する通告により、いつでも撤回することができる。 撤回は、この条の規定に基づく通報により既に付託された事案の検討を妨げるものではない。 同事務総長が宣言の撤回の通告を受領した後は、個人によるか又はその者のための新たな通報は、 関係締約国が新たに宣言を行わない限り、この条の規定に基づいて受理してはならない。
第二十三条
 委員会の委員及び第二十一条1(e)の規定に基づいて設置される特別調停委員会の委員は、 国際連合の特権及び免除に関する条約の関連規定に規定する国際連合のための任務を行う専門家の便益、特権及び免除を享受する。
第二十四条
 委員会は、この条約に基づく活動に関する年次報告を締約国及び国際連合総会に提出する。

第三部
第二十五条
1.この条約は、すべての国による署名のために開放しておく。
2.この条約は、批准されなければならない。批准書は、国際連合事務総長に寄託する。
第二十六条
 この条約は、すべての国による加入のために開放しておく。加入は、加入書を国際連合事務総長に寄託することによって行う。
第二十七条
1.この条約は、二十番目の批准書又は加入書が国際連合事務総長に寄託された日の後三十日目の日に効力を生ずる。
2.二十番目の批准書又は加入書が寄託された後にこの条約を批准し又はこれに加入する国については、この条約は、 その批准書又は加入書の寄託の日の後三十日目の日に効力を生ずる。
第二十八条
1.各国は、この条約の署名若しくは批准又はこの条約への加入の際に、委員会が第二十条に規定する権限を有することを 認めない旨を宣言することができる。
2.1の規定に従って留保を付した締約国は、国際連合事務総長に対する通告により、いつでもその留保を撤回することができる。
第二十九条
1.この条約のいずれの締約国も、改正を提案し及び改正案を国際連合事務総長に提出することができる。 同事務総長は、締約国に対し改正案を直ちに送付するとともに、当該改正案についての審議及び投票のための 締約国会議の開催についての賛否を同事務総長に通報するよう要請する。 その送付の日から四箇月以内に締約国の三分の一以上が会議の開催に賛成する場合には、同事務総長は、 国際連合の主催の下に会議を招集する。会議に出席しかつ投票する締約国の過半数によって採択された改正案は、 受諾のため、国際連合事務総長によりすべての締約国に送付される。
2.1の規定に従って採択された改正は、この条約の締約国の三分の二がそれぞれの国の憲法上の手続に従って 当該改正を受諾した旨を国際連合事務総長に通告した時に、効力を生ずる。

3.改正は、効力を生じたときは、当該改正を受諾した締約国を拘束するものとし、他の締約国は、 改正前のこの条約の規定(自国が受諾した従前の改正によって改正された規定を含む。)により引き続き拘束される。
第三十条
1.この条約の解釈又は適用に関する締約国間の紛争で交渉によって解決することができないものは、 いずれかの紛争当事国の要請により、仲裁に付される。仲裁の要請の日から六箇月以内に仲裁の組織について紛争当事国が合意に達しない場合には、 いずれの紛争当事国も、国際司法裁判所規程に従って国際司法裁判所に紛争を付託することができる。
2.各国は、この条約の署名若しくは批准又はこの条約への加入の際に、1の規定に拘束されない旨を宣言することができる。 他の締約国は、そのような留保を付した締約国との関係において1の規定に拘束されない。
3.2の規定に従って留保を付した締約国は、国際連合事務総長に対する通告により、いつでもその留保を撤回することができる。
第三十一条
1.締約国は、国際連合事務総長に対して書面による通告を行うことにより、この条約を廃棄することができる。 廃棄は、同事務総長がその通告を受領した日の後一年で効力を生ずる。
2.廃棄は、廃棄が効力を生ずる日前に生じた作為又は不作為について、 この条約に基づく当該締約国の義務を免除するものではなく、また、廃棄が効力を生ずる日前に委員会が既に検討していた 問題について検討を継続することを妨げるものでもない。
3.委員会は、いずれかの締約国の廃棄が効力を生じた日の後は、当該国に関連する新たな問題の検討を開始してはならない。
第三十二条
 国際連合事務総長は、国際連合のすべての加盟国及びこの条約に署名し又は加入したすべての国に対し、次の事項を通報する。
(a)第二十五条及び第二十六条の規定による署名、批准及び加入
(b)第二十七条の規定によりこの条約が効力を生ずる日及び第二十九条の規定により改正が効力を生ずる日
(c)前条の規定による廃棄
第三十三条
1.この条約は、アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とし、国際連合事務総長に寄託される。
2.国際連合事務総長は、この条約の認証謄本をすべての国に送付する。

人権条約と委員会一覧 (Wikipediaより)

国際人権規約
自由権(B規約)
市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約) ・ 第1選択議定書 ・ 第2選択議定書(死刑廃止議定書) ・ 自由権規約人権委員会 (CCPR)
社会権(A規約)
経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約) ・ 選択議定書 ・ 社会権規約委員会 (CESCR)

人種差別
あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(人種差別撤廃条約) ・ 人種差別撤廃委員会 (CERD)
女性
女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(女子差別撤廃条約) ・ 選択議定書 ・ 女子差別撤廃委員会 (CEDAW)
拷問
拷問等禁止条約 ・ 選択議定書(en) ・ 拷問禁止委員会 (CAT) ・ 拷問防止小委員会 (SPT)
児童
児童の権利に関する条約 ・ 児童の売買、児童売春及び児童ポルノに関する選択議定書(en) ・ 武力紛争における児童の関与に関する選択議定書(en) ・ 通報手続に関する選択議定書 ・ 児童の権利委員会 (CRC)
移住労働者
全ての移住労働者及びその家族の権利の保護に関する国際条約 ・ 移住労働者委員会 (CMW)
障害者
障害者権利条約 ・ 選択議定書(en) ・ 障害者権利委員会 (CPRD)
強制失踪
強制失踪防止条約 ・ 強制失踪委員会 (CED)
国際連合人権高等弁務官事務所 (OHCHR)

▼ ここに取り上げられている人権条約だけでも世界共通の教養になっていて欲しいと思います。日常的に新聞で目にする人権問題は網羅されているように 思います。(202011.22)

国連人権理事会 https://www.unic.or.jp/activities/humanrights/hr_bodies/hr_council/

人権理事会(Human Rights Council)(www.ohchr.org/EN/HRBodies/HRC[別窓])は、 人権と基本的自由の促進と擁護に責任を持つ国連の主要な政府間機関である。 理事会は、60年間にわたって活動してきた「人権委員会(Commission on Human Rights)」に代わる機関として2006年に総会によって設置された。
理事会は人権侵害に取り組み、それに対応する勧告を行う。
理事会は人権の緊急事態に対処し、人権侵害を防止し、総合的な政策ガイダンスを提供し、 新しい国際規範を発展させ、世界のいたるところで人権順守を監視し、加盟国が人権に関する義務を果たせるように支援する。
また、国家(加盟国やオブザーバー国)や政府間組織、国内の人権機関、NGOが人権についての関心事項について発言できるようにする場を提供する。
人権理事会の47理事国は、総会が秘密投票によって直接かつ個々に選出する。総会の193票の過半数を得なければならない。 任期は3年で再選は可能であるが、連続して2期以上は務めることができない。 理事国は公平な地理的配分に基づいて選出される。アフリカ・グループとアジア・グループがそれぞれ13議席、 ラテンアメリカとカリブ海域が8議席、西欧およびその他が7議席、東欧が6議席である。
理事会は年間を通じ定期的に開かれる。10週間以上の会期を年に最低3回は開催する。 さらに、理事国の3分の1の支持を得た1理事国によって、特別会期をいつでも開催できる。 2016年、2回の特別会期が開かれた。最初の会期は、シリアにおける人権状況の悪化、 次会期は南スーダンにおける人権状況、に関するものであった。
理事会は必要に応じて広範にわたる専門家グループや作業部会の独立性や専門的知識を活用する。
理事会は、人権侵害の申し立てを調査するために調査委員会や事実調査団を設置する。
また、加盟国を支援し、必要な改善を行い、かつ侵害を非難するために政府との対話を行う。
その苦情申し立て手続きを通して、理事会は個人、グループまたはNGOによる重大かつ組織的な 人権侵害の申し立てを取り上げる。手続きは、すべての国におけるあらゆる人権および基本的自由について苦情を受ける唯一の普遍的な手続きである。
人権理事会の作業は、また、人権理事会諮問委員会(Human Rights Council Advisory Committee)の支援を受ける。 委員会は18人の専門家からなり、理事会のシンクタンクを務める。行方不明者、食糧への権利、ハンセン病に関連した差別、 人権に関する教育と研修のような人権問題に関して専門知識と助言を理事会に提供する。 その任務の実施に当たっては、国家、政府間機関、国内の人権機関、NGO、その他の市民社会の主体と互いに協力する。

普遍的・定期的レビュー(Universal Periodic Review)
人権理事会のもっとも革新的な特徴は、「普遍的・定期的レビュー(UPR)」である。 このユニークな制度には、国連の193全加盟国の人権記録を4年ごとに審査することが含まれる。 レビューは、理事会の主催のもとに、共同の、政府主導のプロセスである。理事会は、各国が自国の人権状況を改善し、 かつ国際の義務を果たすために採った措置および今後対処すべき課題についての報告書を提出する機会を提供する。 レビューはすべての国に対する扱いの普遍性と平等を確保するためのものである。
▼普通の市民がどうのようにすれば人権理事会に問題を持ち込めるのか。そこを知りたい。(2020.11.22)
国連・人権侵害に関する不服申立手続
https://www.unic.or.jp/activities/humanrights/complaint_procedure/
重大で一貫した人権侵害のパターンを通報する −人権理事会
国連人権理事会のもと、個人や市民組織が大規模な人権侵害を通報できるしくみがつくられています。 世界のあらゆる状況下で起こる人権と基本的自由の侵害のなかでも、重大で、 信頼できるレベルで立証された、一貫した侵害のパターンに関する申立が可能です。(2007年6月18日の人権理事会決議5/1)
個人の人権侵害を通報する −人権条約、議定書
以下の9つの「中核的」な人権条約のもと、それら条約に包含される人権の侵害について、国連に対する個人通報が可能です。 ただし、その個人の所属する国が条約の締約国であり、かつ同条約あるいは選択議定書の批准を通じて監視機関の権限を認めていることが必要です。
@市民的及び政治的権利に関する国際規約
A拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約
Bあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約
C女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約
D障害者の権利に関する条約
E強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約
Fすべての移住労働者とその家族の権利の保護に関する国際条約
G経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約
H児童の権利に関する条約
▼上記9つの条約で日本が選択議定書の批准をしているもの。
選択議定書 https://www.jstage.jst.go.jp/article/kokusaijosei/31/1/31_124/_pdf
日本の女性差別撤廃条約選択議定書批准に関する CEDAWからの要請 山下泰子
 日本は,国際人権主要9条約中8条約(移住労働者権利条約以外)を批准 していながら,いずれの条約でも個人通報を定め る選択議定書を批准(ないしは,選択条項を受諾) していない。人権条約は,国が個人の権利を保障 することを国際的に義務づけるものであって,条 約上の権利を侵害された個人が国際的に救済を求 めることができなければ,折角の条約も実効性が おぼつかない。
 女性差別撤廃条約の場合は,条約本体の採択か ら20年遅れて,1999年10月6日,第54会期国連総 会で,個人通報制度と調査制度を内容とする選択 議定書2)が採択され,現在,条約締約国189か国 中109か国3)が,選択議定書を批准している。日 本は,選択議定書を未批准なので,条約の実効性 を担保するのは,政府からの報告書を国連女性差 別撤廃委員会(Convention on Elimination of All forms of Discrimination Against Women 以下「CEDAW」)が審議する国家 報告制度しかない。
▼一応ここまで知ることができた。(2020.11.22)
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Y 1989年の原住民及び種族民条約(第169号)ILO条約 Indigenous and Tribal Peoples Convention, 1989 (No. 169)  全44条
1989/06/27 独立国における原住民及び種族民に関する条約(第169号)(日本は未批准、仮訳)
※「第 二 部 土地」 に関する13条〜19条の規定が特に重要。

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジュネーヴにおいて招集されて、1989年六月七日にその第七十六回会期として会合し、
 1957年の原住民及び種族民条約及び勧告に含まれる国際基準に留意し、
 世界人権宣言、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、市民的及び政治的権利に関する国際規約並びに差
  別の防止に関する多くの国際文書を想起し、
 1957年以降に国際法において起こった発展並びに世界のすべての地域における原住民及び種族民の状態の発展が、そ
 れ以前の基準の同化主義者的な方向付けを除去するため、問題について新しい国際基準を採択することを適切にしたこ
 とを考慮し、
 これらの人民の居住する国家の枠内において、これらの人民の制度、生活方法及び経済発展を管理し、並びにその独
 自性、言語及び宗教を維持し、発展させるという願望を認め、
 世界の多くの地域において、これらの人民が、その居住する国の他の住民と同程度の基本的人権を享受できないこと  並びにその法律、価値、習慣及び見通しがしばしば侵食されてきたことに留意し、
 人類の文化的多様性、社会的、生態学的調和並びに国際協力及び国際理解への原住民及び種族民の顕著な貢献に注意
 を払い、
 次の規定は、国際連合、国際連合食糧農業機関、国際連合教育科学文化機関及び世界保健機関並びに汎アメリカン・  インディアン協会の適切な段階及びそれぞれの分野における協力を得て作成されてきており、また、これらの規定の
 適用の促進及び確保に当たり、この協力を維持することが提案されていることに留意し、
 前記の会期の議事日程の第四議題である1957年の原住民及び種族民条約(第百七号)の一部改正に関する提案の採択
 を決定し、
 これらの提案が1957年の原住民及び種族民条約を改正する国際条約の形式をとるべきであることを決定して、
 次の条約(引用に際しては、1989年の原住民及び種族民条約と称することができる。)を1989年六月二十七日に採択
 する。
▼この前文にこれまでのいきさつがすべて要約されています。1957年以降30年間の変化を織り込んだ内容です。 (2020.5.8)

第 一 部 一般政策
第 一 条
1 この条約は、次の者について適用する。
 (a) 独立国における種族民で、その社会的、文化的及び経済的状態によりその国の共同社会の他の部類の者と区別され、 かつ、その地位が、自己の慣習若しくは伝統により又は特別の法令によって全部又は一部規制されているもの
 (b) 独立国における人民で、征服、植民又は現在の国境の確立の時に当該国又は当該国が地理的に属する地域に居住していた 住民の子孫であるため原住民とみなされ、かつ、法律上の地位のいかんを問わず、自己の社会的、経済的、 文化的及び政治的制度の一部又は全部を保持しているもの
▼アイヌ民族はこの条項に該当するとおもいます。(2020.5.8)

2 原住又は種族であるという自己認識は、この条約を適用する集団を決定する基本的な基準とみなされる。
3 この条約における「人民」という語の使用は、国際法の下においてその語に付随する場合のある権利について いずれかの意味を有すると解釈してはならない。
第 二 条
1 政府は、関係人民の参加を得て、これらの人民の権利を保護し及びこれらの人民の元の状態の尊重を保証するための調整され、 かつ、組織された活動を進展することについて責任を有する。
▼日本政府はアイヌ民族の「権利を保護し元の状態の尊重を保証」する責任を有する。 この条項はこのような意味です。政府にとってかなり重い責任があります。(2020.5.8)

2 当該活動には、次の措置を含む。
 (a) これらの人民の構成員が、平等の立場で、国内法令により当該住民のうちの 他の構成員が保証されている権利及び機会から利益を得ることができるよう確保すること。
 (b) これらの人民の社会的及び文化的独自性、慣習、伝統並びに制度を尊重して、その社会的、 経済的及び文化的権利の十分な実現を促進すること。
 (c) 原住民とその国の共同社会の他の構成員との間に存在しうる社会経済的格差を除去するため、 関係人民の構成員をその希望及び生活方法と適合する方法によって、援助すること。
第 三 条
1 原住民及び種族民は、妨害され又は差別されることなく、十分な人権及び基本的自由を享受する。 条約は、これらの人民の男女の構成員について差別なしに適用される。
2 いかなる形態の暴力及び強制も、関係人民の人権及び基本的自由(この条約に規定する諸権利を含む。)を侵害して用いてはならない。
第 四 条
1 関係人民の人身、制度、財産、労働、文化及び環境を保護するため、適当な場合には、特別の措置をとる。
2 その特別措置は、関係人民の自由に表明された希望に反してはならない。
3 その特別措置は、一般市民権を差別なく享受することをなんら害するものであってはならない。
第 五 条
 この条約の適用に当たり、
 (a) これらの人民の社会的、文化的、宗教的及び精神的な価値及び慣行は、承認され、保護されるものとし、 また、彼らが集団及び個人として直面する問題の性質に関して、適切な考慮が払われる。
 (b) これらの人民の価値、慣行及び制度の元の状態は尊重される。
 (c) これらの人民が生活及び労働の新たな条件に直面するに当たっては、影響をうける人民の参加及び協力を得て、 当該人民の経験する困難を緩和するための政策を行う。
第 六 条
1 この条約の適用に当たり、政府は、
 (a) 関係人民に直接影響するおそれのある法的又は行政的措置が検討されている場合には、 常に、適切な手続、特に、その代表的団体を通じて、これらの人民と協議する。
 (b) 関係人民が選挙による制度並びにこれらの人民に影響を与える政策及び計画に責任を有する行政機関及び他の機関に、 意思決定のすべての段階において、少なくとも地域の他の住民と同じ程度で、自由に参加することができる手段を確立する。
 (c) これらの人民自身の制度及び発意を十分に高める手段を確立し、また、適切な場合には、このために必要な財源を提供する。
2 この条約の適用に当たって行われる協議は、誠実にかつ状況に適する形式で、 提案された措置についての合意又は同意を達成する目的のために行われる。
第 七 条
1 関係人民は、その生活、信条、制度、精神的幸福及び自己が占有し又は使用する土地に影響を及ぼす開発過程に対し、 その優先順位を決定する権利及び可能な範囲内でその経済的、社会的及び文化的発展を管理する権利を有する。 更に、関係人民は、自己に直接影響するおそれのある国及び地域の発展のための計画及びプログラムの作成、実施及び評価に参加する。
▼アイヌ民族の歴史で見たように、日本の場合は明治維新後、アイヌ民族の参加なしで開発が植民地的支配としておこなわれた。 その回復は本条約でどのように考えられているのか。(2020.5.8)

2 関係人民の生活及び労働条件並びに健康及び教育水準の向上は、その参加及び協力を得て、 これらの人民が居住する地域の総合的経済開発計画において優先させる。その地域の開発のための特別計画も、 このような向上を促進するように立案される。
3 政府は、適当な場合にはいつでも、計画された開発事業が関係人民に与える社会的、精神的、 文化的及び環境的影響を評価するため、これらの人民と協力して、調査が行われることを確保する。 調査の結果は、これらの事業の実施のための基本的な基準とみなされる。
4 政府は、関係人民と協力して、これらの人民が居住する地域の環境を保護し及び維持する措置をとる。
第 八 条
1 関係人民へ国内法令を適用するに際しては、その慣習又は慣習法に適切な考慮を払う。
2 関係人民は、国内法制により定義された基本権及び国際的に承認された人権に矛盾しない場合には、 その慣習及び制度を維持する権利を有する。この原則の適用に当たり生ずるおそれのある紛争を解決するため、 必要な場合にはいつでも、手続を確立する。
3 1及び2の規定の適用は、関係人民の構成員が、すべての市民に与えられている権利を行使すること 及びそれに伴う義務を負担することを妨げるものではない。
第 九 条
1 国内法制及び国際的に承認された人権に適合する限りにおいて、関係人民の構成員が犯した違反を 扱うためにこれらの人民が慣習的に行っている方法を尊重する。
2 刑罰に関するこれらの人民の慣習については、当該刑罰の処理に当たる機関及び裁判所によって、考慮される。
第 十 条
1 一般的法律に定める刑罰を関係人民の構成員に科するに当たっては、その経済的、社会的及び文化的特性を考慮する。
2 拘置以外の処罰の方法を優先する。
第 十 一 条
 すべての市民について法律により規定される場合を除き、関係人民の構成員に対して強制的な個人的役務をいかなる形式で課することも、報酬の有無にかかわらず、法律により禁止され、かつ、罰せられる。
第 十 二 条
 関係人民はその権利の侵害から保護され、及び個人的に、又は代表的団体を通じて、 これらの権利の実効的な保護のために訴えを提起することができる。関係人民の構成員が、 訴訟において理解し及び理解されることを確保するため、必要な場合には、通訳の提供又は他の有効な手段によって措置がとられる。
▼やっぱり訴訟権が確保されている!これを行使しない手はない。(2020.5.8)

第 二 部 土地
第 十 三 条
1 この部の規定を適用するに当たり、政府は、関係人民が占有し若しくは使用している土地若しくは地域又は、 可能な場合には、その双方とこれらの人民との関係が有するその文化的及び精神的価値についての特別な重要性並びに、 特に、その関係の集団的側面を尊重する。
2 第十五条及び第十六条の「土地」という用語の使用には、関係人民が占有し又は使用している地域の全体的環境を包括する地域の概念を含む。
第 十 四 条
1 関係人民が伝統的に占有する土地の所有権及び占有権を認める。
更に、適切な場合には、排他的に占有していない土地で、関係人民の生存及び伝統的な活動のために伝統的に出入りしてきた土地を 利用するこれらの人民の権利を保証するための措置をとる。このため、遊牧民及び移動農耕者の状況について特別な注意を払う。
2 政府は、必要な場合には、関係人民が伝統的に占有する土地を確認し並びにその所有権及び占有権の効果的な保護を保証するための措置をとる。
3 関係人民による土地の請求を解決するために国の法制度内において適切な手続を確立する。
▼この第14条はこれからの裁判におおいに役立つ。「入会権」なども認めている。

第 十 五 条
1 関係人民の土地に属する天然資源に関する関係人民の権利は、特別に保護される。これらの権利には、 当該資源の使用、管理及び保存に参加するこれらの人民の権利を含む。
2 国家が鉱物若しくは地下資源の所有権又は土地に属する他の資源に対する権利を保有する場合には、政府は、当該資源の探査若しくは開発のための計画を実施し又は許可を与える前に、当該地域の関係人民の利益が害されるか及びどの程度まで害されるかを確認するため、これらの人民と協議する手続を確立し、又は維持する。関係人民は、可能な限り、このような活動の利益を享受し、かつ、当該活動の結果被るおそれのある損害に対しては、公正な補償を受ける。
第 十 六 条
1 2から5までの規定を条件として、関係人民は、自己が占有する土地から移転させられない。
2 例外的な措置としてこれらの人民の移転が必要と考えられる場合においては、 その移転は、関係人民の自由な、及び事情を知らされたうえでの同意のあるときにのみ行われる。 同意を得ることができない場合には、関係人民の有効な申立ての機会を規定する国内法令により設けられた適切な手続 (適切な場合には公的調査を含む。)を経ることのみにより、その移転は行われる。
3 可能な場合においていつでも、関係人民は、移転の理由がなくなったときは、直ちに自己の伝統的な土地に帰還する権利を有する。
4 3の帰還が可能でない場合において、定められた合意又はそのような合意が存在しないときは適当な手続により、 関係人民は、可能な限り、自己が以前に占有していた土地と少なくとも同等の質及び法的地位の土地であって、 その現在の必要及び将来の発展に備えるためにふさわしいものが供与される。これらの人民は、 金銭又は現物による補償のいずれかを希望した場合には、適切な保証に基づいてそうした補償が行われる。
5 1から4までに定めるところにより移転させられた者は、結果として生ずるいかなる損失又は損害に対しても、十分な補償を受ける。
第 十 七 条
1 関係人民の構成員の間の土地の権利の譲渡に関して、これらの人民により確立された手続は、尊重される。
2 関係人民は、その土地を譲渡し、又は他の方法により自己の共同体の外部に自己の権利を譲渡する資格について検討が行われるときはいつでも、 協議を受ける。
3 関係人民の構成員に属する土地の所有、占有又は使用を確保するため、これらの人民に属さない者が 、その慣習又は法律に関する当該構成員の知識の欠如を利用することを妨げる。
第 十 八 条
 関係人民の土地への許可なき侵入又はその土地の使用について、法律により適当な罰則が定められるものとし、政府は、これらの違反を防ぐための措置をとる。
第 十 九 条
 国の農地計画は、関係人民に対し、次のことについて、他の部類の住民に与えられる待遇と同様の待遇を確保する。
 (a) 関係人民の正常な生活に欠くことのできないものを確保するため又は将来の人口増加のために必要な地域を有していないときは、 これらの人民に対し、更に多くの土地を提供すること。
 (b) 関係人民がすでに所有している土地の開発を促進するために必要な手段を提供すること。
▼第2部「土地」13条〜19条は今後の土地使用のあり方の条文。過去の回復はどうするのか。(2020.5.8)


第 三 部 募集及び雇用の条件
第 二 十 条
1 政府は、国内法令の枠内において、及び関係人民の協力を得て、これらの人民に属する労働者の募集及び雇用条件について、 労働者一般について適用する法律によりこれらの人民が有効に保護されていない範囲内で、その有効な保護を確保するため、 特別な措置をとるものとする。
2 政府は、関係人民に属する労働者及び他の労働者との間のすべての差別待遇を防止するため、 可能なあらゆることを行うものとし、特に、次の事項に関して努力する。
 (a) 雇入れ(熟練労働への雇入れを含む。)並びに昇進及び昇格のための措置
 (b) 同一価値の労働に対する同一賃金
 (c) 医療扶助、社会扶助、職業上の安全及び健康、すべての社会保障給付、他の職業に関連する給付並びに住宅
 (d) 団結権、すべての合法的組合活動の自由及び使用者又は使用者団体との労働協約の締結権
3 とられる措置には、次のことを確保する措置を含む。
 (a) 関係人民に属する労働者(農業及び他の産業の雇用における季節労働者、臨時の労働者、 移民の労働者及び労働請負業者によって雇われた者を含む。)が、同じ部門における他の同様の労働者に対して 国内法及び慣行により与えられる保護を受けること並びに労働立法に基づき自己の権利及び利用できる救済の手段について十分に知らされること。
 (b) 関係人民に属する労働者が特に殺虫剤又は他の有毒物質にさらされることによって健康を害する労働条件のもとに置かれないこと。
 (c) これらの人民に属する労働者が強制的な募集方法(強制労働及び他の形態の債務労役を含む。)に服せられるべきでないこと。
 (d) これらの人民に属する労働者が雇用における男女間の均等な機会及び待遇並びに性的いやがらせからの保護を受けること。
4 関係人民に属する労働者が賃金の支払われる雇用に就いている地域において、この部の規定を遵守するため、 適切な労働監督サービスの確立について特別な注意が払われる。

第 四 部 職業訓練、手工業及び農村工業
第 二 十 一 条
 関係人民の構成員は、職業訓練措置について、少なくとも他の市民と平等な機会を享受するものとする。
第 二 十 二 条
1 関係人民の構成員が一般に適用する職業訓練計画に自発的に参加することを促進するための措置をとる。
2 一般に適用する現行の職業訓練計画が関係人民の特別の必要を満たさないときはいつでも、 政府は、その参加を得て、特別な訓練に関する計画及び施設の提供を確保する。
3 いかなる特別訓練計画も、関係人民の経済的環境、社会的及び文化的条件並びに実際の必要に基づく。 これに関連して行われるいかなる調査も、当該計画の編成と実施について協議を受けるこれらの人民の協力を得て行われる。 実行可能な場合において、これらの人民は、自己が決定したときは、当該計画の編成及び実施に対する責任を漸進的に引き受ける。
第 二 十 三 条
1 関係人民の手工業、農村及び地域社会を基盤とする産業並びに狩猟、漁業、わな掛け、採取のような生活経済及び伝統的活動は、 その文化の保存並びに経済的自立及び発展の重要な要因として認められる。 政府は、これらの人民の参加を得て、適当な場合にはいつでも、これらの活動が強化され及び促進されることを確保する。
2 関係人民の要請により、適当な技術的及び財政的援助が、これらの人民の伝統的技術及び文化的特性並びに持続的及び公正な発展の 重要性を考慮して、可能な場合にはいつでも提供される。

第 五 部 社会保障及び保健
第 二 十 四 条
 社会保障制度は、関係人民を対象とするよう漸進的に拡張され、差別なしにこれらの人民について適用される。
第 二 十 五 条
1 政府は、関係人民が達成可能な最高の肉体的及び精神的な健康水準を享受できるよう、 これらの人民が適当な保健サービスを利用できることを確保するものとし、又は、自己の責任と管理の下で、 これらの人民が当該サービスを計画し、供与するための資源を提供する。
2 保健サービスは、可能な範囲において、地域社会を基盤とする。これらのサービスは、関係人民の協力を得て、計画し、運営し、 並びにその伝統的な予防措置、治療方法及び薬剤とともにその経済的、地理的、社会的及び文化的条件を考慮する。
3 保健医療制度は、地域社会の保健医療労働者の訓練及び雇用を優先するものとし、 他のレベルの健康医療サービスと強い関連を維持しつつ、プライマリー・ヘルス・ケアに焦点を置く。
4 当該保健サービスの提供は、国の社会的、経済的及び文化的措置と調整される。

第 六 部 教育及び伝達の手段
第 二 十 六 条
 関係人民の構成員が、その国の共同社会の他の者と少なくとも同等の立場で、あらゆる段階の教育を受ける機会を有するよう確保するための措置をとる。
第 二 十 七 条
1 関係人民のための教育計画及びサービスは、これらの人民の特別の必要に合わせるため、これらの人民との協力により開発され、 実施され、かつ、その歴史、知識、技術、価値体系並びに社会的、経済的及び文化的願望を組み入れる。
2 権限のある機関は、適当な場合には、教育計画の実施の責任を関係人民に漸進的に移行させる目的で、 関係人民の構成員の訓練並びにその教育計画の編成及び実施への関与を確保する。
3 更に、政府は、関係人民の教育制度及び施設が権限のある機関によりこれらの人民との協議の上定められた最低基準を満たす場合には、 当該制度及び施設を確立するこれらの人民の権利を認める。適切な資源は、この目的のために提供される。
第 二 十 八 条
1 関係人民に属する児童は、実行可能な場合にはいつでも、関係人民自身の固有の言語又はその属する集団が最も普通に使用する言語で、 読み書きを教えられる。これが実行可能でない場合には、権限のある機関は、この目的を達成する措置を採用するためにこれらの人民と協議する。
2 これらの人民がその国の国語を又は公用語の一つを自由に操れるようになるための機会を有することを確保するため適切な措置をとる。 3 関係人民の固有の言語を保存し、その発展及び活用を促進するための措置をとる。
第 二 十 九 条
 関係人民に属する児童が関係人民自身及びその国の共同社会に十分にかつ対等な立場で参加することに役立つ一般的な知識及び技能を与えることを、これらの人民の教育の一つの目的とする。
第 三 十 条
1 政府は、関係人民に対し、その権利及び義務、特に労働、経済的機会、教育及び健康問題、 社会福祉並びにこの条約に由来するこれらの人民の権利を理解させるため、その伝統及び文化に適した措置をとる。
2 前記の措置は、必要があるときは、これらの人民の言語による翻訳書及び大衆通報(マス・コミュニケーション)の利用により行われる。
第 三 十 一 条
 国の共同社会のすべての部類の者、特に関係人民と最も直接に接触する者のこれらの人民に対する偏見を除去するため、 教育的措置をとるものとする。この目的のため、歴史の教科書及び他の教材がこれらの人民の社会及び文化についての公正な、 正確なかつ情報に富む描写を提供することを確保するように努力する。

第 七 部 国境を越える接触及び協力
第 三 十 二 条
 政府は、国境を越える原住民及び種族民の間の経済、社会、文化、精神及び環境の分野における活動を含む接触及び協力を容易にするため、 国際合意による方法のような適当な措置をとる。

第 八 部 行政
第 三 十 三 条
1 この条約に定める事項について責任を有する政府当局は、関係人民に影響する計画を執行するための機関 又は他の適切な機構が存在することを確保し、また、これらに付託された機能の適切な実現に必要な手段を関係人民が持つことを確保する。
2 1の計画には、次のことを含むものとする。
 (a) 関係人民と協力して行う、この条約に規定する措置の立案、調整、実施及び評価
 (b) 関係人民と協力して行う、権限のある機関に対する立法その他の措置の提案及びとられた措置の適用の監督

第 九 部 一般規定
第 三 十 四 条
 この条約を実施するためにとる措置の性質及び範囲は、それぞれの国に特有の事情を考慮して、柔軟な方法で決定する。
第 三 十 五 条
 この条約の適用は、他の条約及び勧告、国際文書、条約又は国内の法律、 裁定並びに慣行又は合意に従って関係人民に与えられる権利及び利益に不利な影響を及ぼすものではない。

第 十 部  最終規定
第 三 十 六 条
 この条約は1957年の原住民及び種族民条約を改正するものである。
第 三 十 七 条
 この条約の正式な批准は、登録のため国際労働事務局長に通知する。
第 三 十 八 条
1 この条約は、国際労働機関の加盟国でその批准が国際労働事務局長に登録されたもののみを拘束する。
2 この条約は、二の加盟国の批准が事務局長に登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。
3 その後は、この条約は、いずれの加盟国についても、その批准が登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。
第 三 十 九 条
1 この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から十年を経過した後は、 登録のため国際労働事務局長に送付する文書によってこの条約を廃棄することができる。廃棄は、登録された日の後一年間は効力を生じない。
2 この条約を批准した加盟国で、1の十年の期間が満了した後一年以内にこの条に定める廃棄の権利を行使しないものは、 その後更に十年間拘束を受けるものとし、十年の期間が満了するごとに、この条に定める条件に従ってこの条約を廃棄することができる。
第 四 十 条
1 国際労働事務局長は、国際労働機関の加盟国から通知を受けたすべての批准及び廃棄の登録をすべての加盟国に通告する。
2 事務局長は、通知を受けた二番目の批准の登録を国際労働機関の加盟国に通告する際に、この条約が効力を生ずる日につき加盟国の注意を喚起する。
第 四 十 一 条
 国際労働事務局は、国際連合憲章第百二条の規定による登録のため、 前諸条の規定に従って登録されたすべての批准及び廃棄の完全な明細を国際連合事務総長に通知する。
第 四 十 ニ 条
 国際労働機関の理事会は、必要と認めるときは、この条約の運用に関する報告を総会に提出するものとし、 また、この条約の全部又は一部の改正に関する問題を総会の議事日程に加えることの可否を検討する。
第 四 十 三 条
1 総会がこの条約の全部又は一部を改正する条約を新たに採択する場合には、その改正条約に別段の規定がない限り、
 (a) 加盟国によるその改正条約の批准は、その改正条約の効力発生を条件として、第三十九条の規定にかかわらず、 当然にこの条約の即時の廃棄を伴う。
 (b) 加盟国による批准のためのこの条約の開放は、その改正条約が効力を生ずる日に終了する。
2 この条約は、これを批准した加盟国で1の改正条約を批准していないものについては、いかなる場合にも、 その現在の形式及び内容で引き続き効力を有する。
第 四 十 四 条
 この条約の英文及びフランス文は、ひとしく正文とする


▼先住民族の問題は1957年の「土民及び種族民条約(ILO条約第107号)」が出発点。以下は参考まで。(2020.5.8)
ILO駐日事務所HPより
1957年の土民及び種族民条約(第107号) ILO条約 1957/06/26 「独立国における土民並びに他の種族民及び半種族民の保護及び同化に関する条約」(第107号) (日本は未批准、仮訳)

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジュネーヴに招集されて、1957年六月五日にその第四十回会期として会合し、
 この会期の議事日程の第六議題である独立国における土民並びに他の種族民及び半種族民の保護及び同化に関する提案の採択を決定し、
 この提案が国際条約の形式をとるべきであることを決定し、
 フィラデルフィア宣言が、すべての人間は、自由及び尊厳並びに経済的保障及び機会均等の条件において、 物質的福祉及び精神的発展を追求する権利をもつと確認していることを考慮し、
 多数の独立国には、土民並びに他の種族民及び半種族民で、まだその国の共同社会に同化されず、 かつ、自己の社会的、経済的又は文化的事情のためその国の他の構成員が享有している権利及び利益を 十分に受けることができないものが存在することを考慮し、
 それらの住民の生活条件及び労働条件を改善するための継続的活動を促進し、 かつ、同住民がその所属する国の共同社会の進歩の利益を十分に受けることを妨げてきたすべての要因に対して 同時に措置を執ることが、人道的理由及び関係国の利益のために望ましいことを考慮し、
 この問題に関して一般的国際基準を採択することが、関係住民の保護、それぞれの国の共同社会への漸進的同化 並びにその生活条件及び労働条件の改善を確保するための活動を容易にすることを考慮し、
 前記の基準が、国際連合、国際連合食糧農業機関、国際連合教育科学文化機関及び世界保健機関の協力を得て、 適当な水準において及びそれぞれの分野において設定されたこと並びに、その基準の適用を促進し、かつ、 確保するに当つては、引き続き前記の諸機関の協力を求めることが提案されていることに留意して、
 次の条約(引用に際しては、1957年の土民及び種族民条約と称することができる。)を1957年六月二十六日に採択する。
ILO憲章とフィラデルフィア宣言ILOのHPです。
「世界の永続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立することができる」で始まる前文は格調が高いです。 第一次世界大戦後のヴェルサイユ条約(署名:1919年6月28日発効:1920年1月10日)で創設されました。 ヴェルサイユ条約第13篇(387条から427条)は、国際連盟の姉妹機関とされた国際労働機関の規約となっているようです。わたしはまだ読んでいません。

フィラデルフィア宣言 も参考にしてください。(2020.5.12)

第 一 部 一般原則
第 一 条
1 この条約は、次の者について適用する。
 (a) 独立国における種族民又は半種族民で、その社会的及び経済的状態が、その国の共同社会の他の部類の者が到達している段階より 低い段階にあり、かつ、その地位が、自己の習慣若しくは伝統により又は特別の法令によつて全部又は一部規制されているものの構成員
 (b) 独立国における種族民又は半種族民で、征服又は殖民の時に当該国又は当該国が地理的に属する地方に居住していた 住民の子孫であるため土民とみなされ、かつ、法律上の地位のいかんを問わず、その属する国の制度に従うよりは、 征服又は殖民の時の社会的、経済的及び文化的制度に従つて生活しているものの構成員
2 この条約の適用上、「半種族民」とは、種族的特性を失う過程にあるが、まだその国の共同社会に同化されない集団をいう。
3 前二項にいう土民及び他の種族民又は半種族民は、以下「関係住民」という。
第 二 条
1 政府は、関係住民を保護し及びそれぞれの国の生活に漸次同化させるため、調整され、かつ、 組織化された活動を進展することについて第一次的な責任を有するものとする。
2 その活動は、次の措置を含むものとする。
 (a) 関係住民に対し、国内法令がその国の他の構成員に与えている権利及び機会を、同等の立場で享受させるようにすること。
 (b) 関係住民の社会的、経済的及び文化的発展を促進し、及びその生活水準を向上させること。
 (c) 関係住民を人為的に融合するような措置を排除して、国民的同化を可能にすること。
3 その活動の第一の目的は、個人の尊厳の育成並びに個人の有用性の向上及び発意の助長にあるものとする。
4 関係住民のその国の共同社会への同化を促進する方法として、強制を加えることは、排除しなければならない。

▼時代を感じます。条約の名称が「土民及び種族民条約」土民です。趣旨は同化と保護です。善意ですよ。 つい1957年はこのような国際社会だったのです。歴史的文書として第1条と第2条を掲載しておきます。(2020.5.8)

発展の権利に関する宣言
「世界と日本」データベースプロジェクト 日本政治と国際関係のデータベース 東京大学東洋文化研究所
https://worldjpn.net/documents/texts/SDGs/19861204.D1E.html
『社会科学ジャーナル』 29(1) (1990) pp. l01-120 The Journal of Social Science 29(1)(1990) ISSN 0454-2134 人権としての発展の権利:その法的側面
堀 江 訓(さとし)

国連総会の「発展の権利に関する宣言」 決議では「人」(Human Person)および「人民」(People)が「発展の権利」を享受すると定義されている。
「発展の権利」という名称とは裏腹に,実際に問題の根本にあるものは新しい権利の問題ではなく, 国家が国際社会において負わなければならない新しい人権保障の義務の範囲の問題であり,その義務の具体的な内容を確定するとい う問題が今後の課題として残されていると言えるであろう。


マイノリティーの権利宣言
1992年マイノリティーの権利宣言
民族的又は種族的、宗教的及び言語的少数者に属する者の権利に関する宣言(少数者の権利宣言) 1992年(平成4)12月18日国連第47総会決議47/135
1992年国連総会A/RES/47/135
9条の英文テキスト
1993年2月3日総会決議
英文:少数者の権利宣言
研究ノート マイノリティ権利宣言コメンタリー(逐条解説)について 元 百合子


第1条(国家の保護義務)
1 国家は、各自の領域内で少数者の存在並びにその国民的(national)又は種族的、文化的、宗教的及び言語的独自性を保護し、 また、その独自性を促進するための条件を助長しなければならない。
2 国家は、それらの目的を達成するために適当な立法その他の措置をとらなければならない。
第2条 (少数者の権利)
1 国民的又は種族的、宗教的及び言語的少数者に属する者(以下「少数者に属する者」という。)は、内密(in private)及び公然(in public)と、 自由にかついかなる形態の差別もなしに、自已の文化を享有し、自己の宗教を信仰しかつ実践し、及び自己の言語を使用する権利を有する。
2 少数者に属する者は、文化的、宗教的、社会的、経済的及び公的活動に効果的に参加する権利を有する。
3 少数者に属する者は、自己の属する少数者又は自己の居住する地域に関する全国的(national)及び、適当な場合には、 地域的段階での決定に、国の立法に反しない仕方で効果的に参加する権利を有する。
4 少数者に属する者は、自已の結社を設立しかつ維持する権利を有する。
5 少数者に属する者は、その集団の他の構成員及び他の少数者に属する者との自由かつ平和的な接触、並びに、 自己が国民的若しくは種族的、宗教的又は言語的紐帯によって関係を有する他国の市民との国境を越えた接触を、 いかなる差別もなしに樹立しかつ維持する権利を有する。
第3条 (権利の行使)
1 少数者に属する者は、個別的に及びその集団の他の構成員と共同して、いかなる差別もなしに、 その権利(この宣言に定める権利を含む。)を行使することができる。
2 この宣言に定める権利の行使又は不行使の結果として、少数者に属する者に対しいかなる不利益をも生じさせてはならない。
第4条  (国家がとるべき措置)
1 国家は、少数者に属する者がそのすべての人権及び基本的自由を、いかなる差別もなしにかつ法の前で完全に平等に、 充分かつ効果的に行使できるよう確保するために必要な場合には、措置をとらなければならない。
2 国家は、少数者に属する者がその特性を表示しかつその文化、言語、宗教、伝統及び習慣を発展させるのを可能 とする有利な条件を創出するために措置をとらなければならない。ただし、特定の活動が国の法律に違反 しかつ国際基準に反する場合には、この限りではない。
3 国家は、少数者に属する者が可能な場合にはその母語を学び又はその母語を教授する充分な機会を得るように適当な措置をとるものとする。
4 国家は、適当な場合には、その領域内に存在する少数者の歴史、伝統、言語及び文化についての知識を助長するために、 教育の分野で措置をとるものとする。少数者に属する者は、社会全体についての知識を得る充分な機会を持つものとする。
5 国家は、少数者に属する者がその国の経済的な進歩及び発展に充分に参加できるように適当な措置を考慮するものとする。
第5条  (国家の政策と計画)
1 全国的な(national)政策及び計画は、少数者に属する者の正当な利益に妥当な考慮を払って立案されかつ実施されなければならない。
2 国家間の協力及び援助の計画は、少数者に属する者の正当な利益に妥当な考慮を払って立案されかつ実施されなければばらない。
第6条  (相互理解のための国家間協力)
 国家は、相互の理解及び信頼を促進するために、少数者に属する者に関する問題(情報及び経験の交換を含む。)について協力するものとする。
第7条  (この宣言のための国家間協力)
 国家は、この宣言に定める権利の尊重を促進するために協力するものとする。
第8条  (他の国際文書との関係)
1 この宣言のいかなる規定も、少数者に属する者に関して国家が負う国際義務の履行を妨げるものではない。 特に、国家は、自国が当事国である国際的な条約及び協定に基づいて負う義務及び約束を誠実に履行しなければならない。
2 この宣言に定める権利の行使は、すべての者が普遍的に承認された人権及び基本的自由を妨げるものではない。
3 この宣言に定める権利の効果的な享受を確保するために国家がとる措置は、世界人権宣言に含まれる平等原則に 反するものとみなされない一応の証拠である。
4 この宣言のいかなる規定も、国際連合の目的及び原則(国家の主権平等、領土保全及び政治的独立を含む。)に反する 活動を許すものと解することはできない。
第9条  (国際機関の貢献)
 国際連合体制内の専門接関その他の機構は、各自の権限のある分野において、この宣言に定める権利及び原則の完全な実現に寄与しなければならない。

▼下記は谷元昭信著『冬枯れの光景(下)』(130頁)からの引用です。
 国連では、1980年代までに人権基準の設定をほぼ終えたとの認識に立って、 これからは各国が責任をもってこの人権基準を具体化していく段階であるとした。  この認識を明確にしたのが、「東西冷戦構造の終焉」直後の1993年に開催された第2回世界人権会議である。 この会議で採択されたウィーン宣言と行動計画は画期的な内容を有していた。  それは、第1に、自由権・社会権・発展の権利が不可分の人権であり普遍性をもっていることを明らかにし、 第2に、人権基準を具体化していく推進役として「人権高等弁務官」の設置を勧告し、そして第3に「人権教育の10年」の推進を勧告した。
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Z ウィーン宣言及び行動計画 (抄) 神戸大学の ウイーン宣言の英文と邦訳
VIENNA DECLARATION AND PROGRAMME OF ACTION
採択 1993年6月25日 世界人権会議 (ウィーン)
Note by the secretariat   Attached is the text of the Vienna Declaration and Programme of Action, as adopted by the World Conference on Human Rights on 25 June 1993.


第I部〔宣言〕
1 〔国家の誓約〕 世界人権会議は、国際連合憲章、その他の人権文書及び国際法に従つて、 すべての者のためにすべての人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守並びに保護を促進する義務を履行するという、 すべての国家の厳粛な誓約を再確認する。これらの権利及び自由の普遍的性格は、疑うことができない。 この枠組の中で、人権の分野における国際協力の強化は、国際連合の目的を完全に実現するために不可欠である。 人権及び基本的自由は、すべての人間の生まれながらの権利であり、それらの保護及び助長は諸政府の第一次的責任である。
1. The World Conference on Human Rights reaffirms the solemn commitment of all States to fulfil their obligations to promote universal respect for, and observance and protection of, all human rights and fundamental freedoms for all in accordance with the Charter of the United Nations, other instruments relating to human rights, and international law. The universal nature of these rights and freedoms is beyond question. In this framework, enhancement of international cooperation in the field of human rights is essential for the full achievement of the purposes of the United Nations. Human rights and fundamental freedoms are the birthright of all human beings; their protection and promotion is the first responsibility of Governments.

1993年 第2回世界人権会議(国連広報センター)

▼56頁に及ぶ素晴らしい冊子です。国連の世界人権会議への取り組みの決意がよくわかります。 左の「国連の人権保護の仕組み」「遵守状況の監視」は内容の一部の紹介です。 (2020.8.2)
国連の人権保護の仕組み
 1991年、ラテンアメリカの某国で3人の農民が軍に逮捕されました。3人の安否への懸 念が高まるにつれて一捕まえた大隊の兵士たちが他の囚人を拷問にかけた、といわれてい たのです一その事件は国際連合報告者の知るところとなりました。報告者はただちにその 政府に対し、拘禁された3人の安全確保を要請する電報を打ちました。28日後、政府が回 答して来ました一3人は危害を加えられることなく釈放された、と。
 これも1991年のこと、別の国連報告者がアジアの某国外務大臣に、健康悪化を伝えられ る拘置者の一人が医師の診察を受けられるよう求める緊急電報を打ちました。1ヶ月後に なって政府は、その拘置者は病院の診察を受けた後、自宅に戻って静養中だ、と回答して きました。
 ある報告者は、最近のアジアの某国へのミッションにおいて、拘置された親族の釈放を 願う一家族の接触を受けました。報告者が同国大統領に連絡したところ、大統領はすぐに その拘置者の釈放を指令、報告者自身が身柄を引き取って家族のもとへ連れ帰ることがで きました。
これらは国連による人権保護のための活動から、3つだけ拾った具体例です。何年もか けて築き挙げた仕組みによって国際連合は、人権侵害行為の調停に割って入り成果を引き 出す力を大幅に拡大しました。

遵守状況の監視
そうした仕組みの一つは各国の人権関連諸条約の遵守状況の監視です。
多くの国連諸条 約は各批准国に、人権を尊重しその保護のためにとった措置を報告するよう義務づけてい ます。
条約には
「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(締結国112)、
「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(同115)、
「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」(同132)、
「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(同116)、
「拷問及びその他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰の禁止に関する条約」(同68)、
「児童の権利に関する条約」(同120)
などがあります。
これらの諸条約の遵守状況は、各国に人権保護の向上と国際的公約への尊重を検証する 独立した専門家で構成する、委員会によって監視されています。
それらの委員会の一つは 「市民的及び政治的権利に関する国際規約」の遵守状況を監視する規約人権委員会です。 18人で構成する同委員会は、条約の規定する諸権利を保障するための措置やその享受の向 上についての各締約国の定期報告を、公開された会議iの場で検証します。
締約国の代表は提出した報告の内容を説明し、各委員会からの詳細な、ときには鋭い質 問に答えなければならず、追加情報の提出も求められます。多くの国々が担当大臣、最高 裁長官や司法長官といった最高級レベルの代表をこの会議に送り込んできます。委員会は 後日、各締約国に所見を送達します。会議での意見交換がしばしば、締約国の法令改正や 慣行の修正という結果を生んでいます。
同委員会は通常、年に3回開かれて国連総会に活動報告を提出し、国連総会はそれに盛 られた諸勧告に基づいて対応処置をとります。この仕組みは成果を挙げています。
委員の 1人、アンドレアス・マプロマティス大使は
「人権侵害行為に関する限り、最悪といわれ る国も含めて、国際的非難に長く耐え得る国は一つもない。それが特定の一政府からの場 当たりな批判ではなく、独立した専門家の機関によるものなら、なおさらである。…この 委員会が活動してきた過去15〜6年間に、われわれは数多くの国々で事態の改善を確認し ている」
と語っています。
他の人権関連諸条約を担当する各委員会でも、締約国と国連の同じような意見交換が進 められています。
「経済的、社会的及び文化的権利委員会」、
「人種差別撤廃委員会」、
「女子差別撤廃委員会」、
「拷問禁止委員会」、
「児童の権利委員会」
などです。
各委員会の粘り 強い活動は具体的な成果に結びつきました。世界の各地で被拘禁者たちは釈放され、処刑 は中止され、囚人たちは医者に診てもらい、そしてその取扱いを国際的な水準まで引き上 げる法律改正などが実現したのです。
▼大変勇気づけられる活動です。(2020.5.12)

wikipediaの世界人権会議の解説から
世界人権会議(せかいじんけんかいぎ、英語: World Conference on Human Rights)は、 国際連合の主催によりオーストリア・ウィーンで1993年6月14日から25日にかけて開催された人権に関する国際会議である[1]。 冷戦終結後開催された最初の人権に関する国際会議であり、その成果はウィーン宣言及び行動計画としてまとめられた。
1990年代初頭という時代における人権問題に対する共通理解を可能な限り表したものといえる。また、いくつかの点において新しい進展を示した。
民主主義、経済成長と人権との相互依存性を打ち出したことはその一つである。 特に、社会権(経済的、社会的、文化的権利)と自由権(市民的、政治的権利)とを峻別する冷戦時代の考え方から、 人権は不可分(一つの権利だけを他と切り離すことはできない)、相互依存性(一つの権利の実現には他の権利の実現も必要)、 相互関連性(全ての人権は相互に関連していること)という考え方への切り替えが確認された。
女性、児童、先住民の権利を保護するための条約の作成が求められた。
国連人権センターへの財政支援が要請された。
更に、最も重要な点として、新たに国際連合人権高等弁務官の設置が要請された。 国連総会は、その後、ウィーン宣言を総会決議48/121として承認した。
また、1993年12月20日、国連人権高等弁務官を設置した。2000年代前半までに、ウィーン宣言及び行動計画によって勧告された取組は、 全部、又は部分的にであっても達成された。
世界人権会議は、NGOが人権分野で活動を続けることの重要性にも目を向けさせた。

▼宣言の全文は今日掲載しました。(2020.8.1)
第I部〔宣言〕
1 〔国家の誓約〕
世界人権会議は、国際連合憲章、その他の人権文書及び国際法に従つて、 すべての者のためにすべての人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守並びに保護を促進する義務を履行するという、 すべての国家の厳粛な誓約を再確認する。これらの権利及び自由の普遍的性格は、疑うことができない。 この枠組の中で、人権の分野における国際協力の強化は、国際連合の目的を完全に実現するために不可欠である。 人権及び基本的自由は、すべての人間の生まれながらの権利であり、それらの保護及び助長は諸政府の第一次的責任である。

2 〔自決権〕
すべての人民は、自決の権利を有する。この権利に基づき、すべての人民は、その政治的地位を自由に決定し並びにその経済的、 社会的及び文化的発展を自由に追求する。 世界人権会議は、植民地又はその他の形態の外国支配若しくは外国の占領のもとにある人民の特別の状況を考慮して、 不可譲の自決権を実現するために国際連合憲章に従つてすべての正当な行動を取る人民の権利を承認する。世界人権会議は、 自決権の否定を人権の侵害とみなし、この権利の効果的な実現の重要性を強調する。 「国際連合憲章に従つた諸国家間の友好関係と協力に関する国際法の諸原則についての宣言」に従つて、上記のことは、 人民の同権及び自決の原則を遵守して行動し、 したがつていかなる種類の差別もなしにその領域に属するすべての人民を代表する政府を有する、 独立主権国家の領土保全又は政治的統一の全部又は一部を解体し若しくは毀損するいかなる行動をも、 許可し又は奨励するものと解釈してはならない。

3 〔外国の占領下の人民の保護〕
外国の占領下にある人民に関して、 人権基準の実施を保障し監視するための効果的な国際的措置が取られるべきであり、 人権規範及び国際法、とりわけ戦時における文民の保護に関する1949年8月12日のジュネーヴ条約その他の適用可能な人道法規範に従つて、 彼らの人権の侵害に対する効果的な法的保護が与えられるべきである。

4 〔国際連合の優先的目的〕
人権及び基本的自由の助長並びに保護は、国際連合の目的及び原則、とりわけ国際協力の目的に従つて、 国際連合の優先的目的とみなされなければならない。これらの目的及び原則の枠内において、 すべての人権の助長及び保護は国際社会の正当な関心事項である。したがつて、人権にかかわる機関及び専門機関は、 国際人権文書の一貫した客観的な適用を基礎として、それらの諸活動の調整をさらに向上させるべきである。

5 〔すべての人権の相互依存性〕
すべての人権は普遍的であり、不可分かつ相互依存的であつて、 相互に連関している。国際社会は、公平かつ平等な方法で、 同じ基礎に基づき、同一の強調をもつて、 人権を全地球的に扱わなければならない。国家的及び地域的独自性の意義、 並びに多様な歴史的、文化的及び宗教的背景を考慮にいれなければならないが、 すべての人権及び基本的自由を助長し保護することは、 政治的、経済的及び文化的な体制のいかんを問わず、国家の義務である。
▼「在日」コリアンの地方参政権もこの流れに入れるのかな。(2020.8.5)

6 〔国際連合システムの努力〕
すべての者のための人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守に向けた 国際連合システムの努力は、 諸国間の平和的かつ友好的な関係に必要な安定及び福祉、 並びに国際連合憲章に従つた平和及び安全並びに社会的及び経済的発展のための条件の改善に、 貢献するものである。

7 〔国際連合憲章の目的及び原則等の遵守〕
人権を助長し保護するプロセスは、 国際連合憲章の目的及び原則並びに国際法に従つて実施されるべきである。

8 〔民主主義、発展及び人権尊重の相互依存性〕
民主主義、発展並びに人権及び基本的自由の尊重は、 相互依存的であり相互に強め合うものである。民主主義は、自らの政治的、 経済的及び文化的体制を決定するための自由に表明された人民の意思、 並びに生活のすべての側面における人民の完全な参加に基礎をおく。 この文脈において、 国家的及び国際的レベルにおける人権並びに基本的自由の助長及び保護は、 普遍的にかつ条件を付することなく行われるべきである。 国際社会は、全世界における民主主義、発展並びに 人権及び基本的自由の尊重の強化及び助長を支持すべきである。

9 〔後発発展途上国への支援〕
世界人権会議は、多くはアフリカに位置する後発発展途上国 であつて民主化及び経済改革に取り組むことを誓約したものが、 民主化及び経済発展への移行に成功する ように国際社会の支援を受けるべきことを再確認する。

10〔発展の権利〕
世界人権会議は、「発展の権利に関する宣言」において確立された発展の権利は、 普遍的かつ不可譲の権利であつて、 基本的人権の不可分の一部をなすものであることを再確認する。 「発展の権利に関する宣言」が述べるように、人間が発展の中心的な主体である。 発展はすべての人権の享受を促進するものであるが、 発展の欠如を国際的に承認された人権の制約を正当化するために援用してはならない。 (▼そろそろ中国もこのことに配慮する段階だと思う。)
国家は、発展を確保し発展への障害を除去するために相互に協力すべきである。国際社会は、 発展の権利を実現し発展への障害を除去するために、効果的な国際協力を助長すべきである。 発展の権利の実施に向けての永続的な進歩は、 国家レベルにおける効果的な発展政策、 並びに国際レベルにおける公正な経済関係及び好ましい経済環境を必要とする。

11〔危険な廃棄物の投棄等の規制〕
発展の権利は、現在及び将来の世代の発展及び環境における必要性に公正に適合するように実現されるべきである。 世界人権会議は、有毒で危険な物質及び廃棄物の違法な投棄が、 すべての者の生命及び健康に対する人権への重大な脅威となる可能性があることを承認する。 したがつて世界人権会議は、有毒で危険な産品及び廃棄物の投棄に関する現行の条約に参加しかつこれらを厳格に実施すること、 及び違法な投棄の防止に協力することを、すべての国家に呼びかける。 すべての者は、科学の進歩及びその応用の利益を享受する権利を有する。世界人権会議は、 とりわけ生医学、 生命科学及び情報技術におけるある種の進歩が、 個人の人格、尊厳及び人権に悪影響を及ぼす可能性があることに留意し、 世界的に関心を呼んでいるこの分野において、 人権及び人間の尊厳の完全な尊重が確保されるよう、国際協力を呼びかける。

12〔対外債務〕
世界人権会議は、発展途上国の政府がその人民の経済的、社会的及び文化的権利の完全な 実現を達成する努力を補完する目的で、 これら諸国の対外債務負担を軽減することを助けるためにあらゆる努力を行うよう、国際社会に呼びかける。

13〔人権享受の条件の創出〕
同家及び国際機構は、人権の完全かつ効果的な享受を確保する目的で、 非政府機構と協力して、国家的、 地域的及び国際的レベルにおける好ましい条件を創出する必要がある。 国家は、すべての人権侵害及びその原因、 並びに人権享受への障害を除去すべきである。

14〔極端な貧困の除去〕
極端な貧困の広範な存在は、人権の完全かつ効果的な享受を妨げているので、 これを直ちに緩和し究極的に除去することは、 国際社会にとつて引き続き高度の優先事項でなければならない。
▼警鐘が鳴らされている。(2020.8.5)

15〔あらゆる形態の差別の除去〕
いかなる種類の差別もなしに人権及び基本的自由を尊重することは、 国際人権法の基本規則である。あらゆる形態の人種主義、 人種差別、外国人排斥及び関連する不寛容を速やかにかつ包括的に除去することは、 国際社会の優先的な任務である。諸政府は、 これらを防止しかつこれらと闘うために、 効果的な措置を取るべきである。集団、団体、政府間及び非政府間の機構、 並びに個人は、 これらの悪に反対する行動において協力しかつ調整して、彼らの努力を強化することを要請される。
▼ヘイトスピーチへ警鐘が鳴らされている。(2020.8.5)

16〔アパルトヘイトの解体〕
世界人権会議は、アパルトヘイトの解体における進展を歓迎し、 国際社会及び国際連合システムに対してこの進展を支援するように呼びかける。 世界人権会議はまた、アパルトヘイトの平和的解体の追求を妨げることを目的とした、 暴力行為の継続を非難する。

17〔テロリズムの防止〕
あらゆる形態及び表現におけるテロリズムの行為、方法及び慣行、 並びに若干の諸国における麻薬取引への関与は、 人権、基本的自由及び民主主義を破壊することを目的とし、 国家の領土保全及び安全を脅かし、 正統に組織された政府を不安定化する行為である。国際社会は、 テロリズムを防止しかつこれと闘うための協力を促進するために、 必要な措置を取るべきである。

18〔女性の人権〕
女性及び少女の人権は、普遍的人権の不可譲かつ不可分の一部である。国家的、地域的及び国際的レベルにおける政治的、市民的、 経済的、社会的及び文化的生活への女性の完全かつ平等な参加、並びに性を理由とするあらゆる形態の差別の除去は、 国際社会の優先的な目的である。 性差を理由とする暴力及び、あらゆる形態のセクシュアルハラスメント並びに搾取は、 文化的偏見及び国際的売買から生じるものを含めて、人間の尊厳及び価値と両立せず、除去されなければならない。このことは、 経済的及び社会的発展、教育、安全な母性及び健康看護並びに社会的扶助のような分野における、法的措置により、 並びに国家的行動及び国際協力を通じて、達成することができる。 女性の人権は、女性に関するすべての人権文書の奨励を含めて、国際連合の人権活動の不可分の一部を構成すべきものである。 世界人権会議は、政府、団体、政府間及び非政府間の機構に対して、 女性及び少女の人権の保護及び助長のための努力を強化するように、要請する。

19〔少数者の権利〕
少数者に属する人の権利の助長及び保護が重要であること、 並びにこのような助長及び保護が彼らが居住する国家の政治的及び社会的安定に貢献することを考慮して、 世界人権会議は、「民族的又は人種的、宗教的及び言語的少数者に属する人の権利に関する宣言」に従つて、 少数者に属する人がいかなる差別もなしにかつ法のもとにおいて完全に平等に、 すべての人権及び基本的自由を完全かつ効果的に行使することができるように確保する、国家の義務を再確認する。 少数者に属する人は、自由にかつ介入又はいかなる形態の差別もなしに、自らの文化を享受し、 自らの宗教を告白しかつ実践し、 並びに私的に及び公的に自らの言語を使用する権利を有する。
▼中国の課題。(2020.8.5)

20〔先住民の権利〕
世界人権会議は、先住民の固有の尊厳、及び社会の発展並びに多様性への先住民の独特の貢献を承認し、 彼らの経済的、 社会的及び文化的福祉並びに持続的発展の成果の彼らによる享受への、 国際社会の誓約を強く再確認する。国家は、 社会のすべての側面、とくに彼らの関心事項への、 先住民の完全かつ自由な参加を確保すべきである。 先住民の権利の助長及び保護が重要であること、 並びにこのような助長及び保護が彼らが居住する国家の政治的及び社会的安定に貢献することを考慮して、 国家は、国際法に従つて、先住民の人権及び基本的自由を平等にかつ差別なく尊重することを確保する ために協調した積極的な措置を取り、 及び彼らの独特のアイデンティティー、文化並びに社会組織の価値及び多様性を承認すべきである。

21〔児童の権利〕
世界人権会議は、多数の国家が児童の権利に関する条約を早期に批准したことを歓迎し、 児童のための世界サミットが採択した「児童の生存、保護及び発展に関する世界宣言及び行動計画」が児童の人権を承認したことに留意して、 1995年までにすべての国がこの条約を批准すること、及び、必要な立法、行政及びその他の措置を取り、 また利用可能な資源を最大限に配分することによつて、締約国がこの条約を効果的に実施することを、要請する。 児童に関するすべての行動においては、無差別と児童の最善の利益とが第一に考慮されるべきであり、 児童の見解に妥当な考慮が払われるべきである。児童の防護及び保護のために、国家的及び国際的な機構並びに計画が強化されるべきである。 このような防護及び保護の対象には、とりわけ少女、遺棄された児童、家のない児童、児童ポルノ、 児童売春又は臓器売却によるものを含む経済的及び性的に搾取された児童、後天性免疫不全症候群を含む疾病の犠牲者である児童、 難民及び避難民である児童、拘禁中の児童、武力紛争にまきこまれた児童、並びに飢饉、旱ばつその他の緊急事態の犠牲者である児童が含まれる。 児童の権利に関する条約の実施を支援するために国際協力及び連帯が助長されるべきであり、 児童の権利は人権に関する国際連合システム全体の行動において優先されるべきである。 世界人権会議はまた、児童は個性の完全かつ調和の取れた発展のためには家庭環境の中で成長すべきであり、 したがつて家庭環境はより広範な保護に値すると強調する。

22〔障害者の権利〕
障害者の差別禁止、並びに、社会のすべての側面への積極的な参加を含む、 すべての人権及び基本的自由の平等な享受を確保するために、特別の注意を払う必要がある。

23〔難民及び避難民の保護〕
世界人権会議は、すべての者がいかなる差別もなしに、 他国において迫害からの庇護を求めかつ受ける権利、 及び自国に帰る権利を有することを再確認する。 この点に関して世界人権会議は、世界人権宣言、難民の地位に関する1951年条約、 その1967年議定書及び地域的文書の重要性を強調する。会議は、 その領域に引き続き多数の難民を受け入れかつ生活させている国家に対して、 及び国際連合難民高等弁務官事務所の任務への献身に対して、 感謝を表明する。会議はまた、 近東における国際連合パレスチナ難民救済事業機関に対しても、感謝を表明する。 世界人権会議は、武力紛争を含む人権の重大な侵害が、人民の避難を発生させる多様かつ複雑な要因の一つであることを承認する。 世界人権会議は、世界的な難民危機の複雑さにかんがみ、かつ国際連合憲章、関連国際文書及び国際連帯に従つて、 並びに負担配分の精神において、国際社会が、国際連合難民高等弁務官事務所の任務に留意しつつ、 関係国及び関連ある機構と調整しかつ協力して、包括的アプローチを取る必要があることを承認する。このようなアプローチは、 難民その他の避難民の根本原因及び移動の結果に対処するための戦略の発展、緊急準備及び対策のための機構の強化、 女性及び児童の特別の必要性を考慮した効果的な保護及び援助の供与、並びに、国際難民会議が採択した解決を含めて、 何よりも尊厳かつ安全な自発的帰国という好ましい解決を通じての持続的な解決を含むべきである。世界人権会議は、国家の責任、とりわけ出身国にかかわる責任を強調する。 世界人権会議は、包括的アプローチにてらして、自発的かつ安全な帰還及び社会復帰を含む国内避難民にかかわる問題に、 政府間機構及び人道的機構を通じるものを含めて特別の注意を払い、並びに永続的な解決を見出すことの重要性を強調する。 世界人権会議はさらに、国際連合憲章及び人道法の諸原則に従つて、 すべての自然災害及び人的災害の被害者 に対する人道的援助の重要性及び必要性を強調する。

24〔弱者の権利〕
移住労働者を含む弱者の立場におかれた集団に属する者の人権の助長及び保護、 彼らに対するあらゆる形態の差別の除去、 並びに現行の人権文書の強化及びより効果的な実施を、 特別に重視する必要がある。国家は、 住民のうちの弱者に属する者の権利の助長及び保護のために、 とくに教育、保健及び社会的扶助の分野において、 国家レベルの適切な措置を創出し維持する義務、 及び弱者に属する者で自らの問題に解決を見出すことに関心を有する者の参加を確保する義務を有する。

25〔もつとも貧困な者の人権〕
世界人権会議は、極端な貧困及び社会的な疎外は人間の尊厳を侵害するものであり、 もつとも貧困な者の人権を助長し、 極端な貧困と社会的疎外を終わらせ、及び社会進歩の成果の享受を助長するために、 極端な貧困、 及び発展の問題にかかわるものを含むその原因に関するよりよい理解を達成するために、緊急の措置が必要であることを確認する。 国家が、もつとも貧困な人々が居住するコミュニティーの政策決定過程、人権の助長、及び極端な貧困と闘うための努力への、 彼らの参加を促進することは不可欠である。

26〔人権文書の法典化〕
世界人権会議は、動的かつ発展的過程である人権文書の法典化においてなされた進歩を歓迎し、 国際人権条約の普遍的批准を強く求める。すべての国家がこれらの国際文書に加入すること、 及びすべての国家ができるだけ留保を行わないことが奨励される。

27〔人権侵害の救済〕
すべての国家は、人権にかかわる苦情及び人権侵害を救済するために、効果的な救済手続を提供すべきである。 法適用及び訴追機関を含む司法の運営、とりわけ国際人権文書が含む適用可能な基準に完全に従つた独立した司法部及び法律職は、 人権の完全かつ無差別の実現にとつてきわめて重要であり、民主主義及び持続的発展の過程にとつて不可欠である。 この文脈において、司法の運営に携わる機関は十分な資金を有すべきであり、 国際社会は技術的及び財政的援助の水準を向上させるべきである。 強力かつ独立した司法の運営を達成するために、 助言サービスの特別計画を優先的に利用することは、国際連合の義務である。

28〔武力紛争時における人権の大規模な侵害〕
世界人権会議は、難民及び避難民の大量流出をもたらしている、 戦争状態における人権の大規模な侵害、とりわけジェノサイド、 「民族浄化」及び女性の制度化されたレイプの形態における人権の大規模な侵害に対して、驚愕を表明する。 会議は、 そのような嫌悪すべき慣行を強く非難するとともに、そのような犯罪の加害者が処罰され、 そのような慣行は直ちに終わらせられるようにという呼びかけを繰り返す。

29〔武力紛争時における人権の保護〕
世界人権会議は、国際人権文書及び国際人道法に含まれた基準を無視して、 世界のあらゆる部分で人権侵害が継続していること、 及び被害者に対する十分かつ効果的な救済が欠如していることに、 重大な憂慮を表明する。 世界人権会議は、武力紛争時における文民たる住民に対する人権侵害、とりわけ女性、児童、 老齢者及び障害者に対する人権侵害を深く憂慮する。したがつて会議は、国家及び武力紛争のすべての当事者に対して、 1949年のジュネーヴ諸条約及びその他の国際法の規則と原則が規定する国際人道法、 並びに国際条約が規定する 人権保護の最低基準を厳格に遵守するように呼びかける。 世界人権会議は、1949年のジュネーヴ諸条約及びその他の関連ある国際人道法文書が規定するように、被害者は、 人道的団体の援助を受ける権利を有することを再確認し、このような援助への安全かつ時宜をえたアクセスを要請する。

30〔人権の大規模かつ体系的な侵害〕
世界人権会議はまた、世界のさまざまな部分において、 すべての人権の完全な享受にとつて重大な障害をなす大規模かつ体系的な侵害及び事態が引き続き生じていることに、 驚愕と非難を表明する。このような侵害及び事態には、以下のものが含まれる。拷問及び残虐な、 非人道的な並びに品位を傷つける取扱い又は刑罰。略式の及び恣意的な処刑。失踪。恣意的な拘禁。すべての形態の人種主義、 人種差別及びアパルトヘイト。外国の占領及び外国人支配。外国人排斥。貧困、飢餓その他の経済的、 社会的及び文化的権利の否定。 宗教的不寛容。テロリズム。女性に対する差別。及び法の支配の欠如。

31〔人権享受を妨げる貿易上の一方的措置〕
世界人権会議は、国際法及び国際連合憲章と合致しない措置であつて、 国家間の貿易関係に障害をもたらし、 世界人権宣言及び国際人権文書が規定する人権、とりわけ、食糧及び医療、 住居及び必要な社会的サービスを含めて、 健康及び福祉にとつて十分な生活水準を享受するすべての者の権利の完全な実現を妨げる、 いかなる一方的措置をも慎むように、 諸国家に呼びかける。世界人権会議は、 食糧は政治的圧力の手段として用いられるべきではないことを確認する。

32〔人権問題の普遍的な検討〕
世界人権会議は、人権問題の検討に当つては、普遍性、客観性及び非選択性を確保することが重要であることを、 再確認する。

33〔人権教育〕
世界人権会議は、世界人権宣言、経済的、社会的及び文化的権利に関する 国際規約並びにその他の国際人権文書が規定するように、 国家は教育が人権及び基本的自由の尊重の強化を目的とするように 確保する義務を有することを再確認する。世界人権会議は、 人権の主題を教育プログラムに組み入れることの重要性を強調し、 そうすることを諸国家に呼びかける。教育は、 諸国民及びすべての人種的又は宗教的集団の間の理解、寛容、 平和及び友好関係を助長し、 これらの目的を追求するに当つての国際連合の活動の発展を奨励すべきである。 したがつて、 理論的及び実践的な人権教育及び適切な情報の普及は、人種、性、言語又は宗教のようないかなる種類の差別もなしに、 すべての個人に関する人権の助長及び尊重において、重要な役割を果たすものであり、 これらは国家レベル及び国際レベルにおける教育政策に組み入れられるべきである。 世界人権会議は、 資源の制約及び制度の不十分さがこれらの目的の即時実現にとつて障害となりうることに留意する。

34〔人権享受のための援助〕
すべての個人が普遍的人権及び基本的自由を享受しうる条件をつくりだすため、 要請を行う国を援助する努力が強化されるべきである。 政府、国際連合システム並びにその他の多数国間機構は、 以下のものの確立及び強化を目的とするプログラムへの資源配分を相当程度増大させることを要請される。 法の支配及び民主主義を支持する国の立法、制度及び関連インフラストラクチュア。 選挙への援助。訓練、 指導及び教育を通じた人権意識の向上。人民参加及び市民社会。 人権センターの助言サービス及び技術協力のプログラムは、強化され、並びにより効果的かつ透明なものとされて、 人権尊重を改善するための重要な貢献となるべきである。諸国家は、国際連合の通常予算からの配分の増大を助長すること、 及び自発的拠金を行うことによつて、これらのプログラムへの寄与を増大させることを要請される。

35〔国際連合の人権活動〕
人権の助長及び保護のための国際連合の活動の完全かつ効果的な実施は、 国際連合憲章が人権に与えた高度の重要性、 及び加盟国が国際連合の人権活動に委託した要求を反映しなければならない。 この目的のために、 国際連合の人権活動には一層多くの資源が配分されるべきである。

36〔人権助長のための国内制度〕
世界人権会議は、人権の助長及び保護のために国内制度が果たす重要かつ建設的な役割、 とりわけ、権限ある当局に対する助言能力、 人権侵害の救済、人権情報の普及及び人権教育における役割を再確認する。 世界人権会議は、「国内制度の地位に関する原則」に留意し、 及び国内レベルにおける独自の必要性にもつとも適した 枠組を選択することはすべての国家の権利であることを承認して、 国内制度の設立及び強化を奨励する。
「国内制度の地位に関する原則」クリックしてください。 日本はまだこのような国内制度は設立されていないと思います。(2020.8.5)

37〔人権助長のための地域的取決め〕
地域的取決めは、人権の助長及び保護において基本的な役割を果たす。 地域的取決めは、 国際人権文書に含まれた普遍的人権基準とそれらの保護を強化すべきである。 世界人権会議は、 これらの取決めを強化しその実効性を高めるために行われている努力を支持し、 同時に国際連合の人権活動との協力の重要性を強調する。 世界人権会議は、人権の助長及び保護のための地域的及び小地域的取決めがいまだに存在していない場所において、 これらを設立する可能性を検討することが必要であると繰り返す。

38〔非政府機構〕
世界人権会議は、国家的、地域的及び国際的レベルにおける人権の助長並びに人道的活動において、 非政府機構が果たす重要な役割を承認する。世界人権会議は、人権問題に関する公衆の意識の向上、 この分野における教育、 訓練及び研究の実施、並びにすべての人権及び基本的自由の助長及び保護における、 非政府機構の貢献を評価する。会議は、 基準設定の第一次的責任は国家にあることを認めるものであるが、 この過程における非政府機構の貢献をも評価するものである。 この点に関して、世界人権会議は、 諸政府と非政府機構との間の継続的な対話及び協力が重要であることを強調する。 人権の分野に誠実に関与している非政府機構及びその参加者は、 世界人権宣言が認める権利 及び自由並びに国内法の保護を享受すべきである。これらの権利及び自由は、 国際連合の目的及び原則に反して行使されてはならない。非政府機構は、国内法及び世界人権宣言の枠内において、 人権活動の実施に当つて干渉を受けることなく自由でなければならない。

39〔メディアの役割〕
世界人権会議は、人権及び人道問題に関する客観的で責任ある偏らない情報の重要性を強調し、 メディアの関与の増大を奨励する。 メディアに対しては、国内法の枠内で自由及び保護が保障されるべきである。

第II部〔行動計画〕(項目のみ)
A 国際連合システム内における人権に関する調整の向上
B 平等、尊厳及び寛容
人種主義、人種差別、外国人排斥その他の形態の不寛容 民族的又は人種的、宗教的及び言語的少数者に属する人 女性の平等な地位及び人権 児童の権利 拷問からの自由 障害者の権利
C 協力、発展及び人権の強化
D 人権教育
E 実施及び監視手続
F 世界人権会議のフォローアップ

[ 「先住民の権利に関する一般的勧告23」 1997年人種差別撤廃委員会
一般的勧告23 (1997) 先住民族に関する一般的勧告 1997年8月18日第41会期第1235会合にて採択
CERD/C/51/Misc.13/Rev.3

▲「先住民の権利に関する一般的勧告23」は1997年8月18日人種差別撤廃委員会で採択。 1997年3月27日二風谷ダム裁判判決。(2022.8.22)

人種差別撤廃委員会の業務、とりわけ「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」 (以下、「人種差別撤廃条約」)9条(条文を参照してください)にもとづく締約国の報告書の審査において、 先住民族の状況はつねに高い注目と関心の対象となってきた。
この点、委員会は先住民族に対する差別が本条約の対象範囲に含まれるものであり、 そのような差別と闘いこれを撤廃するためにすべての適切な措置がとられなくてはならないと一貫して確認してきた。
委員会は、1994年12月10日から開始されて「世界の先住民の国際10年」を総会が宣言したことに留意し、 「人種差別撤廃条約」の規定が先住民族にも適用されることを再確認する。
委員会は、世界の多くの地域において、先住民族がこれまでも、そしていまもなお差別され、 人権と基本的な自由を奪われ、とりわけ彼(女)らが自らの土地と資源を入植者、 民間企業および国営企業により失ってきた事実を認識している。
したがって、先住民族の文化、自らの歴史的アイデンティティの保持はこれまでも、そしていまもなお危機にさらされている。

委員会は、締約国に対してとくに以下の要請を行う:
a 先住民族の固有の文化、歴史、言語、および生活様式が、国家の文化的アイデンティティをより豊かにすることを認識かつ尊重し、その保持を促進すること
b 先住民族の構成員がその尊厳と権利において自由かつ平等であること、とりわけ先住民族としての出自やアイデンティティにもとづく差別から自由であることを確保すること
c 先住民族に対して、自らの文化的特徴と両立しうる持続可能な経済および社会発展が可能な条件を提供すること
d 先住民族の構成員が公的生活への実効的な参加について平等の権利をもち、自らの権利や利益に直接関連する決定が、十分な情報にもとづいた合意なくして行われないことを確保すること、
e 先住民族の共同体が、自らの文化的伝統や慣習を実践、再活性化し、また、自らの言語を保持、実践する権利を行使できることを確保すること

委員会は、締約国に対し、
先住民族が自らの共有地、領土および資源を所有、開発、管理および利用する権利を認め、保護し、
また彼らが伝統的に所有もしくは居住、利用していた土地または領土が、自由で十分な情報にもとづいた合意なく奪われた場合は、 それらの土地もしくは領土を返還する措置をとるようとくに要請する。
これが事実上不可能な場合にかぎり、現状回復の権利は正当で公平かつ速やかな補償の権利に差し替えられるべきである。
この補償は、できるかぎり土地もしくは領土という形態をとるべきである。
▼私がアイヌ民族の歴史を勉強して一番やらなければならないと考えているのはここでいう「補償」。 「土地もしくは領土という形態」の「補償」ということ。(2020.5.12)

委員会は、さらに、自らの領土内に先住民族が存在する締約国は、本条約のすべての関連規定を考慮しつつ、定期報告書にそれらの民族の状況に関する十分な情報を含めるよう要請する。
(翻訳:上村英明/明治学院大学国際平和研究所・市民外交センター) 『アジア・太平洋人権レビュー1998』より転載
※上記国連の文書はヒューライツ大阪のホームページから転載しました。
既に20年前の1997年に国連の人種差別撤廃委員会でこれだけの内容の勧告が出されています。その後2007年に先住民族権利宣言が採択されています。 どのように実行していくか、が残されています。
▼1989年の原住民及び種族民条約(第169号)ILO条約から8年の1997年です。画期的な勧告だとおもいます。そして2007年に。劇的に変化しています。 (2020.5.8)

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\ 2001年ダーバン宣言「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」(2020.5.9 掲載) ダーバン宣言と行動計画(翻訳- 宣言:前田 朗、行動計画:ヒューライツ大阪)
MSワードファイル(1.1Mb)PDFファイル(614k)行動計画へジャンプ 英語版(UNHCHRサイトへ)

宣 言
 2001年8月31日から9月8日にかけて南アフリカのダーバンで会議を開き、
 本世界会議を主催した南アフリカ政府に深い感謝を表明し、
 アパルトヘイト制度に反対し、民主主義のもとでの平等と正義、発展、法の支配、人権の尊重を求める 南アフリカ人民の英雄的闘いから示唆を受け、その意味で、その闘いに国際社会が果たした重要な貢献、 とりわけアフリカ諸国の人民と政府の重要な役割を想起し、NGOなどの市民社会のさまざまな関係者がその闘いや、 人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容との現在進行中の闘いにおいて果たした重要な役割を想起し、

 1993年6月の世界人権会議で採択された「ウィーン宣言と行動計画」が、あらゆる形態の 人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容の速やかで包括的な廃止を呼びかけていることを想起し、

 「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議(「世界会議」)」の開催に関連する 1997年4月18日の人権委員会決議1997/74、
1997年12月12日の国連総会決議52/111、
これらの機関のその後の諸決議を想起し、

1978年と1983年にジュネーブで開催された二度の「人種主義および人種差別と闘う世界会議」も想起し、
 国際社会の努力にもかかわらず、三度の「人種主義および人種差別と闘う10年」の主要目標が達成されていないこと、 ならびに、数え切れない人間が今日もなお、さまざまな形態の人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容の犠牲者 となり続けていることに重大な懸念をもって留意し、

 2001年が、世界会議の目標に世界の関心を引き寄せ、あらゆる形態の 人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容を廃止する政治公約に新しい推進力を与えることを目的としている 「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する国際運動年」であることを想起し、

 国連総会が2001年を「国連・文明間の対話の年」と宣言し、協調・パートナーシップ・包容によって、 共有された価値、普遍的人権および人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容との闘いを脅かす 人道への共通の挑戦に対処するために、多様性のための寛容と尊重、文明間の共通の地盤を模索する必要を強調したことを歓迎し、
 国連総会が「世界の子どもたちのための平和と非暴力の文化の10年(2001年〜2010年)」を決定し、 ならびに、「平和の文化に関する宣言と行動計画」を採択したことを歓迎し、
 世界会議が、「先住民族の国際10年」とともに、世界中の政治・経済・社会・文化・精神の発展への 先住民族の貴重な貢献、ならびに、先住民族が直面している人種主義や人種差別などの挑戦について検討する独自の機会を提供することを認め、

 1960年の「植民地諸国人民独立付与国連宣言」を想起し、
 国連憲章と世界人権宣言に含まれた諸目的と諸原則へのわれわれの公約を再確認し、
 人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容は、国連憲章の諸目的と諸原則を否定するものであることを確認し、
 世界人権宣言の平等と非差別の原則を再確認し、人種・皮膚の色・性・言語・宗教・政治その他の見解・ナショナルな、 または社会的な出身・財産・出生その他の地位のようないかなる種類の区別もなく、すべての者に人権と基本的自由が尊重されるよう奨励し、
 人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容を撤廃するための原則的国際文書としての 「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」(人種差別撤廃条約)の普遍的加入または批准、 そのもとで生じる義務の完全な履行が基本的に重要であることを確信し、
 人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容との闘いに際して、 関連するすべての国際人権文書を普遍的支持という観点で署名・批准・加入を検討することが各国にとって基本的に重要であることを認め、
 ストラスブール、サンティアゴ、ダカール、テヘランで開催された地域会議の報告書、各国から提出された報告書、 ならびに、専門家セミナー、NGO地域会合、その他の世界会議準備会議の報告書に留意し、
 新生南アフリカの最初の大統領であった尊敬すべきネルソン・マンデラの後援と、 国連人権高等弁務官兼世界会議事務局長のイニシアティブで、ターボ・ムベキ南アフリカ大統領が行い、 七四カ国の国家元首・政府首脳・高官が署名した「ビジョン声明」に感謝をもって留意し、
 文化的多様性が、人道全体の前進と福利のために重要なプラスとなり、われわれの社会を豊かにする永続的長所として、 評価、享受、真に受容され、取り入れられるべきであると再確認し、
 関連する人権文書において義務として規定されているように、人種差別、ジェノサイド、アパルトヘイト犯罪、 奴隷制の禁止からの逸脱は許されないことを認め、
 世界の人民に耳を傾け、正義、すべての者の機会平等への世界の人民の示唆や、発展の権利、 平和で自由に生きる権利、経済・社会・文化・市民・政治生活における差別のない平等の参加を含む、 すべての者の人権の享受への世界の人民の示唆を認め、
 正当な、公平な、民主的で包容的な社会の形成にすべての個人と人民が平等に参加することが、 人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容から世界を解放するのに寄与しうることを認め、
 国内の意思決定と世界的な意思決定に、すべての者が差別なく公平に参加することの重要性を強調し、
 人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容は、それが人種主義および人種差別に等しい場合、 すべての人権の重大な侵害であり、その完全な享受の障害となり、すべての人間は尊厳と権利において自由かつ平等に生まれているという 自明の真実を否定し、諸人民や諸国の間の友好で平和な関係の障害となり、武力紛争を含む多くの国内紛争や国際紛争の根因となり、 住民の強制移送に帰結することを確認し、
 普遍的・不可分・相互依存・相互関係的であるすべての人権、経済・社会・文化・政治的権利の完全な享受を保証するために、 すべての諸国の男性・女性・子どもの生活条件を改善するために、人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容と闘う 国内活動と国際活動が求められていることを認める。
 人権の促進と保護のための、人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容と闘う目標を達成するための、 国際協調を強化する重要性を再確認する。
 外国人排斥は、さまざまな現象で現れるが、各国と国際社会による緊急の注目と迅速な行為で闘う必要のある 差別と紛争の主要な現代的源泉と形態の一つであると認め、
 国際社会、政府、地方自治体が行った努力にもかかわらず、人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容 という災難が継続して、人権侵害、苦痛、不遇、暴力をもたらしており、適用できるすべての適切な措置によって、 最優先事項として、できれば影響を受ける共同体と協力して、これと闘わなければならないことを完全に認め、
 人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容の継続的暴力的な発生、および、 植民地時代に促進され実行された、ある人種や文化が他の人種や文化より優越しているという見解が、 今日でもあれこれの形態で唱えられ続けていることに懸念をもって留意し、
 人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容が、より陰険な、現代的形態と現象で出現したり 継続して発生していること、および、人種差別、民族差別ならびに優越性に基づく理論や慣行に警鐘を鳴らし、
 いわゆる人種間の差異の存在を決定しようとする学説とともに、いかなる人種的優越理論をも強く拒絶し、
 人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容との闘いと非難が、すべての人、 とくにすべてのレベルの公の当局や政治家によって行われなければ、その永久化を促進する要因となることを認め、
 各国には、すべての被害者の人権と基本的自由を保護・促進する義務があり、 各国は、女性が直面する多元的な差別の形態を認めて、ジェンダー観点を採用するべきであり、 女性が市民・政治・経済・社会・文化の権利を享受することが世界中の社会の発展に必要であることを再確認し、
 世界のグローバル化の進行が、人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容の廃止の闘いに関して、 もたらしている挑戦とチャンスの双方を認め、
 グローバル化とテクノロジーが人びとを一つにまとめるのにかなり貢献している時代に、 平等・尊厳・連帯を基礎とした人間家族の観念を実現し、二一世紀を人権の世紀とし、 人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容を廃止し、 すべての個人と人民にとって機会と取り扱いの真の平等の実現の世紀とすることを決意し、
 人民の平等権と自己決定の原則を再確認し、すべての個人が尊厳と権利において平等に生まれていることを想起し、 その平等が最優先事項として保護されなければならないことを強調し、すべての形態の人種主義、人種差別、外国人排斥および 関連のある不寛容を廃止する観点で、迅速で、断固とした、適切な措置をとることが各国の義務であることを認め、
 人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容という災難と完全に効果的に優先事項として闘い、 世界のすべての部分における人種主義の現象と過去の経験に、再発を回避する観点で学ぶことに専念し、
 普遍的平等、正義、尊厳への新しい政治意思と公約にともに参加して、世界中すべての人種主義、人種差別、 外国人排斥および関連のある不寛容のすべての被害者の記憶に敬意を表し、われわれは厳粛に「ダーバン宣言と行動計画」を採択する。
▼このような崇高な「宣言」が広く日本の世論に受け入れられることを願わずにはいられません。(2020.5.9)
▼「宣言」は122項目にわたって行動目標を設定しています。そのうち本HP「マイノリティーの声」に関係する条項を取り上げます。(2020.5.10)

2 人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容が、 人種、皮膚の色、門地(世系)またはナショナルあるいはエスニックな出身に基づいて発生し、 被害者は、性、言語、宗教、政治その他の意見、社会的出身、財産、出生、 またはその他の地位などの関連のある理由に基づいて、複合的でいっそう悪化する差別を被ることを認める。(BURAKU)

77 人種差別撤廃条約の普遍的な支持と完全な実施が、世界における平等と非差別を促進するのに最も重要であることを確認する。(BURAKU)

80 法律制定や政治・社会・経済政策を含む国際人権規範と義務の教育、発展、誠実な実施が、 人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容と闘うのに決定的であることを固く信じる。(BURAKU)

81 人民の必要と念願に応じた民主主義、透明性、責任、説明責任、参加統治、および、 人権、基本的自由の尊重、および法の支配が、人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容の効果的予防と廃止 にとって不可欠であることを認める。人種主義者や外国人排斥の態度に動機づけられた犯罪の不処罰はいかなる形態でも、 法の支配と民主主義を弱体化させる役割を果たし、そうした行為の再発を促すことを再確認する。(BURAKU)

23 先住民族の権利は各国の主権と領土の統合の原理と矛盾しないことを完全に認め、それゆえ、 適用可能な国際文書から引き出されるものを含む、適切な憲法、行政、立法、司法上の措置が採用される必要を強調する。(アイヌ民族)

39 先住民族が数世紀にわたって差別の被害者であったことを認め、先住民族が尊厳と権利において自由かつ平等であって、 いかなる差別、とくに先住民族の出自とアイデンティティに基づく差別をされてはならないことを確認し、 先住民族に影響を与える人種差別、人種主義、外国人排斥および関連のある不寛容の継続を克服する行為の必要が続いていることを強調する。 (アイヌ民族)

40 先住民族の文化と遺産の価値と多様性は、社会の発展と文化的多元主義、 および社会のすべての局面での完全な参加への先住民族の格別の貢献、とくに先住民族の関心のある問題での貢献が、 政治的社会的安定や、先住民族が居住している各国の発展にとって基本的であることを認める。(アイヌ民族)

41 先住民族が人権と基本的自由を完全に実現することが人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容の廃止にとって絶対に必要 であるという確信を強調する。先住民族が市民・政治・経済・社会・文化的権利を完全かつ平等に享受し、 先住民族に特徴的な性質やイニシアティブを尊重されつつ、持続可能な発展のためになるよう促進するという決定をしっかりと確認する。 (アイヌ民族)

42 先住民族が自己のアイデンティティを自由に表明し、権利を行使するために、先住民族がすべての形態の差別から自由であり、 当然のことながら人権と基本的自由の尊重が伴うことを強調する。先住民族の権利に関する宣言案の交渉において 先住民族のために普遍的な認知が保証されるよう努力がなされている。先住民族の権利には以下のものが含まれる。 自己の名前で呼ばれる権利、居住する自国の政治・経済・社会・文化的発展に自由かつ平等に参加する権利、 自己の組織・生活様式・文化・伝統を持続する権利、自己の言語を持続・使用する権利、 居住する地域において自己の経済構造を持続する権利、教育制度・教育プログラムの発展に役割を果たす権利、 狩猟・漁業など自己の土地と資源を管理する権利、司法に平等にアクセスする権利。(アイヌ民族)

43 先住民族がその精神的、肉体的、文化的存在の基礎として土地との間にもっている特別の関係を認め、 可能であれば、先住民族が国内法で保障されている自己の土地と資源の所有権を保有できるよう各国に促す。(アイヌ民族)


86 人種的優越や憎悪に基づくすべての観念の宣伝は、世界人権宣言に体現された諸原則および 人種差別撤廃条約第五条に明定された諸権利に照らして、法によって処罰される犯罪であると宣言されるべきであることを想起する。 (在日コリアン)

87 人種差別撤廃条約第四条b項が、人種的優越や憎悪に基づいた観念、暴力行為やそうした行為の煽動を宣伝する組織 に対して用心深くし、裁判にかけることを各国の義務としていることに留意する。これらの組織は非難され、阻止されるべきである。 (在日コリアン)

90 とくにメディアと、インターネットを含む新しいテクノロジーによる表現の自由の権利行使、 および情報を求め、受け取り、伝達する自由の完全な尊重が、人種主義、人種差別、 外国人排斥および関連のある不寛容との闘いをするのに積極的な貢献をすることを認める。 この点で、メディアの編集の独立性と自律が尊重される必要性を強調する。(在日コリアン)

95 とくに人権教育における、すべてのレベル、すべての年齢における、家庭内教育を含む教育が、 人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に基づく態度や行動を変化させ、 社会における寛容と多様性の尊重を促進する鍵であることを認める。 さらに、こうした教育が正義と平等という民主的価値の促進、宣伝および保護における決定的要素であり、 人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容の流布を予防し闘うのに必要であることを再確認する。 (BURAKU・在日コリアン・アイヌ民族・沖縄)

98 過去の悲劇を包括的かつ客観的に認識できるようにするために、 古代から最近の過去までの人類史の事実と真実を教えること、ならびに人種主義、人種差別、外国人排斥および 関連のある不寛容の歴史、原因、性質と結果の事実と真実を教えることの重要性と必要性を強調する。 (BURAKU・在日コリアン・アイヌ民族・沖縄)

100 奴隷制、奴隷取引、大西洋越え奴隷取引、アパルトヘイト、ジェノサイドおよび過去の悲劇の結果として無数の男性、 女性および子どもたちに加えられた語られざる苦痛と害悪を認め、深く残念に思う。 さらに、犯された重大かつ大規模侵害について進んで謝罪をしてきた国家や、適切な場合には、 補償を支払った国家があることに留意する。(BURAKU・在日コリアン・アイヌ民族・沖縄)

101 歴史の暗い章を閉じて、和解と癒しの手段として、国際社会とその構成員 がこれらの悲劇の犠牲者の記憶に敬意を捧げるよう勧める。 さらに、進んで、残念に思う、遺憾の意を表明する、または謝罪を表明するとしてきた国家があることに留意し、 被害者の尊厳を回復しようとしていないすべての諸国に、そのための適切な方法を見いだすよう呼びかけ、 それを行った諸国に感謝する。(BURAKU・在日コリアン・アイヌ民族・沖縄)

102 関連するすべての国家に道義的義務のあることを認め、 それらの慣行の結果が継続しているのを停止し、逆転させるために適切で効果的な措置を講じるよう呼びかける。 (BURAKU・在日コリアン・アイヌ民族・沖縄)

104 人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容により引き起こされた 人権侵害の犠牲者が、社会的、文化的、経済的に被害を受けやすい状況に照らして、 そうた差別の結果として受けた損害について公正で十分な補償や満足を求める権利を含めて、 適切な場合の法律扶助、そして効果的かつ適切な保護や救済を含む司法へのアクセスをもつことを、 多くの国際人権文書と地域人権文書、なかでも世界人権宣言と人種差別撤廃条約に示されているように、 保証されるべきことを強く再確認する。(BURAKU・在日コリアン・アイヌ民族・沖縄)

117 社会における異なった集団の間の尊重と信頼を大きく促進することが、 政府組織・政治指導者・草の根組織・市民が共有する責任、しかし、それぞれ異なった責任でなければならないことを認める。 市民社会は、公益を促進すること、とくに人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容と闘うことで 重要な役割を果たすことを強調する。(BURAKU・在日コリアン・アイヌ民族・沖縄)

122 人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容の全体的廃止のためのわれわれの グローバルな運動が着手され、行動計画に含まれた諸勧告が連帯と国際協調の精神で果たされ、 国連憲章および関連する国際文書の目的と原則によって奨励されることを確認する。 これらの勧告は、過去、現在および未来を考慮して、建設的かつ前向きのアプローチでなされるものである。 これらの戦略、政策、計画および行動の策定と実現は、効果的かつ迅速に実現されるべきであり、 国家レベル、地域レベルおよび国際的レベルの市民社会の完全な関与のもとに、 すべての国家の責任であることを認める。(BURAKU・在日コリアン・アイヌ民族・沖縄)

▼この国連を中心とした大きな人類社会の発展の流れに「マイノリティの声」の運動が位置していることが実感できました。 これまで「国連基準」を客観的な判断基準と捉えていましたが、主体的にかかわっていくべき基準でもある、と考えに変化がおきました。 (2020.5.10)
▼行動計画は219項目から成り立っています。「先住民族」を取り上げます。(2020.5.10)

先住民族
203 「先住民族の国際10年」(1995年〜2004年)の結果の評価を行い、 適切なフォローアップを含めて、この一〇年の終了の区切りをいかに示すかに関する勧告を行うよう、国連事務総長に勧告する。

204 国連システム内に先住民族に関する問題の「常設フォーラム」を将来設立するために、 事業枠組みと確固とした基盤の確立のための十分な資金を確保するよう、国家に要請する。

205 先住民族の人権と基本的自由の状況に関する特別報告者の作業に協力するよう、 国家に求め、特別報告者が自分の任務を果たすために必要なあらゆる人的、 技術的および財政的資源を提供されることを確保するよう、国連事務総長と人権高等弁務官に要請する。

206 国連人権委員会の1995年3月3日付委員会決議1995/32に従って作業部会で 審議されている先住民族の権利に関する宣言の草案について、できるだけ早急に交渉を終結し、 文案を承認するよう、国家に要求する。

207 人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容と、国内および 国際レベルにおける人民(peoples)および個人の貧困、周縁化および社会的疎外との関係に照らして、 所得と財産の不平等を縮小する政策と措置を拡大し、個別に、および国際協力を通して、経済、 社会および文化的権利を非差別的に促進し保護する適切な措置をとることを、国家に求める。

208 国家と金融・開発機関に、それぞれの政策や慣行が民族一般、とくに先住民族にどのよう に影響を与えるかを検討し、国民およびとくに先住民族による開発プロジェクトへの参加を通して それぞれの政策や慣行が人種主義の根絶に貢献することを確保し、国際金融機関をさらに民主化し、 先住民族の肉体的、精神的もしくは文化的完全性に影響を与えうる事項について先住民族と協議することによって、 グローバル化の否定的影響を緩和するよう求める。

209 金融・開発機関や国連の事業プログラムおよび専門機関に、その通常予算と理事会の手続きでのもとで、 次のことを行うよう勧める。

(a)「先住民族の国際10年」の趣旨を達成することを目的とした具体的なプログラムの準備を含めて、 とくに発展途上国の先住民族のニーズに特別な注意を払いながら、その権能の範囲内で、 先住民族の地位の改善にとくに優先性を与え、十分な資金を配分すること。

(b)適切な手続きをふんで、また、先住民族との協力のもとで、 先住民族の取り組みを共同体レベルで支援する特別プロジェクトを実施し、また、 先住民族とこの分野における専門家の間の情報および技術的ノウハウの交換を促進すること。

▼ダーバン宣言の冊子は国際連合広報センターと(財)人権教育啓発推進センターとの 共同で製作しました、との記述を見つけました。「人権教科書」について人権教育啓発推進センターに相談することも考えます。(2020.11.21)
反人種主義世界会議 https://www.unic.or.jp/files/print_archive/pdf/world_conference/world_conference_1.pdf


]   障害者の権利に関する条約CONVENTION ON THE RIGHTS OF PERSONS WITH DISABILITIES※2006年12月6日、国連総会で採択 全50条

障害者の権利に関する条約 https://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/adhoc8/convention131015.html
障害者の権利に関する条約
(日本政府公定訳) 2014年1月20日公布
前文
第一条 目的
第二条 定義
第三条 一般原則
第四条 一般的義務
第五条 平等及び無差別
第六条 障害のある女子
第七条 障害のある児童
第八条 意識の向上
第九条 施設及びサービス等の利用の容易さ
第十条 生命に対する権利
第十一条 危険な状況及び人道上の緊急事態
第十二条 法律の前にひとしく認められる権利
第十三条 司法手続の利用の機会
第十四条 身体の自由及び安全
第十五条 拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰からの自由
第十六条 搾取、暴力及び虐待からの自由
第十七条 個人をそのままの状態で保護すること
第十八条 移動の自由及び国籍についての権利
第十九条 自立した生活及び地域社会への包容(being included)
第二十条 個人の移動を容易にすること
第二十一条 表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会
第二十二条 プライバシーの尊重
第二十三条 家庭及び家族の尊重
第二十四条 教育
第二十五条 健康
第二十六条 ハビリテーション(適応のための技能の習得)及びリハビリテーション
第二十七条 労働及び雇用
第二十八条 相当な生活水準及び社会的な保障
第二十九条 政治的及び公的活動への参加
第三十条 文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加
第三十一条 統計及び資料の収集
第三十二条 国際協力
第三十三条 国内における実施及び監視
第三十四条 障害者の権利に関する委員会
第三十五条 締約国による報告
第三十六条 報告の検討
第三十七条 締約国と委員会との間の協力
第三十八条 委員会と他の機関との関係
第三十九条 委員会の報告
第四十条 締約国会議
第四十一条 寄託者
第四十二条 署名
第四十三条 拘束されることについての同意
第四十四条 地域的な統合のための機関
第四十五条 効力発生
第四十六条 留保
第四十七条 改正
第四十八条 廃棄
第四十九条 利用しやすい様式
第五十条 正文
前文
この条約の締約国は、

(a) 国際連合憲章において宣明された原則が、人類社会の全ての構成員の固有の尊厳及び価値並びに平等のかつ奪い得ない権利が世界における自由、正義及び平和の基礎を成すものであると認めていることを想起し、
(b) 国際連合が、世界人権宣言及び人権に関する国際規約において、全ての人はいかなる差別もなしに同宣言及びこれらの規約に掲げる全ての権利及び自由を享有することができることを宣明し、及び合意したことを認め、
(c) 全ての人権及び基本的自由が普遍的であり、不可分のものであり、相互に依存し、かつ、相互に関連を有すること並びに障害者が全ての人権及び基本的自由を差別なしに完全に享有することを保障することが必要であることを再確認し、
(d) 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、市民的及び政治的権利に関する国際規約、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約、拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約、児童の権利に関する条約及び全ての移住労働者及びその家族の構成員の権利の保護に関する国際条約を想起し、
(e) 障害が発展する概念であることを認め、また、障害が、 機能障害を有する者とこれらの者に対する態度及び環境による障壁との間の相互作用であって、 これらの者が他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げるものによって生ずることを認め、
▼この条項がすごい。新鮮。(2020.9.29)
(f) 障害者に関する世界行動計画及び障害者の機会均等化に関する標準規則に定める原則及び政策上の指針が、障害者の機会均等を更に促進するための国内的、地域的及び国際的な政策、計画及び行動の促進、作成及び評価に影響を及ぼす上で重要であることを認め、
(g) 持続可能な開発に関連する戦略の不可分の一部として障害に関する問題を主流に組み入れることが重要であることを強調し、
(h) また、いかなる者に対する障害に基づく差別も、人間の固有の尊厳及び価値を侵害するものであることを認め、
(i) さらに、障害者の多様性を認め、
(j) 全ての障害者(より多くの支援を必要とする障害者を含む。)の人権を促進し、及び保護することが必要であることを認め、
(k) これらの種々の文書及び約束にもかかわらず、障害者が、世界の全ての地域において、社会の平等な構成員としての参加を妨げる障壁及び人権侵害に依然として直面していることを憂慮し、
(l) あらゆる国(特に開発途上国)における障害者の生活条件を改善するための国際協力が重要であることを認め、
(m) 障害者が地域社会における全般的な福祉及び多様性に対して既に貴重な貢献をしており、又は貴重な貢献をし得ることを認め、また、障害者による人権及び基本的自由の完全な享有並びに完全な参加を促進することにより、その帰属意識が高められること並びに社会の人的、社会的及び経済的開発並びに貧困の撲滅に大きな前進がもたらされることを認め、
(n) 障害者にとって、個人の自律及び自立(自ら選択する自由を含む。)が重要であることを認め、
(o) 障害者が、政策及び計画(障害者に直接関連する政策及び計画を含む。)に係る意思決定の過程に積極的に関与する機会を有すべきであることを考慮し、
(p) 人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的な、種族的な、先住民族としての若しくは社会的な出身、財産、出生、年齢又は他の地位に基づく複合的又は加重的な形態の差別を受けている障害者が直面する困難な状況を憂慮し、
(q) 障害のある女子が、家庭の内外で暴力、傷害若しくは虐待、放置若しくは怠慢な取扱い、不当な取扱い又は搾取を受ける一層大きな危険にしばしばさらされていることを認め、
(r) 障害のある児童が、他の児童との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を完全に享有すべきであることを認め、また、このため、児童の権利に関する条約の締約国が負う義務を想起し、
(s) 障害者による人権及び基本的自由の完全な享有を促進するためのあらゆる努力に性別の視点を組み込む必要があることを強調し、
(t) 障害者の大多数が貧困の状況下で生活している事実を強調し、また、この点に関し、貧困が障害者に及ぼす悪影響に対処することが真に必要であることを認め、
(u) 国際連合憲章に定める目的及び原則の十分な尊重並びに人権に関する適用可能な文書の遵守に基づく平和で安全な状況が、特に武力紛争及び外国による占領の期間中における障害者の十分な保護に不可欠であることに留意し、
(v) 障害者が全ての人権及び基本的自由を完全に享有することを可能とするに当たっては、物理的、社会的、経済的及び文化的な環境並びに健康及び教育を享受しやすいようにし、並びに情報及び通信を利用しやすいようにすることが重要であることを認め、
(w) 個人が、他人に対し及びその属する地域社会に対して義務を負うこと並びに国際人権章典において認められる権利の増進及び擁護のために努力する責任を有することを認識し、
(x) 家族が、社会の自然かつ基礎的な単位であること並びに社会及び国家による保護を受ける権利を有することを確信し、また、障害者及びその家族の構成員が、障害者の権利の完全かつ平等な享有に向けて家族が貢献することを可能とするために必要な保護及び支援を受けるべきであることを確信し、
(y) 障害者の権利及び尊厳を促進し、及び保護するための包括的かつ総合的な国際条約が、開発途上国及び先進国において、障害者の社会的に著しく不利な立場を是正することに重要な貢献を行うこと並びに障害者が市民的、政治的、経済的、社会的及び文化的分野に均等な機会により参加することを促進することを確信して、 次のとおり協定した。
第一条 目的
 この条約は、全ての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、及び確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とする。  障害者には、長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な機能障害であって、様々な障壁との相互作用により他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げ得るものを有する者を含む。 第二条 定義
 この条約の適用上、
 「意思疎通」とは、言語、文字の表示、点字、触覚を使った意思疎通、拡大文字、 利用しやすいマルチメディア並びに筆記、音声、平易な言葉、朗読その他の補助的及び代替的な意思疎通の形態、 手段及び様式(利用しやすい情報通信機器を含む。)をいう。
 「言語」とは、音声言語及び手話その他の形態の非音声言語をいう。
 「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、 政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、 他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、 又は妨げる目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮(Reasonable accommodation)の否定を含む。)を含む。
 「合理的配慮」とは、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、 又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、 かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。
 「ユニバーサルデザイン」とは、調整又は特別な設計を必要とすることなく、 最大限可能な範囲で全ての人が使用することのできる製品、環境、計画及びサービスの設計をいう。 ユニバーサルデザインは、特定の障害者の集団のための補装具が必要な場合には、これを排除するものではない。
第三条 一般原則
この条約の原則は、次のとおりとする。
(a) 固有の尊厳、個人の自律(自ら選択する自由を含む。)及び個人の自立の尊重
(b) 無差別
(c) 社会への完全かつ効果的な参加及び包容(inclusion)
(d) 差異の尊重並びに人間の多様性の一部及び人類の一員としての障害者の受入れ
(e) 機会の均等
(f) 施設及びサービス等の利用の容易さ
(g) 男女の平等
(h) 障害のある児童の発達しつつある能力の尊重及び障害のある児童がその同一性(identities)を保持する権利の尊重
第四条 一般的義務
1 締約国は、障害に基づくいかなる差別もなしに、全ての障害者のあらゆる人権及び基本的自由を完全に実現することを確保し、 及び促進することを約束する。このため、締約国は、次のことを約束する。
(a) この条約において認められる権利の実現のため、全ての適当な立法措置、行政措置その他の措置をとること。
(b) 障害者に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し、又は廃止するための全ての適当な措置(立法を含む。)をとること。
(c) 全ての政策及び計画において障害者の人権の保護及び促進を考慮に入れること。
(d) この条約と両立しないいかなる行為又は慣行も差し控えること。また、公の当局及び機関がこの条約に従って行動することを確保すること。
(e) いかなる個人、団体又は民間企業による障害に基づく差別も撤廃するための全ての適当な措置をとること。
(f) 第二条に規定するユニバーサルデザインの製品、サービス、設備及び施設であって、 障害者に特有のニーズを満たすために必要な調節が可能な限り最小限であり、かつ、 当該ニーズを満たすために必要な費用が最小限であるべきものについての研究及び開発を実施し、 又は促進すること。また、当該ユニバーサルデザインの製品、サービス、設備及び施設の利用可能性及び使用を促進すること。 さらに、基準及び指針を作成するに当たっては、ユニバーサルデザインが当該基準及び指針に含まれることを促進すること。
(g) 障害者に適した新たな機器(情報通信機器、移動補助具、補装具及び支援機器を含む。)についての研究及び開発を実施し、 又は促進し、並びに当該新たな機器の利用可能性及び使用を促進すること。この場合において、 締約国は、負担しやすい費用の機器を優先させる。
(h) 移動補助具、補装具及び支援機器(新たな機器を含む。)並びに他の形態の援助、 支援サービス及び施設に関する情報であって、障害者にとって利用しやすいものを提供すること。
(i) この条約において認められる権利によって保障される支援及びサービスをより良く提供するため、 障害者と共に行動する専門家及び職員に対する当該権利に関する研修を促進すること。
2 各締約国は、経済的、社会的及び文化的権利に関しては、これらの権利の完全な実現を漸進的に達成するため、 自国における利用可能な手段を最大限に用いることにより、また、必要な場合には国際協力の枠内で、措置をとることを約束する。 ただし、この条約に定める義務であって、国際法に従って直ちに適用されるものに影響を及ぼすものではない。
3 締約国は、この条約を実施するための法令及び政策の作成及び実施において、 並びに障害者に関する問題についての他の意思決定過程において、障害者(障害のある児童を含む。以下この3において同じ。) を代表する団体を通じ、障害者と緊密に協議し、及び障害者を積極的に関与させる。
4 この条約のいかなる規定も、締約国の法律又は締約国について効力を有する国際法に含まれる 規定であって障害者の権利の実現に一層貢献するものに影響を及ぼすものではない。 この条約のいずれかの締約国において法律、条約、規則又は慣習によって認められ、 又は存する人権及び基本的自由については、この条約がそれらの権利若しくは 自由を認めていないこと又はその認める範囲がより狭いことを理由として、 それらの権利及び自由を制限し、又は侵してはならない。
5 この条約は、いかなる制限又は例外もなしに、連邦国家の全ての地域について適用する。
第五条 平等及び無差別
1 締約国は、全ての者が、法律の前に又は法律に基づいて平等であり、並びにいかなる差別 もなしに法律による平等の保護及び利益を受ける権利を有することを認める。
2 締約国は、障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとし、いかなる理由による差別に 対しても平等かつ効果的な法的保護を障害者に保障する。
3 締約国は、平等を促進し、及び差別を撤廃することを目的として、 合理的配慮(reasonable accommodation)が提供されることを確保するための全ての適当な措置をとる。
4 障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、 この条約に規定する差別と解してはならない。
第六条 障害のある女子
1 締約国は、障害のある女子が複合的な差別を受けていることを認識するものとし、 この点に関し、障害のある女子が全ての人権及び基本的自由を完全かつ平等に享有することを確保するための措置をとる。
2 締約国は、女子に対してこの条約に定める人権及び基本的自由を行使し、 及び享有することを保障することを目的として、女子の完全な能力開発、 向上及び自律的な力の育成を確保するための全ての適当な措置をとる。
第七条 障害のある児童
1 締約国は、障害のある児童が他の児童との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を完全に享有することを 確保するための全ての必要な措置をとる。
2 障害のある児童に関する全ての措置をとるに当たっては、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。
3 締約国は、障害のある児童が、自己に影響を及ぼす全ての事項について 自由に自己の意見を表明する権利並びにこの権利を実現するための障害及び年齢に適した 支援を提供される権利を有することを確保する。この場合において、障害のある児童の意見は、 他の児童との平等を基礎として、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。
▼当事者の声
第八条 意識の向上(Awareness-raising)
1 締約国は、次のことのための即時の、効果的なかつ適当な措置をとることを約束する。
(a) 障害者に関する社会全体(各家庭を含む。)の意識を向上させ、並びに障害者の権利及び尊厳に対する尊重を育成すること。
(b) あらゆる活動分野における障害者に関する定型化された観念、偏見及び有害な慣行(性及び年齢に基づくものを含む。)と戦うこと (To combat stereotypes, prejudices and harmful practices) 。
▼To combatと激しいことば使い。(2020.9.30)
(c) 障害者の能力及び貢献に関する意識を向上させること。
2 このため、1の措置には、次のことを含む。
(a) 次のことのための効果的な公衆の意識の啓発活動を開始し、及び維持すること。
(@) 障害者の権利に対する理解を育てること。
(A) 障害者に対する肯定的認識及び一層の社会の啓発を促進すること。
(B) 障害者の技能、長所及び能力並びに職場及び労働市場に対する障害者の貢献についての認識を促進すること。
(b) 教育制度の全ての段階(幼年期からの全ての児童に対する教育制度を含む。)において、障害者の権利を尊重する態度を育成すること。
(c) 全ての報道機関が、この条約の目的に適合するように障害者を描写するよう奨励すること。
(d) 障害者及びその権利に関する啓発のための研修計画を促進すること。
▼この活動は自治会でもできる。(2020.9.29)
第九条 施設及びサービス等の利用の容易さ
1 締約国は、障害者が自立して生活し、及び生活のあらゆる側面に完全に参加することを可能にすることを目的として、 障害者が、他の者との平等を基礎として、都市及び農村の双方において、物理的環境、輸送機関、 情報通信(情報通信機器及び情報通信システムを含む。)並びに公衆に開放され、 又は提供される他の施設及びサービスを利用する機会を有することを確保するための適当な措置をとる。 この措置は、施設及びサービス等の利用の容易さに対する妨げ及び障壁を特定し、及び撤廃することを含むものとし、 特に次の事項について適用する。
(a) 建物、道路、輸送機関その他の屋内及び屋外の施設(学校、住居、医療施設及び職場を含む。)
(b) 情報、通信その他のサービス(電子サービス及び緊急事態に係るサービスを含む。)
2 締約国は、また、次のことのための適当な措置をとる。
(a) 公衆に開放され、又は提供される施設及びサービスの利用の容易さに関する最低基準及び指針を作成し、 及び公表し、並びに当該最低基準及び指針の実施を監視すること。
(b) 公衆に開放され、又は提供される施設及びサービスを提供する民間の団体が、 当該施設及びサービスの障害者にとっての利用の容易さについてあらゆる側面を考慮することを確保すること。
▼民間のホールも対象になる。(2020.9.29)
(c) 施設及びサービス等の利用の容易さに関して障害者が直面する問題についての研修を関係者に提供すること。
(d) 公衆に開放される建物その他の施設において、点字の表示及び読みやすく、かつ、理解しやすい形式の表示を提供すること。
(e) 公衆に開放される建物その他の施設の利用の容易さを促進するため、 人又は動物による支援及び仲介する者(案内者、朗読者及び専門の手話通訳を含む。)を提供すること。
(f) 障害者が情報を利用する機会を有することを確保するため、障害者に対する他の適当な形態の援助及び支援を促進すること。
(g) 障害者が新たな情報通信機器及び情報通信システム(インターネットを含む。)を利用する機会を有することを促進すること。
(h) 情報通信機器及び情報通信システムを最小限の費用で利用しやすいものとするため、早い段階で、利用しやすい 情報通信機器及び情報通信システムの設計、開発、生産及び流通を促進すること。
第十条 生命に対する権利
 締約国は、全ての人間が生命に対する固有の権利を有することを再確認するものとし、 障害者が他の者との平等を基礎としてその権利を効果的に享有することを確保するための全ての必要な措置をとる。
第十一条 危険な状況及び人道上の緊急事態
 締約国は、国際法(国際人道法及び国際人権法を含む。)に基づく自国の義務に従い、 危険な状況(武力紛争、人道上の緊急事態及び自然災害の発生を含む。)において 障害者の保護及び安全を確保するための全ての必要な措置をとる。
▼日本では台風・大雨時の避難が該当する。(2020.9.29)
第十二条 法律の前にひとしく認められる権利
1 締約国は、障害者が全ての場所において法律の前に人として認められる権利を有することを再確認する。
2 締約国は、障害者が生活のあらゆる側面において他の者との平等を基礎として法的能力を享有することを認める。
3 締約国は、障害者がその法的能力の行使に当たって必要とする支援を利用する機会を提供するための適当な措置をとる。
▼裁判、議員活動が浮かぶ。(2020.9.29)
4 締約国は、法的能力の行使に関連する全ての措置において、濫用を防止するための適当かつ効果的な保障 を国際人権法に従って定めることを確保する。当該保障は、法的能力の行使に関連する措置が、 障害者の権利、意思及び選好を尊重すること、利益相反を生じさせず、及び不当な影響を及ぼさないこと、 障害者の状況に応じ、かつ、適合すること、可能な限り短い期間に適用されること並びに権限のある、 独立の、かつ、公平な当局又は司法機関による定期的な審査の対象となることを確保するものとする。 当該保障は、当該措置が障害者の権利及び利益に及ぼす影響の程度に応じたものとする。
5 締約国は、この条の規定に従うことを条件として、障害者が財産を所有し、又は相続し、 自己の会計を管理し、及び銀行貸付け、抵当その他の形態の金融上の信用を利用する均等な機会を有することについての 平等の権利を確保するための全ての適当かつ効果的な措置をとるものとし、障害者がその財産を恣意的に奪われないことを確保する。
第十三条 司法手続の利用の機会
1 締約国は、障害者が全ての法的手続(捜査段階その他予備的な段階を含む。)において直接及び間接の参加者(証人を含む。)として 効果的な役割を果たすことを容易にするため、手続上の配慮及び年齢に適した配慮が提供されること等により、 障害者が他の者との平等を基礎として司法手続を利用する効果的な機会を有することを確保する。
▼裁判はここで出てきた。2020.9.29)
2 締約国は、障害者が司法手続を利用する効果的な機会を有することを確保することに役立てるため、 司法に係る分野に携わる者(警察官及び刑務官を含む。)に対する適当な研修を促進する。
第十四条 身体の自由及び安全
1 締約国は、障害者に対し、他の者との平等を基礎として、次のことを確保する。
(a) 身体の自由及び安全についての権利を享有すること。
▼病人、認知症の人の拘束もこれに含まれるのか?
(b) 不法に又は恣意的に自由を奪われないこと、いかなる自由の剥奪も法律に従って行われること 及びいかなる場合においても自由の剥奪が障害の存在によって正当化されないこと。
2 締約国は、障害者がいずれの手続を通じて自由を奪われた場合であっても、当該障害者が、 他の者との平等を基礎として国際人権法による保障を受ける権利を有すること並びにこの条約の目的及び原則に従って取り扱われること (合理的配慮の提供によるものを含む。)を確保する。
第十五条 拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰からの自由
1 いかなる者も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けない。 特に、いかなる者も、その自由な同意なしに医学的又は科学的実験を受けない。
2 締約国は、障害者が、他の者との平等を基礎として、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける 取扱い若しくは刑罰を受けることがないようにするため、全ての効果的な立法上、行政上、司法上その他の措置をとる。
第十六条 搾取、暴力及び虐待からの自由
1 締約国は、家庭の内外におけるあらゆる形態の搾取、暴力及び虐待(性別に基づくものを含む。)から 障害者を保護するための全ての適当な立法上、行政上、社会上、教育上その他の措置をとる。
2 また、締約国は、特に、障害者並びにその家族及び介護者に対する適当な形態の性別及び年齢に配慮した 援助及び支援(搾取、暴力及び虐待の事案を防止し、認識し、及び報告する方法に関する情報及び教育を提供することによるものを含む。) を確保することにより、あらゆる形態の搾取、暴力及び虐待を防止するための全ての適当な措置をとる。 締約国は、保護事業が年齢、性別及び障害に配慮したものであることを確保する。
3 締約国は、あらゆる形態の搾取、暴力及び虐待の発生を防止するため、障害者に役立つことを意図した 全ての施設及び計画が独立した当局により効果的に監視されることを確保する。
4 締約国は、あらゆる形態の搾取、暴力又は虐待の被害者となる障害者の身体的、認知的及び心理的な回復、 リハビリテーション並びに社会復帰を促進するための全ての適当な措置(保護事業の提供によるものを含む。)をとる。 このような回復及び復帰は、障害者の健康、福祉、自尊心、尊厳及び自律を育成する環境において行われるものとし、 性別及び年齢に応じたニーズを考慮に入れる。
5 締約国は、障害者に対する搾取、暴力及び虐待の事案が特定され、捜査され、 及び適当な場合には訴追されることを確保するための効果的な法令及び政策(女子及び児童に重点を置いた法令及び政策を含む。)を策定する。
第十七条 個人をそのままの状態で保護すること
 全ての障害者は、他の者との平等を基礎として、その心身がそのままの状態で(his or her physical and mental integrity)尊重される権利を有する。
▼この権利は意味が深い気がする。(2020.9.29)
第十八条 移動の自由及び国籍についての権利
1 締約国は、障害者に対して次のことを確保すること等により、障害者が他の者との平等を基礎として移動の自由、 居住の自由及び国籍についての権利を有することを認める。
(a) 国籍を取得し、及び変更する権利を有すること並びにその国籍を恣意的に又は障害に基づいて奪われないこと。
(b) 国籍に係る文書若しくは身元に係る他の文書を入手し、所有し、及び利用すること又は 移動の自由についての権利の行使を容易にするために必要とされる関連手続(例えば、出入国の手続)を利用することを、 障害に基づいて奪われないこと。
(c) いずれの国(自国を含む。)からも自由に離れることができること。
(d) 自国に戻る権利を恣意的に又は障害に基づいて奪われないこと。
2 障害のある児童は、出生の後直ちに登録される。障害のある児童は、出生の時から氏名を有する権利 及び国籍を取得する権利を有するものとし、また、できる限りその父母を知り、かつ、その父母によって養育される権利を有する。
第十九条 自立した生活及び地域社会への包容
 この条約の締約国は、全ての障害者が他の者と平等の選択の機会をもって地域社会で生活する平等の権利を有することを認めるものとし、 障害者が、この権利を完全に享受し、並びに地域社会に完全に包容され、及び参加することを容易にするための効果的かつ適当な措置をとる。 この措置には、次のことを確保することによるものを含む。
(a) 障害者が、他の者との平等を基礎として、居住地を選択し、及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること 並びに特定の生活施設で生活する義務を負わないこと。
▼この自由は大切。(2020.9.29)
(b) 地域社会における生活及び地域社会への包容を支援し、並びに地域社会からの孤立及び隔離を防止するために必要な 在宅サービス、居住サービスその他の地域社会支援サービス(個別の支援を含む。)を障害者が利用する機会を有すること。
▼マンションでも心得ておくべき事柄。(2020.9.29)
(c) 一般住民向けの地域社会サービス及び施設が、障害者にとって他の者との平等を基礎として利用可能であり、 かつ、障害者のニーズに対応していること。
▼マンションでも心得ておくべき事柄。(2020.9.29)
第二十条 個人の移動を容易にすること
 締約国は、障害者自身ができる限り自立して移動することを容易にすることを確保するための効果的な措置をとる。 この措置には、次のことによるものを含む。
(a) 障害者自身が、自ら選択する方法で、自ら選択する時に、かつ、負担しやすい費用で移動することを容易にすること。
(b) 障害者が質の高い移動補助具、補装具、支援機器、人又は動物による支援及び仲介する者を利用する機会を得やすくすること (これらを負担しやすい費用で利用可能なものとすることを含む。)。
(c) 障害者及び障害者と共に行動する専門職員に対し、移動のための技能に関する研修を提供すること。
(d) 移動補助具、補装具及び支援機器を生産する事業体に対し、障害者の移動のあらゆる側面を考慮するよう奨励すること。
第二十一条 表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会
 締約国は、障害者が、第二条に定めるあらゆる形態の意思疎通であって自ら選択するものにより、表現及び意見の自由 (他の者との平等を基礎として情報及び考えを求め、受け、及び伝える自由を含む。)についての権利を行使することができることを 確保するための全ての適当な措置をとる。この措置には、次のことによるものを含む。
(a) 障害者に対し、様々な種類の障害に相応した利用しやすい様式及び機器により、適時に、かつ、追加の費用を伴わず、 一般公衆向けの情報を提供すること。
▼受け取れる情報量を平等にするということ。(2020.9.29)
(b) 公的な活動において、手話、点字、補助的及び代替的な意思疎通並びに障害者が自ら選択する他の全ての利用しやすい 意思疎通の手段、形態及び様式を用いることを受け入れ、及び容易にすること。
(c) 一般公衆に対してサービス(インターネットによるものを含む。)を提供する民間の団体が 情報及びサービスを障害者にとって利用しやすい又は使用可能な様式で提供するよう要請すること。
(d) マスメディア(インターネットを通じて情報を提供する者を含む。)がそのサービスを 障害者にとって利用しやすいものとするよう奨励すること。
(e) 手話の使用を認め、及び促進すること。
第二十二条 プライバシーの尊重
1 いかなる障害者も、居住地又は生活施設のいかんを問わず、そのプライバシー、家族、 住居又は通信その他の形態の意思疎通に対して恣意的に又は不法に干渉されず、また、 名誉及び信用を不法に攻撃されない。障害者は、このような干渉又は攻撃に対する法律の保護を受ける権利を有する。
2 締約国は、他の者との平等を基礎として、障害者の個人、健康及びリハビリテーションに関する情報に係るプライバシーを保護する。
第二十三条 家庭及び家族の尊重
1 締約国は、他の者との平等を基礎として、婚姻、家族、親子関係及び個人的な関係に係る全ての事項に関し、 障害者に対する差別を撤廃するための効果的かつ適当な措置をとる。この措置は、次のことを確保することを目的とする。
(a) 婚姻をすることができる年齢の全ての障害者が、両当事者の自由かつ完全な合意に基づいて婚姻をし、かつ、 家族を形成する権利を認められること。
(b) 障害者が子の数及び出産の間隔を自由にかつ責任をもって決定する権利を認められ、また、 障害者が生殖及び家族計画について年齢に適した情報及び教育を享受する権利を認められること。 さらに、障害者がこれらの権利を行使することを可能とするために必要な手段を提供されること。
(c) 障害者(児童を含む。)が、他の者との平等を基礎として生殖能力を保持すること。
2 締約国は、子の後見、養子縁組又はこれらに類する制度が国内法令に存在する場合には、 それらの制度に係る障害者の権利及び責任を確保する。あらゆる場合において、子の最善の利益は至上である。 締約国は、障害者が子の養育についての責任を遂行するに当たり、当該障害者に対して適当な援助を与える。
3 締約国は、障害のある児童が家庭生活について平等の権利を有することを確保する。 締約国は、この権利を実現し、並びに障害のある児童の隠匿、遺棄、放置及び隔離を防止するため、 障害のある児童及びその家族に対し、包括的な情報、サービス及び支援を早期に提供することを約束する。
4 締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。 ただし、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として適用のある法律及び手続に従いその 分離が児童の最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りでない。 いかなる場合にも、児童は、自己の障害又は父母の一方若しくは双方の障害に基づいて父母から分離されない。
5 締約国は、近親の家族が障害のある児童を監護することができない場合には、 一層広い範囲の家族の中で代替的な監護を提供し、及びこれが不可能なときは、 地域社会の中で家庭的な環境により代替的な監護を提供するようあらゆる努力を払う。
▼この条文は大事。(2020.9.29)
第二十四条 教育
1 締約国は、教育についての障害者の権利を認める。締約国は、この権利を差別なしに、かつ、 機会の均等を基礎として実現するため、障害者を包容するあらゆる段階の教育制度及び生涯学習を確保する。 当該教育制度及び生涯学習は、次のことを目的とする。
(a) 人間の潜在能力並びに尊厳及び自己の価値についての意識を十分に発達させ、並びに人権、基本的自由及び人間の多様性の尊重を強化すること。
(b) 障害者が、その人格、才能及び創造力並びに精神的及び身体的な能力をその可能な最大限度まで発達させること。
(c) 障害者が自由な社会に効果的に参加することを可能とすること。
2 締約国は、1の権利の実現に当たり、次のことを確保する。
(a) 障害者が障害に基づいて一般的な教育制度から排除されないこと及び障害のある児童が障害に基づいて 無償のかつ義務的な初等教育から又は中等教育から排除されないこと。
▼「一般的な教育制度から排除されないこと」こういう条項がちゃんとある。(2020.9.29)
(b) 障害者が、他の者との平等を基礎として、自己の生活する地域社会において、障害者を包容し、質が高く、かつ、 無償の初等教育を享受することができること及び中等教育を享受することができること。 ▼こういう条項がちゃんとある。(2020.9.29)
(c) 個人に必要とされる合理的配慮が提供されること。
(d) 障害者が、その効果的な教育を容易にするために必要な支援を一般的な教育制度の下で受けること。
(e) 学問的及び社会的な発達を最大にする環境において、完全な包容という目標に合致する効果的で個別化された支援措置がとられること。
3 締約国は、障害者が教育に完全かつ平等に参加し、及び地域社会の構成員として完全かつ平等に参加することを容易にするため、 障害者が生活する上での技能及び社会的な発達のための技能を習得することを可能とする。このため、締約国は、次のことを含む適当な措置をとる。
(a) 点字、代替的な文字、意思疎通の補助的及び代替的な形態、手段及び様式並びに定位及び移動のための技能の習得並びに 障害者相互による支援及び助言を容易にすること。
(b) 手話の習得及び聾社会の言語的な同一性の促進を容易にすること。
(c) 盲人、聾者又は盲聾者(特に盲人、聾者又は盲聾者である児童)の教育が、 その個人にとって最も適当な言語並びに意思疎通の形態及び手段で、かつ、学問的及び社会的な発達を最大にする環境において行われることを 確保すること。
4 締約国は、1の権利の実現の確保を助長することを目的として、手話又は点字について能力を有する教員(障害のある教員を含む。)を雇用し、 並びに教育に従事する専門家及び職員(教育のいずれの段階において従事するかを問わない。)に対する研修を行うための適当な措置をとる。 この研修には、障害についての意識の向上を組み入れ、また、適当な意思疎通の補助的及び代替的な形態、 手段及び様式の使用並びに障害者を支援するための教育技法及び教材の使用を組み入れるものとする。
5 締約国は、障害者が、差別なしに、かつ、他の者との平等を基礎として、一般的な高等教育、職業訓練、 成人教育及び生涯学習を享受することができることを確保する。このため、締約国は、合理的配慮が障害者に提供されることを確保する。
第二十五条 健康
 締約国は、障害者が障害に基づく差別なしに到達可能な最高水準の健康を享受する権利を有することを認める。 締約国は、障害者が性別に配慮した保健サービス(保健に関連するリハビリテーションを含む。)を利用する機会を有することを 確保するための全ての適当な措置をとる。締約国は、特に、次のことを行う。
(a) 障害者に対して他の者に提供されるものと同一の範囲、質及び水準の無償の又は負担しやすい費用の 保健及び保健計画(性及び生殖に係る健康並びに住民のための公衆衛生計画の分野のものを含む。)を提供すること。
(b) 障害者が特にその障害のために必要とする保健サービス (早期発見及び適当な場合には早期関与並びに特に児童及び高齢者の新たな障害を最小限にし、及び防止するためのサービスを含む。) を提供すること。
(c) これらの保健サービスを、障害者自身が属する地域社会(農村を含む。)の可能な限り近くにおいて提供すること。
(d) 保健に従事する者に対し、特に、研修を通じて及び公私の保健に関する倫理基準を広く知らせることによって 障害者の人権、尊厳、自律及びニーズに関する意識を高めることにより、他の者と同一の質の医療 (例えば、事情を知らされた上での自由な同意を基礎とした医療)を障害者に提供するよう要請すること。
(e) 健康保険及び国内法により認められている場合には生命保険の提供に当たり、公正かつ妥当な方法で行い、 及び障害者に対する差別を禁止すること。
(f) 保健若しくは保健サービス又は食糧及び飲料の提供に関し、障害に基づく差別的な拒否を防止すること。
第二十六条 ハビリテーション(適応のための技能の習得)及びリハビリテーション
1 締約国は、障害者が、最大限の自立並びに十分な身体的、精神的、社会的及び職業的な能力を達成し、 及び維持し、並びに生活のあらゆる側面への完全な包容及び参加を達成し、及び維持することを可能とするための 効果的かつ適当な措置(障害者相互による支援を通じたものを含む。)をとる。このため、締約国は、 特に、保健、雇用、教育及び社会に係るサービスの分野において、ハビリテーション及びリハビリテーションについての 包括的なサービス及びプログラムを企画し、強化し、及び拡張する。この場合において、これらのサービス及びプログラムは、 次のようなものとする。
(a) 可能な限り初期の段階において開始し、並びに個人のニーズ及び長所に関する学際的な評価を基礎とするものであること。
(b) 地域社会及び社会のあらゆる側面への参加及び包容(inclusion)を支援し、自発的なものであり、 並びに障害者自身が属する地域社会(農村を含む。)の可能な限り近くにおいて利用可能なものであること。
2 締約国は、ハビリテーション及びリハビリテーションのサービスに従事する専門家及び 職員に対する初期研修及び継続的な研修の充実を促進する。
3 締約国は、障害者のために設計された補装具及び支援機器であって、ハビリテーション及びリハビリテーション に関連するものの利用可能性、知識及び使用を促進する。
第二十七条 労働及び雇用
1 締約国は、障害者が他の者との平等を基礎として労働についての権利を有することを認める。 この権利には、障害者に対して開放され、障害者を包容し、及び障害者にとって利用しやすい(inclusive and accessible)労働市場及び労働環境において、 障害者が自由に選択し、又は承諾する労働によって生計を立てる機会を有する権利を含む。 締約国は、特に次のことのための適当な措置(立法によるものを含む。)をとることにより、 労働についての障害者(雇用の過程で障害を有することとなった者を含む。)の権利が実現されることを保障し、及び促進する。
(a) あらゆる形態の雇用に係る全ての事項(募集、採用及び雇用の条件、雇用の継続、昇進並びに安全かつ健康的な作業条件を含む。) に関し、障害に基づく差別を禁止すること。
(b) 他の者との平等を基礎として、公正かつ良好な労働条件(均等な機会及び同一価値の労働についての同一報酬を含む。)、 安全かつ健康的な作業条件(嫌がらせ(harassment)からの保護を含む。)及び苦情に対する救済についての障害者の権利を保護すること。
(c) 障害者が他の者との平等を基礎として労働及び労働組合についての権利を行使することができることを確保すること。
(d) 障害者が技術及び職業の指導に関する一般的な計画、職業紹介サービス並びに職業訓練及び継続的な訓練を利用する 効果的な機会を有することを可能とすること。
(e) 労働市場において障害者の雇用機会の増大を図り、及びその昇進を促進すること並びに職業を求め、 これに就き、これを継続し、及びこれに復帰する際の支援を促進すること。
(f) 自営活動の機会、起業家精神、協同組合の発展及び自己の事業の開始を促進すること。
(g) 公的部門において障害者を雇用すること。
(h) 適当な政策及び措置(積極的差別是正措置、奨励措置その他の措置を含めることができる。)を通じて、 民間部門における障害者の雇用を促進すること。
(i) 職場において合理的配慮が障害者に提供されることを確保すること。
(j) 開かれた労働市場において障害者が職業経験を得ることを促進すること。
(k) 障害者の職業リハビリテーション、職業の保持及び職場復帰計画を促進すること。
2 締約国は、障害者が、奴隷の状態又は隷属状態に置かれないこと及び他の者との平等を基礎として強制労働から保護されることを確保する。
第二十八条 相当な生活水準及び社会的な保障
1 締約国は、障害者が、自己及びその家族の相当な生活水準(相当な食糧、衣類及び住居を含む。)についての権利並びに 生活条件の不断の改善についての権利を有することを認めるものとし、障害に基づく差別なしにこの権利を実現することを保障し、 及び促進するための適当な措置をとる。
2 締約国は、社会的な保障についての障害者の権利及び障害に基づく差別なしにこの権利を享受することについての 障害者の権利を認めるものとし、この権利の実現を保障し、及び促進するための適当な措置をとる。 この措置には、次のことを確保するための措置を含む。
(a) 障害者が清浄な水のサービスを利用する均等な機会を有し、及び障害者が障害に関連するニーズに係る適当なかつ 費用の負担しやすいサービス、補装具その他の援助を利用する機会を有すること。
(b) 障害者(特に、障害のある女子及び高齢者)が社会的な保障及び貧困削減に関する計画を利用する機会を有すること。
(c) 貧困の状況において生活している障害者及びその家族が障害に関連する費用についての国の援助 (適当な研修、カウンセリング、財政的援助及び介護者の休息のための一時的な介護を含む。)を利用する機会を有すること。
(d) 障害者が公営住宅計画を利用する機会を有すること。
(e) 障害者が退職に伴う給付及び計画を利用する均等な機会を有すること。
第二十九条 政治的及び公的活動への参加
 締約国は、障害者に対して政治的権利を保障し、及び他の者との平等を基礎としてこの権利を享受する機会を保障するものとし、次のことを約束する。
(a) 特に次のことを行うことにより、障害者が、直接に、又は自由に選んだ代表者を通じて、 他の者との平等を基礎として、政治的及び公的活動に効果的かつ完全に参加することができること (障害者が投票し、及び選挙される権利及び機会を含む。)を確保すること。
(@) 投票の手続、設備及び資料が適当な及び利用しやすいものであり、並びにその理解及び使用が容易であることを確保すること。
(A) 障害者が、選挙及び国民投票において脅迫を受けることなく秘密投票によって投票し、 選挙に立候補し、並びに政府のあらゆる段階において実質的に在職し、及びあらゆる公務を遂行する権利を保護すること。 この場合において、適当なときは支援機器及び新たな機器の使用を容易にするものとする。
(B) 選挙人としての障害者の意思の自由な表明を保障すること。このため、必要な場合には、障害者の要請に応じて、 当該障害者により選択される者が投票の際に援助することを認めること。
(b) 障害者が、差別なしに、かつ、他の者との平等を基礎として、政治に効果的かつ完全に参加することができる環境を積極的に促進し、 及び政治への障害者の参加を奨励すること。政治への参加には、次のことを含む。
(@) 国の公的及び政治的活動に関係のある非政府機関及び非政府団体に参加し、並びに政党の活動及び運営に参加すること。
(A) 国際、国内、地域及び地方の各段階において障害者を代表するための障害者の組織を結成し、並びにこれに参加すること。
第三十条 文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加
1 締約国は、障害者が他の者との平等を基礎として文化的な生活に参加する権利を認めるものとし、 次のことを確保するための全ての適当な措置をとる。
(a) 障害者が、利用しやすい様式を通じて、文化的な作品を享受する機会を有すること。
(b) 障害者が、利用しやすい様式を通じて、テレビジョン番組、映画、演劇その他の文化的な活動を享受する機会を有すること。
(c) 障害者が、文化的な公演又はサービスが行われる場所(例えば、劇場、博物館、映画館、図書館、観光サービス) を利用する機会を有し、並びに自国の文化的に重要な記念物及び場所を享受する機会をできる限り有すること。
2 締約国は、障害者が、自己の利益のためのみでなく、社会を豊かにするためにも、自己の創造的、芸術的及び知的な潜在能力を開発し、 及び活用する機会を有することを可能とするための適当な措置をとる。
3 締約国は、国際法に従い、知的財産権を保護する法律が、障害者が文化的な作品を享受する機会を妨げる不当な又は差別的な障壁(barrier) とならないことを確保するための全ての適当な措置をとる。
4 障害者は、他の者との平等を基礎として、その独自の文化的及び言語的な同一性(identity)(手話(sign languages)及び聾文化を含む。) の承認及び支持を受ける権利を有する。
5 締約国は、障害者が他の者との平等を基礎としてレクリエーション、余暇及びスポーツの活動に参加することを可能とすることを目的として、 次のことのための適当な措置をとる。
(a) 障害者があらゆる水準の一般のスポーツ活動に可能な限り参加することを奨励し、及び促進すること。
(b) 障害者が障害に応じたスポーツ及びレクリエーションの活動を組織し、及び発展させ、 並びにこれらに参加する機会を有することを確保すること。このため、適当な指導、研修及び資源が他の者との平等を基礎 として提供されるよう奨励すること。
(c) 障害者がスポーツ、レクリエーション及び観光の場所を利用する機会を有することを確保すること。
(d) 障害のある児童が遊び、レクリエーション、余暇及びスポーツの活動(学校制度におけるこれらの活動を含む。) への参加について他の児童と均等な機会を有することを確保すること。
(e) 障害者がレクリエーション、観光、余暇及びスポーツの活動の企画に関与する者によるサービスを利用する機会を有することを確保すること。
第三十一条 統計及び資料の収集
1 締約国は、この条約を実効的なものとするための政策を立案し、及び実施することを可能とするための適当な情報 (統計資料及び研究資料を含む。)を収集することを約束する。この情報を収集し、及び保持する過程においては、次のことを満たさなければならない。
(a) 障害者の秘密の保持及びプライバシーの尊重を確保するため、法令に定める保障措置(資料の保護に関する法令を含む。)を遵守すること。
(b) 人権及び基本的自由を保護するための国際的に受け入れられた規範並びに統計の収集及び利用に関する倫理上の原則を遵守すること。
2 この条の規定に従って収集された情報は、適宜分類されるものとし、この条約に基づく締約国の義務の履行の評価に役立てるために、 並びに障害者がその権利を行使する際に直面する障壁を特定し、及び当該障壁に対処するために利用される。
3 締約国は、これらの統計の普及について責任を負うものとし、これらの統計が障害者及び他の者にとって利用しやすいことを確保する。
第三十二条 国際協力
1 締約国は、この条約の目的及び趣旨を実現するための自国の努力を支援するために国際協力及びその促進が重要であることを認識し、 この点に関し、国家間において並びに適当な場合には関連のある国際的及び地域的機関並びに市民社会 (特に障害者の組織)と連携して、適当かつ効果的な措置をとる。これらの措置には、特に次のことを含むことができる。
(a) 国際協力(国際的な開発計画を含む。)が、障害者を包容し、かつ、障害者にとって利用しやすいものであることを確保すること。
(b) 能力の開発(情報、経験、研修計画及び最良の実例の交換及び共有を通じたものを含む。)を容易にし、及び支援すること。
(c) 研究における協力を容易にし、並びに科学及び技術に関する知識を利用する機会を得やすくすること。
(d) 適当な場合には、技術援助及び経済援助(利用しやすい支援機器を利用する機会を得やすくし、 及びこれらの機器の共有を容易にすることによる援助並びに技術移転を通じた援助を含む。)を提供すること。
2 この条の規定は、この条約に基づく義務を履行する各締約国の義務に影響を及ぼすものではない。
第三十三条 国内における実施及び監視
1 締約国は、自国の制度に従い、この条約の実施に関連する事項を取り扱う一又は二以上の中央連絡先を政府内に指定する。 また、締約国は、異なる部門及び段階における関連のある活動を容易にするため、 政府内における調整のための仕組みの設置又は指定に十分な考慮を払う。
2 締約国は、自国の法律上及び行政上の制度に従い、この条約の実施を促進し、保護し、及び監視するための枠組み (適当な場合には、一又は二以上の独立した仕組みを含む。)を自国内において維持し、強化し、指定し、又は設置する。 締約国は、このような仕組みを指定し、又は設置する場合には、人権の保護及び促進のための国内機構の地位及び役割に関する原則を考慮に入れる。
3 市民社会(特に、障害者及び障害者を代表する団体)は、監視の過程に十分に関与し、かつ、参加する。
▼大事な条項(2020.9.30)
第三十四条 障害者の権利に関する委員会
1 障害者の権利に関する委員会(以下「委員会」という。)を設置する。委員会は、以下に定める任務を遂行する。
2 委員会は、この条約の効力発生の時は十二人の専門家で構成する。効力発生の時の締約国に加え更に六十の国がこの条約を批准し、 又はこれに加入した後は、委員会の委員の数を六人増加させ、上限である十八人とする。
3 委員会の委員は、個人の資格で職務を遂行するものとし、徳望が高く(high moral standing)、かつ、 この条約が対象とする分野において能力及び経験を認められた者とする。締約国は、委員の候補者を指名するに当たり、 第四条3の規定に十分な考慮を払うよう要請される。
4 委員会の委員については、締約国が、委員の配分が地理的に衡平に行われること、異なる文明形態及び主要な法体系が代表されること、 男女が衡平に代表されること並びに障害のある専門家が参加することを考慮に入れて選出する。
5 委員会の委員は、締約国会議の会合において、締約国により当該締約国の国民の中から指名された者の名簿の中から秘密投票により選出される。 締約国会議の会合は、締約国の三分の二をもって定足数とする。これらの会合においては、出席し、かつ、 投票する締約国の代表によって投じられた票の最多数で、かつ、過半数の票を得た者をもって委員会に選出された委員とする。
6 委員会の委員の最初の選挙は、この条約の効力発生の日の後六箇月以内に行う。国際連合事務総長は、 委員会の委員の選挙の日の遅くとも四箇月前までに、締約国に対し、自国が指名する者の氏名を二箇月以内に提出するよう書簡で要請する。 その後、同事務総長は、指名された者のアルファベット順による名簿(これらの者を指名した締約国名を表示した名簿とする。)を作成し、 この条約の締約国に送付する。
7 委員会の委員は、四年の任期で選出される。委員は、一回のみ再選される資格を有する。 ただし、最初の選挙において選出された委員のうち六人の委員の任期は、二年で終了するものとし、 これらの六人の委員は、最初の選挙の後直ちに、5に規定する会合の議長によりくじ引で選ばれる。
8 委員会の六人の追加的な委員の選挙は、この条の関連規定に従って定期選挙の際に行われる。
9 委員会の委員が死亡し、辞任し、又は他の理由のためにその職務を遂行することができなくなったことを宣言した場合には、 当該委員を指名した締約国は、残余の期間その職務を遂行する他の専門家であって、資格を有し、かつ、 この条の関連規定に定める条件を満たすものを任命する。
10 委員会は、その手続規則を定める。
11 国際連合事務総長は、委員会がこの条約に定める任務を効果的に遂行するために必要な職員及び便益を提供するものとし、 委員会の最初の会合を招集する。
12 この条約に基づいて設置される委員会の委員は、国際連合総会が委員会の任務の重要性を考慮して決定する条件に従い、 同総会の承認を得て、国際連合の財源から報酬を受ける。
13 委員会の委員は、国際連合の特権及び免除に関する条約の関連規定に規定する国際連合のための職務を遂行する専門家の便益、 特権及び免除を享受する。
第三十五条 締約国による報告
1 各締約国は、この条約に基づく義務を履行するためにとった措置及びこれらの措置によりもたらされた 進歩に関する包括的な報告を、この条約が自国について効力を生じた後二年以内に国際連合事務総長を通じて委員会に提出する。
2 その後、締約国は、少なくとも四年ごとに、更に委員会が要請するときはいつでも、その後の報告を提出する。
3 委員会は、報告の内容について適用される指針を決定する。
4 委員会に対して包括的な最初の報告を提出した締約国は、その後の報告においては、既に提供した情報を繰り返す必要はない。 締約国は、委員会に対する報告を作成するに当たり、公開され、かつ、透明性のある過程において作成することを検討し、 及び第四条3の規定に十分な考慮を払うよう要請される。
5 報告には、この条約に基づく義務の履行の程度に影響を及ぼす要因及び困難を記載することができる。
第三十六条 報告の検討
1 委員会は、各報告を検討する。委員会は、当該報告について、適当と認める提案及び一般的な性格を有する勧告を行うものとし、 これらの提案及び一般的な性格を有する勧告を関係締約国に送付する。当該関係締約国は、委員会に対し、 自国が選択する情報を提供することにより回答することができる。委員会は、この条約の実施に関連する追加 の情報を当該関係締約国に要請することができる。
2 いずれかの締約国による報告の提出が著しく遅延している場合には、委員会は、委員会にとって 利用可能な信頼し得る情報を基礎として当該締約国におけるこの条約の実施状況を審査することが 必要であることについて当該締約国に通報(当該通報には、関連する報告が当該通報の後三箇月以内に行われない場合には審査する旨を含む。) を行うことができる。委員会は、当該締約国がその審査に参加するよう要請する。 当該締約国が関連する報告を提出することにより回答する場合には、1の規定を適用する。
3 国際連合事務総長は、1の報告を全ての締約国が利用することができるようにする。
4 締約国は、1の報告を自国において公衆が広く利用することができるようにし、これらの報告に関連する提案及び 一般的な性格を有する勧告(general recommendations)を利用する機会を得やすくする。
▼大事な条項(2020.9.30)
5 委員会は、適当と認める場合には、締約国からの報告に記載されている技術的な助言若しくは援助の要請 又はこれらの必要性の記載に対処するため、これらの要請又は必要性の記載に関する委員会の見解及び勧告がある場合には 当該見解及び勧告とともに、国際連合の専門機関、基金及び計画その他の権限のある機関に当該報告を送付する。
第三十七条 締約国と委員会との間の協力
1 各締約国は、委員会と協力するものとし、委員の任務の遂行を支援する。
2 委員会は、締約国との関係において、この条約の実施のための当該締約国の能力を向上させる方法及び手段(国際協力を通じたものを含む。) に十分な考慮を払う。
第三十八条 委員会と他の機関との関係
 この条約の効果的な実施を促進し、及びこの条約が対象とする分野における国際協力を奨励するため、
(a) 専門機関その他の国際連合の機関は、その任務の範囲内にある事項に関するこの条約の規定の実施についての検討に際し、 代表を出す権利を有する。委員会は、適当と認める場合には、専門機関その他の権限のある機関に対し、 これらの機関の任務の範囲内にある事項に関するこの条約の実施について専門家の助言を提供するよう要請することができる。 委員会は、専門機関その他の国際連合の機関に対し、これらの機関の任務の範囲内にある事項に関するこの条約の実施について 報告を提出するよう要請することができる。
(b) 委員会は、その任務を遂行するに当たり、それぞれの報告に係る指針、提案及び一般的な性格を有する勧告の整合性を確保し、 並びにその任務の遂行における重複を避けるため、適当な場合には、人権に関する国際条約によって設置された他の関連する組織と協議する。
第三十九条 委員会の報告
 委員会は、その活動につき二年ごとに国際連合総会及び経済社会理事会に報告するものとし、また、 締約国から得た報告及び情報の検討に基づく提案及び一般的な性格を有する勧告を行うことができる。 これらの提案及び一般的な性格を有する勧告は、締約国から意見がある場合にはその意見とともに、委員会の報告に記載する。
第四十条 締約国会議
1 締約国は、この条約の実施に関する事項を検討するため、定期的に締約国会議を開催する。
2 締約国会議は、この条約が効力を生じた後六箇月以内に国際連合事務総長が招集する。 その後の締約国会議は、二年ごとに又は締約国会議の決定に基づき同事務総長が招集する。
第四十一条 寄託者
 この条約の寄託者は、国際連合事務総長とする。
第四十二条 署名
 この条約は、二千七年三月三十日から、ニューヨークにある国際連合本部において、 全ての国及び地域的な統合のための機関による署名のために開放しておく。
第四十三条 拘束されることについての同意
 この条約は、署名国によって批准されなければならず、また、署名した地域的な統合のための機関によって正式確認されなければならない。 この条約は、これに署名していない国及び地域的な統合のための機関による加入のために開放しておく。
第四十四条 地域的な統合のための機関
1 「地域的な統合のための機関」とは、特定の地域の主権国家によって構成される機関であって、 この条約が規律する事項に関してその構成国から権限の委譲を受けたものをいう。地域的な統合のための機関は、 この条約の規律する事項に関するその権限の範囲をこの条約の正式確認書又は加入書において宣言する。 その後、当該機関は、その権限の範囲の実質的な変更を寄託者に通報する。
2 この条約において「締約国」についての規定は、地域的な統合のための機関の権限の範囲内で当該機関について適用する。
3 次条1並びに第四十七条2及び3の規定の適用上、地域的な統合のための機関が寄託する文書は、これを数に加えてはならない。
4 地域的な統合のための機関は、その権限の範囲内の事項について、この条約の締約国であるその構成国の数と同数の票を 締約国会議において投ずる権利を行使することができる。当該機関は、その構成国が自国の投票権を行使する場合には、 投票権を行使してはならない。その逆の場合も、同様とする。
第四十五条 効力発生
1 この条約は、二十番目の批准書又は加入書が寄託された後三十日目の日に効力を生ずる。
2 この条約は、二十番目の批准書又は加入書が寄託された後にこれを批准し、若しくは正式確認し、 又はこれに加入する国又は地域的な統合のための機関については、その批准書、正式確認書又は加入書の寄託の後三十日目の日に効力を生ずる。
第四十六条 留保
1 この条約の趣旨及び目的と両立しない留保は、認められない。
2 留保は、いつでも撤回することができる。
第四十七条 改正
1 いずれの締約国も、この条約の改正を提案し、及び改正案を国際連合事務総長に提出することができる。 同事務総長は、締約国に対し、改正案を送付するものとし、締約国による改正案の審議及び決定のための締約国の会議の開催 についての賛否を通報するよう要請する。その送付の日から四箇月以内に締約国の三分の一以上が会議の開催に賛成する場合には、 同事務総長は、国際連合の主催の下に会議を招集する。会議において出席し、かつ、投票する締約国の三分の二以上の 多数によって採択された改正案は、同事務総長により、承認のために国際連合総会に送付され、その後受諾のために全ての締約国に送付される。
2 1の規定により採択され、かつ、承認された改正は、当該改正の採択の日における締約国の三分の二以上が受諾書を寄託した 後三十日目の日に効力を生ずる。その後は、当該改正は、いずれの締約国についても、その受諾書の寄託の後三十日目の日に効力を生ずる。 改正は、それを受諾した締約国のみを拘束する。
3 締約国会議がコンセンサス方式によって決定する場合には、1の規定により採択され、かつ、承認された改正であって、 第三十四条及び第三十八条から第四十条までの規定にのみ関連するものは、当該改正の採択の日における締約国の三分の二以上が受諾書 を寄託した後三十日目の日に全ての締結国について効力を生ずる。
第四十八条 廃棄
 締約国は、国際連合事務総長に対して書面による通告を行うことにより、この条約を廃棄することができる。 廃棄は、同事務総長がその通告を受領した日の後一年で効力を生ずる。
第四十九条 利用しやすい様式
 この条約の本文は、利用しやすい様式で提供される。
第五十条 正文
 この条約は、アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とする。
以上の証拠として、下名の全権委員は、各自の政府から正当に委任を受けてこの条約に署名した。

11 先住民族権利宣言Declaratioion on the Rights of Indigenous Peoples  全46条 (A/RES/61/295)採択 国際連合総会第61会期(2007年9月13日)

明治学院国際平和研究所紀要27号2008.3 2023.2.7掲載
総会は、
国際連合憲章の目的及び原則並びに憲章に従って国が負う義務履行に係る誠意を指針とし、
すべての民族が、他と異なっている権利、自己を異なるとみなす権利、かつ、そのようなものとして尊重される権利を有することを認識しつつ、 先住民族が他のすべての民族と平等であることを確認し、
また、すべての民族が、人類の共同の財産である文明及び文化の多様さ及び豊かさに寄与していることを確認し、
さらに、国民的出身又は人種、宗教、民族若しくは文化の違いに基づく民族又は個人の優越性に基礎を置き、 又はそれを主張するすべての教義、政策及び慣行が、人種差別的であり、科学的に誤っており、法的に無効であり、 道義的に非難されるべきであり、かつ、社会的に不正であることを確認し、
先住民族が、その権利の行使に当たり、いかなる差別も受けてはならないことを再確認し、
先住民族が、特に植民地化並びにその土地、領域及び資源のはく奪の結果として歴史的に不正に扱われてきたこと、 それによって特に自己の必要と利益にしたがって発展の権利を行使することを妨げられていることを憂慮し、
先住民族の政治的、経済的及び社会的構造並びにその文化、精神的伝統、歴史及び哲学に由来する先住民族の固有の権利、 特にその土地、領域及び資源に対する権利を尊重し、及び促進することが緊急に必要であることを認識し、
また、条約、協定及びその他の国との建設的な取決めで確認された先住民族の権利を尊重し、及び促進することが緊急に必要であることを認識し、
先住民族が、政治的、経済的、社会的及び文化的向上のため、並びにあらゆる形態の差別及び抑圧が生じたときはどこでもそれを終わらせるため、 団結していることを歓迎し、
先住民族並びにその土地、領域及び資源に影響を及ぼす開発に対する先住民族による管理が、先住民族が、その制度、 文化及び伝統を維持し並びに強化し、並びにその願望及び必要に合致する発展の促進を可能にすることを確信し、
先住民族の知識、文化及び伝統的慣習の尊重が、持続可能で衡平な発展及び環境の適正な管理に寄与することを認識し、
先住民族の土地及び領域の非軍事化が、平和、経済的及び社会的な進歩及び発展並びに世界の諸国及び諸民族の間の理解及び友好関係に 寄与することを強調し、

特に、先住民族の家族及び共同体が、子どもの権利と調和するように、子どもを養育し、訓練し、教育し、 及び福利を増進することについて共同の責任を持つ権利を有することを認識し、
国と先住民族の間の条約、協定及びその他の建設的な取決めで確認された権利は、場合によっては、国際的な懸念、関心、 責任及び性質を有する問題であることを考慮し、
また、条約、協定及びその他の建設的な取決め並びにそれらが示す関係が、 先住民族と国との間の強固なパートナーシップの基盤であることを考慮し、
国際連合憲章、
経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、
市民的及び政治的権利に関する国際規約 並びに
ウィーン宣言及び行動計画が、
すべての民族をしてその政治的地位を自由に決定し、経済的、社会的及び文化的発展を自由に追求することを可能ならしめる 自決の権利の基本的重要性を確認していることを認め、
この宣言のいかなる記述も、国際法にしたがって行使されるいかなる民族の自決の権利も否定するために用いられてはならないことに留意し、

この宣言における先住民族の権利の承認が、正義、民主主義、人権尊重、非差別及び信義誠実の諸原則に基づく国と先住民族の間の 調和的で協力的な関係を強化することを確信し、
国に対し、関係する民族と協議及び協力して、国際文書、特に人権に関する国際文書の下で国が先住民族に対して負うすべての義務を遵守し、 及び効果的に履行するよう奨励し、
国際連合が、先住民族の権利を促進し、及び保護するにあたって重要かつ継続的な役割を果たすべきであることを強調し、
この宣言が、先住民族の権利と自由の承認、促進及び保護のための、並びにこの分野における国際連合体制の関連する活動を発展させるための、 より重要な一歩であることを確信し、
(拡大)
先住民である個人が、国際法が承認するすべての人権を差別されることなく享有すること並びに先住民族が、 その生存、福利及び民族としての全体の発展のために不可欠な集団的権利を有することを認識し、及び再確認し、
地域ごと及び国ごとに先住民族の状況が異なること、並びに国及び地域の特殊性並びに多様な歴史的及び文化的背景の重要性が 考慮されるべきであることを認識して、
パートナーシップ及び相互的尊重の精神をもって達成すべき基準として、 先住民族の権利に関する国際連合宣言を次のとおり厳粛に宣言する。
『先住民族と法』18p〜19p
(拡大)
国連宣言と集団の権利


(拡大)
国連宣言と土地、資源の集団的権利 (拡大)
▲25条、26条、27条、28条が特に大事(2023.1.25)

第1条
先住民族は、集団又は個人として、国際連合憲章、世界人権宣言及び国際人権法において認められるすべての人権及び基本的自由を十分に享有する権利を有する。

第2条
先住民族及び先住民である個人は、自由であり、かつ、他のすべての民族及び個人と平等であって、その権利の行使に当たり、いかなる差別、特に先住民としての出自又はアイデンティティに基づく差別を受けない権利を有する。

第3条
先住民族は、自決の権利を有する。この権利に基づき、先住民族は、その政治的地位を自由に決定し、並びにその経済的、社会的及び文化的発展を自由に追求する。

第4条
先住民族は、その自決の権利の行使に当たり、その内部的及び地域的問題並びにその自律的活動を賄うための資金調達方法について、自律又は自治の権利を有する。

第5条
先住民族は、希望するときには、国の政治的、経済的、社会的及び文化的生活に十分に参加する権利を保持しつつ、独自の政治的、法的、経済的、社会的及び文化的制度を維持し、及び強化する権利を有する。

第6条
先住民であるすべての個人は、国籍に対する権利を有する。

第7条
1.先住民である個人は、生命、身体的及び精神的健全性、身体の自由及び安全に対する権利を有する。
2.先住民族は、独自の民族として自由、平和及び安全に生活する集団的権利を保有し、かつ、その集団の子どもを他の集団に強制的に移動させることを含む、いかなる集団殺害行為又はその他のいかなる暴力行為も受けない。

第8条
1.先住民族及び先住民である個人は、強制的に同化させられ、又はその文化を破壊されない権利を有する。
2.国は、次の行為の防止及び救済のための効果的な措置を講じなければならない。
(a)独自の民族としての一体性又はその文化的価値若しくは民族的アイデンティティを奪う目的又は効果を有するあ
   らゆる行為。
(b)先住民族の土地、領域又は資源をはく奪する目的又は効果を有するあらゆる行為。
(c)先住民族の権利を侵害し、又は損なう目的又は効果を有するあらゆる形態の強制的な人口移動。
(d)あらゆる形態の強制的な同化又は統合。
(e)先住民族に対する人種的又は民族的差別の助長又は扇動を意図するあらゆる形態の宣伝。

第9条
先住民族及び先住民である個人は、関係する共同体又は民族の伝統及び慣習に従って、先住民の共同体又は民族に所属する権利を有する。この権利の行使から、いかなる差別も生ずることはない。

第10条
先住民族は、その土地又は領域から強制的に移動させられることはない。当該先住民族の自由で事前の及び事情を了知した上での同意なしには、並びに正当かつ公平な補償に関して合意した後でなければ、また可能な場合には、復帰の選択権を与えられるのでなければ、移動を行ってはならない。

第11条
1.先住民族は、その文化的な伝統及び慣習を実践し、及び再活性化させる権利を有する。これには、考古学的及び歴史的な場所、工芸品、意匠、儀式、技術並びに視覚的及び舞台的芸術並びに文学のような、自己の文化の過去、現在及び未来の表現を維持し、保護し、及び発展させる権利が含まれる。
2.国は、先住民族の自由で事前の及び事情を了知した上での同意なしに、又はその法、伝統及び慣習に反して奪われた先住民族の文化的、知的、宗教的及び精神的財産については、先住民族と協力して設けた、原状回復を含む、効果的な仕組みによる救済を行わなければならない。

第12条
1.先住民族は、その精神的及び宗教的な伝統、慣習及び儀式を表現し、実践し、発展させ、及び教育する権利、その宗教的及び文化的な場所を維持し、保護し及び干渉を受けることなく立ち入る権利、儀式用具の使用及び管理の権利並びにその遺体及び遺骨の返還に対する権利を有する。
2.国は、関係する先住民族と協力して設けた公正で透明かつ効果的な措置によって、国が保有する儀式用具並びにその遺体及び遺骨へのアクセス並びに/又は返還を可能にするよう努めなければならない。

第13条
1.先住民族は、その歴史、言語、口承伝統、哲学、表記方法及び文学を再活性化し、使用し、発展させ、及び未来の世代に伝達し、並びに共同体、場所及び人にその固有の名称を付し、及び継続的に使用する権利を有する。
2.国は、この権利が保障されることを確保するため、また、必要な場合には通訳の提供又はその他の適当な手段によって、先住民族が政治的、法的及び行政的手続を理解し、及びそれらの手続において理解されることを確保するため、効果的な措置をとらなければ ならない。
第14条
1.先住民族は、その文化に沿った教育及び学習の方法に適した仕方で、その固有の言語で教育を提供する教育制度及び施設を設立し、及び管理する権利を有する。
2.先住民である個人、特に子どもは、差別されることなく国のすべての段階及び形態の教育を受ける権利を有する。
3.国は、先住民族と協力して、その共同体の外で生活している者を含む、先住民である個人、 特に子どもが、可能なときには、その固有の文化及び言語で行われる教育を受ける機会を得られるようにするため、 効果的な措置をとらなければならない。

第15条
1.先住民族は、その文化、伝統、歴史及び願望の尊厳と多様性が、すべての形態の教育及び公的情報の中に適切に反映されることに対する権利を有する。
2.国は、関係する先住民族との協議及び協力に基づき、偏見と闘い、差別を撤廃し、並びに先住民族及び社会の他のすべての構成員の間の寛容、理解及び善隣関係を促進するため、効果的な措置をとらなければならない。

第16条
1.先住民族は、その固有の言語による独自の報道機関を設立し、並びにあらゆる形態の非先住民族の報道機関を差別されることなく利用する権利を有する。
2.国は、国が所有する報道機関が先住民族の文化的多様性を正しく反映することを確保するため、効果的な措置をとらなければならない。国は、十分な表現の自由の保障を損なわない限りで、民間が所有する報道機関が先住民族の文化的多様性を適切に反映するよう奨励すべきである。

第17条
1.先住民である個人及び先住民族は、適用のある労働に関する国際法及び国内法が定めるすべての権利を十分に享有する権利を有する。
2.国は、子どもに特有のぜい弱性及び自律的意思決定力をかん養するための教育の重要性を考慮しつつ、先住民族との協議及び協力に基づいて、先住民族の子どもたちを、経済的搾取、並びに危険であり、若しくは子どもの教育を阻害し、又は子どもの健康や身体的、心的、精神的、道徳的若しくは社会的な成長に有害となるおそれのある労働に従事することから保護するため、特別の措置をとらなければならない。
3.先住民である個人は、労働条件、特に雇用又は俸給についていかなる差別も受けない権利を有する。

第18条
先住民族は、その権利に影響を及ぼしうる事柄についての意思決定に、その固有の手続に従って自ら選んだ代表を通じて参加し、並びにその固有の意思決定制度を維持し、及び発展させる権利を有する。

第19条
国は、先住民族に影響を及ぼしうる立法上又は行政上の措置を決定し、及び実施する前に、当該先住民族の自由で事前の及び事情を了知した上での同意を得るため、当該先住民族と、その固有の代表機関を通じて、誠実に協議し、及び協力しなければならない。

第20条
1.先住民族は、その政治的、経済的及び社会的制度又は機関を維持し、及び発展させる権利、その生存及び発展のための固有の手段を確実に享有する権利並びにそのあらゆる伝統的活動やその他の経済的活動に自由に従事する権利を有する。
2.生存及び発展の手段を奪われた先住民族は、正当かつ公平な救済を受けることができる。

第21条
1.先住民族は、特に、教育、雇用、職業訓練及び再訓練、住居、衛生設備、健康並びに社会保障の分野を含め、その経済的及び社会的状況の改善に対する、差別されることのない権利を有する。
2.国は、先住民族の経済的及び社会的状況の継続的な改善を確保するための効果的な措置を、そして適当な場合には、特別な措置をとらなければならない。先住民である高齢者、女性、青年、子ども及び障害者の権利及び特別な必要には格別な注意が払われなければならない。

第22条
1.この宣言の実施において、先住民である高齢者、女性、青年、子ども及び障害者の権利及び特別な必要に、格別な注意が払われなければならない
2.国は、先住民族と協力して、先住民である女性及び子どもが、あらゆる形態の暴力及び差別に対する十分な保護と保障を享有することを確保するための措置をとらなければならない。

第23条
先住民族は、その発展の権利を行使するための優先順位及び戦略を決定し、及び発展させる権利を有する。特に、先住民族は、自己に影響を及ぼすすべての健康、住居並びにその他の経済的及び社会的計画を策定し、及び決定することに積極的に参加し、並びに可能な限り、その固有の機関を通じてこのような計画を実施する権利を有する。

第24条
1.先住民族は、必要不可欠な薬用植物、動物及び鉱物の保護を含め、その伝統的な医療及び健康に関する慣習を行う権利を有する。また、先住民である個人は、いかなる差別も受けることなく、すべての社会的及び保健上のサービスを利用する権利を有する。
2.先住民である個人は、到達可能な最高水準の身体的及び精神的健康を享受する平等な権利を有する。国は、この権利の十分な実現を漸進的に達成するため、必要な措置をとらなければならない。

第25条
先住民族は、自己が伝統的に所有し、又はその他の方法で占有し、若しくは使用してきた土地、領域、水域、沿岸海域及びその他の資源との独自の精神的関係を維持し、及び強化する権利並びにこの点について将来の世代に対する自己の責任を果たす権利を有する。

第26条
1.先住民族は、自己が伝統的に所有し、占有し、又はその他の方法で使用し、又は取得した土地、領域及び資源に対する権利を有する。
2.先住民族は、自己の伝統的な所有、又はその他の伝統的な占有若しくは使用に基づき保有する土地、領域及び資源並びに自己がその他の方法で取得した土地、領域及び資源を所有し、使用し、開発し、及び管理する権利を有する。
3.国は、これらの土地、領域及び資源に対して法的な承認及び保護を与えなければならない。この承認は、当該先住民族の慣習、伝統及び土地保有制度に対する十分な尊重をもって行わなければならない。

第27条
国は、関係する先住民族と協力して、伝統的に所有し、又はその他の方法で占有し、若しくは使用してきたものを含む、 先住民族の土地、領域及び資源に対する当該民族の権利を承認し及び決定するための、公正で、独立し、公平で、公開で、 かつ透明性のある手続を、先住民族の法、伝統、慣習及び土地保有制度に十分に留意しつつ、確立し、及び実施しなければならない。 先住民族は、この手続に参加する権利を有する。
第28条
1.先住民族は、自己が伝統的に所有し、又はその他の方法で占有若しくは使用してきた土地、領域及び資源で、 その自由で事前の及び事情を了知した上での同意なしに、没収され、占拠され、使用され、又は損害を受けたものについて、 原状回復を含む方法により、それが可能でない場合には正当で公平かつ衡平な補償によって、救済を受ける権利を有する。
2.関係する民族が自由に別段の合意をしない限り、補償は、同等の質、規模及び法的地位を有する土地、領域及び資源という形態、 金銭的補償又はその他の適当な救済の形態をとらなければならない。
▼この条文が特に大事。(2020.5.12)

第29条
1.先住民族は、環境並びに自己の土地又は領域及び資源の生産力の保全及び保護に対する権利を有する。国は、差別することなく、この保全及び保護のために先住民族を支援する計画を立案し、及び実施しなければならない。
2.国は、有害物質の貯蔵又は処分が、先住民族の自由で事前の及び事情を了知した上 での同意なしに、その土地又は領域で行われないことを確保するため、効果的な措置をとらなければならない。
3.国はまた、必要な場合には、先住民族の健康を監視し、維持し、及び回復させるための計画であって、有害物質の影響を受ける民族が策定し、実行するものが適切に実施されることを確保するため、効果的な措置をとらなければならない。

第30条
1.関連する公共の利益によって正当化されるとき又は関係する先住民族の自由な合意若しくはその要請に基づくときでない限り、軍事活動は、先住民族の土地又は領域で行われてはならない。
2.国は、先住民族の土地又は領域を軍事活動に使用するに先立って、適当な手続により、及び特に民族の代表機関を通じて、当該先住民族と効果的な協議を行わなければならない。

第31条
1.先住民族は、その文化財、伝統的知識及び伝統的な文化的表現並びに人間やその他の遺伝物質、種子、薬品、動植物の特性についての知識、口承伝統、文学、意匠、スポーツと伝統的競技並びに視覚的及び舞台的芸術を含む自己の科学、技術及び文化の表現を維持し、管理し、保護し、及び発展させる権利を有する。また、先住民族は、この文化財、伝統的知識及び伝統的な文化的表現に係る知的財産を維持し、管理し、保護し、及び発展させる権利を有する。
2.国は、先住民族と協力して、これらの権利の行使を承認し、及び保護するため、効果的な措置をとらなければならない。
第32条
1.先住民族は、その土地又は領域及びその他の資源の開発又は使用のための優先順位及び戦略を決定し、及び発展させる権利を有する。
2.国は、特に鉱物、水又はその他の資源の開発、利用又は採掘に関連して、 先住民族の土地又は領域及びその他の資源に影響する計画を承認する前に、先住民族の自由で事情を了知した上での同意を得るため、その代表機関を通じて、当該先住民族と誠実に協議し、及び協力しなければならない。
3.国は、このような活動に対する正当かつ公平な救済のための効果的な仕組みを設けなければならず、また、 環境的、経済的、社会的、文化的又は精神的な悪影響を軽減するため、適当な措置をとらなくてはならない。
▼二風谷判決の見直し。ダム建設の前に「先住民族の自由で事情を了知した上での同意」は得られていない。(2020.5.12)
第33条
1.先住民族は、その慣習及び伝統に従って、自己のアイデンティティ又は構成員を決定する権利を有する。これは、先住民である個人が、自己が居住する国の市民権を取得する権利を害するものではない。
2.先住民族は、自己の手続に従って、先住民族の機関の構成を決定し、及びその機関の構成員を選ぶ権利を有する。 ▼私がイメージしてきた自治州、自治区的発想とつながる条文だとおもいます。(2020.5.12)
第34条
先住民族は、人権に関する国際基準に従って、その機関の構成及びその固有の慣習、精神性、伝統、手続、慣行及び存在する場合には司法上の制度又は慣習を促進し、発展させ、及び維持する権利を有する。

第35条
先住民族は、その共同体に対する個人の責任を決定する権利を有する。

第36条
1.先住民族、特に国境によって分断された先住民族は、国境を越えて自己の構成員及び他の民族との精神的、文化的、政治的、経済的及び社会的目的のための活動を含む接触、関係及び協力を維持し、及び発展させる権利を有する。
2.国は、先住民族と協議及び協力して、これらの権利の行使を促進し、及び実施を確保するための効果的な措置をとらなければならない。

第37条
1.先住民族は、国又はその承継国と締結した条約、協定及びその他の建設的な取決めの承認、遵守及び実施に対する権利並びにそのような条約、協定及びその他の建設的な取決めを国に履行及び尊重させる権利を有する。
2.この宣言のいかなる記述も、条約、協定及びその他の建設的な取決めに含まれる先住民族の権利を縮小し、又は否定するものと解してはならない。

第38条
国は、先住民族と協議及び協力して、この宣言の目的を達成するため、立法措置を含む適当な措置を取らなければならない。

第39条
先住民族は、この宣言に含まれる権利を享有するため、国からの及び国際協力を通じた資金的及び技術的な援助を受ける権利を有する。

第40条
先住民族は、国又はその他の当事者との抗争及び紛争を解決するための正当かつ公平な手続を利用し、及びそれによる迅速な決定を受ける権利並びにその個人的及び集団的権利のあらゆる侵害に対し効果的な救済を受ける権利を有する。そのような決定は、関係する先住民族の慣習、伝統、規則及び法制度並びに国際的な人権を十分に考慮しなければならない。

第41条
国際連合の諸機関及び専門機関並びに他の政府間機関は、特に資金協力及び技術援助の実施を通じて、この宣言の規定の十分な実現に寄与しなければならない。先住民族に影響 を及ぼす問題について、その参加を確保するための方法と財源が確立されなければならない。

第42条
国際連合、先住問題常設フォーラムを含むその諸機関及び国レベルも含むその専門機関並びに国は、この宣言の規定の尊重及び十分な適用を促進し、並びにこの宣言の有効性を把握しなければならない。

第43条
この宣言により認められる権利は、世界の先住民族の生存、尊厳及び福利のための最低限度の基準を構成する。

第44条
この宣言により認められるすべての権利と自由は、男性及び女性たる先住民である個人に等しく保障される。

第45条
この宣言のいかなる記述も、先住民族が現在保有し、又は将来取得しうる権利を縮小し、又は消滅させるものと解してはならない。

第46条
1.この宣言のいかなる記述も、国、民族、集団又は個人が、国際連合憲章に反する活動に従事し、又はそのような行為を行う権利を有することを意味するものと解してはならず、また、主権独立国の領土保全や政治的統合の全部又は一部を分割し、又は害するいかなる行為も是認し、又は奨励するものと解してはならない。
2.この宣言に掲げる権利の行使に際しては、すべての人の人権と基本的自由が尊重されなければならない。 この宣言に掲げる権利の行使は、法によって定められ、かつ、人権に関する国際的な義務にしたがって課される制限にのみ服する。 この制限は差別的であってはならず、他の人の権利及び自由の十分な承認及び尊重を確保する目的並びに民主的な社会の正当で 最も重要な要請にこたえるという目的のためにのみ真に必要なものでなければならない。
▼現在の北海道社会との調整が不可欠。ここはよく考えながらアイヌモシリの具体的回復を考えていかなければならない。 (2020.5.12)
3.この宣言に含まれる条項は、正義、民主主義、人権尊重、平等、非差別、良い統治及び信義誠実の諸原則に適合するように解釈しなければならない。

【翻訳にあたって、北海道ウタリ協会による仮訳(2007年11月)及び「国際人権条約・宣言集[第3版]」(2005年・東信堂)を参照した。】翻訳 北海道大学アイヌ・先住民研究センター Ver. 2.2(2008年8月)
▼私は第28条が要だと考えています。(2020.5.10)


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12 先住民族世界会議として知られている総会のハイレベル本会議の成果文書  全40項目
A/RES/69/2 総会 配布:一般 2014年9月25日 第69会期 議事日程議題65 2014年9月22日に総会で採択された決議 〔主要委員会への付託なし(A/69/L.1)〕69/2

国連広報センター (UNIC Tokyo)
◇世界先住民会議(World Conference on Indigenous Peoples’ WCIP)、9月22日23日にニューヨークで初開催!
○その1:開催の概要
約3億7千万人と推定される先住民族たちは、世界の人口の5%以上の割合を占めています。 しかし、彼らの中には、長きにわたり土地から追い出されたままとなり、言語や伝統的な文化を否定されている人々も多くいます。 初の開催である本会議は、行動指向型の成果文書の採択を目指します。先住民族の権利実現における将来の展望と、 そのための最善のプロセスについて話し合いが行われます。
今年は、国連の指定する「第2次世界の先住民の国際の10年」(http://bit.ly/1w9Gv9N)の最終年です。 さらに、ミレニアム開発目標(#MDGs)の達成期限である2015年は来年に迫っています。
○その2:先住民族とは
先住民族は世界のもっとも不利な立場に置かれているグループの1つを構成しています。 国連はこれまでにもましてこの問題を取り上げるようになりました。
先住民族はまた「最初の住民」、部族民、アボリジニー、オートクトン(autochthon)とも呼ばれています。 現在少なくとも5,000の先住民族が存在し、住民の数は3億7,000万人を数え、5大陸の70カ国以上の国々に住んでいます。
多くの先住民族は政策決定プロセスから除外され、ぎりぎりの生活を強いられ、搾取され、社会に強制的に同化させられてきました。 また自分の権利を主張すると弾圧、拷問、殺害の対象となりました。彼らは迫害を恐れてしばしば難民となり、 時には自己のアイデンティティを隠し、言語や伝統的な慣習を捨てなければなりません。 (「先住民族」国連広報センターより) http://bit.ly/1CLvZHJ
総会は、以下の成果文書を採択する。
※成果文書は7つあります。
1 アルタ会議の成果文書。
2 先住民族の権利に関する国際連合宣言。
3 1989年の国際労働機関先住民族および種族民条約(第169号)。
4 国際人口開発会議の行動計画。
5 第4回世界女性会議報告書。
6 国際連合「保護、尊重及び救済」枠組。
7 先住民族に影響を及ぼす問題に彼らの代表の国際連合での参加を促進する方法並びに手段に関する
事務総長報告。 (10. Notes with appreciation the report of the Secretary-General on the ways and means of promoting participation at the United Nations of indigenous peoples’ representatives on issues affecting them,7) (▼2012.10.11国連総会の議事録第10パラグラフで述べられている事務総長の報告です。2020.5.13)
須賀野 チイ 受容

1.国際連合憲章の目的および原則に対する厳粛な公約を再確認しつつ、世界の先住民族との協力の精神で、 私たち、国家および政府の長、加盟国の大臣および代表は、 先住民族の権利を促進しまた保護する国際連合の重要且つ継続している役割をくり返し表明するために、 先住民族世界会議として知られている総会のハイレベル本会議に際して、2014年9月22日および23日にニューヨークの国際連合本部に参集している。

2.私たちは、2013年6月にノルウェーのアルタで開催された世界先住民族準備会議を含む、 世界会議のための先住民族の準備プロセスを歓迎する。私たちは、アルタ会議の成果文書(1 A/67/994、添付文書。)および 先住民族により行われた他の貢献に留意する。私たちは、先住民族の代表の包括的な関与を含む、 ハイレベル本会議のための包括的な準備プロセスもまた歓迎する。

3.私たちは、2007年9月13日に総会により採択された、先住民族の権利に関する国際連合宣言(2 決議61/295、添付文書。)に対する 私たちの支持および適用可能な同宣言の諸原則に従って、先住民族に影響する可能性のある立法上のまたは行政的な措置を採択および実施の前に、 彼らの自由で事前の情報に基づく合意を得るために彼ら自身の代表機関を通して関係する先住民族と 誠実に協議しまた協力するためにこの点で行った私たちの公約を再確認する。

4.私たちは、先住民族の権利を尊重し、促進しまた前進させそして少しも縮小せずまた同宣言の諸原則を支持する 私たちの厳粛な公約を再確認する。

5.同宣言に加えて、私たちは、世界の先住民族の権利と憧れの促進のための国際的な枠組を構築することにおける、 先住民族問題に関するパーマネント・フォーラムの設立、先住民族の権利に関する専門メカニズムの創設および先住民族の権利に関する 特別報告者の職務権限の制定を含む、過去20年間の他の主要な業績を想起する。私たちは、 先住民族と協力しているこれらの機関が出した勧告や助言に対して然るべき考慮を払うことを約束する。

6.私たちは、1989年の国際労働機関先住民族および種族民条約(第169号)(3 国際連合、条約集、第1650巻、No.28383.)をまだ批准または加入していない国家に対し、 批准または加入を考慮することを奨励する。私たちは、先住民族の権利を保護するための調整されたまた組織的な行動を策定する 同条約の下の批准している国家の義務を想起する。

7.私たちは、先住民族との協議および協力において、同宣言の目的を達成するためまた立法府、 司法組織およびその他の政府機関の構成員を含む、社会の全ての部門の中で同宣言の認識を促進するため、 立法上の、政策および行政措置を含む、国のレベルでの適切な措置を講じることを約束する。

8.私たちは、同宣言の目的を達成するための、国の行動計画、戦略または、関連する場合には、 他の措置を策定しそして履行するために、先住民族の代表機関を通して、彼らと協力することを約束する。
9.私たちは、障害をもつ先住民族の権利を促進することおよび保護すること並びに障害をもつ先住民族と共同して、 前述の行動計画、戦略または措置のための対象を特定した措置を策定することによるものを含む、 彼らの社会的および経済的条件を改善し続けることを約束する。私たちは、先住民族に関する国の立法、 政策および制度的構造が障害をもつ先住民族を含むことおよび彼らの権利の促進に貢献することを確保することもまた約束する。

10.私たちは、適切な場合には、資料を構成要素に分けるために、または調査を実施するために 先住民族と協働することまた状況および先住民族や個人、とりわけ高齢者、女性、若者、子ども並びに障害者の必要性に 対処するために先住民族の福祉の全体論的な指標を利用することを約束する。

11.私たちは、先住民族の文化の多様性を認識する質の高い教育および健康、住宅、水、衛生 並びに福祉を改善するための他の経済的および社会的計画に対する、活動、政策そして資源の提供を通したものを含む、 平等な利用権を確保することを約束する。私たちは、できるかぎりそのような計画を実現するため先住民族の能力を強化するつもりである。

12.私たちは、先住民族の保健の実践および彼らの伝統医療並びに知識の重要性を認識する。

13.私たちは、先住民族の個人が、到達し得る最高水準の身体的および精神的健康に対する平等な利用権を持つことを確保することを約束する。 私たちは、先住民族の個人のための適切な計画、政策および資源を通したものを含む、 予防に集中することにより、HIVおよびAIDS、マラリア、結核並びに非感染性疾患の割合を減らすためのおよび 国際人口開発会議の行動計画(4 国際人口開発会議報告書、カイロ、1994年9月5日−13日 (国際連合出版、Sales No. E.95.XIII.18)、第T章、決議1、添付文書.)、 行動のための北京プラットフォーム(5 第4回世界女性会議報告書、北京、1995年9月4日−15日(国際連合出版、 Sales No. E.96.IV.13)、第T章、決議1、添付文書U.)およびそれらの再検討会議の成果文書に従った、 性と生殖に関する健康および生殖に関する権利への彼らの利用権を確保するための努力を強めることを約束する。

14.私たちは、自らの集団の構成員と一緒に地域社会において、独自の文化を享受し、 独自の宗教を信仰しまた実践し若しくは独自の言語を使用する、あらゆる先住民族の子どもの権利を促進することを約束する。

15.私たちは、先住民族の若者に影響を及ぼす事柄における意思決定過程への完全且つ効果的な参加を含む、 彼らの権利を促進することを約束する。私たちは、先住民族と協議して、とりわけ健康、教育、能力と地位の向上および伝統的知識、 言語並びに実践の伝達の分野における先住民族の若者の福祉に目標を定めた、政策、計画および、関連する場合には、資源を策定すること、 そして彼らの権利の認識および理解を促進するための措置を講じることを約束する。

16.私たちは、先住民族の裁判機関が、裁判および紛争解決へのアクセスを提供することにおいて積極的な役割を果たすことができ また先住民族の共同体の中また社会の中の、仲の良い関係に貢献できることを認める。私たちは、 これらの機関が存在する場合には、これらとの対話を調整することおよび実施することを約束する。

17.私たちは、先住民族の女性の地位と能力の向上を支援することおよび、先住民族とりわけ先住民族の女性およびその組織と共同して、 能力構築を促進しまた指導力を強化することを予定した政策および計画を体系的に作り上げそして実施することを約束する。 私たちは、全てのレベルでまた全ての分野での意思決定過程への先住民族の女性の完全かつ効果的な参加を確実にし また政治的、経済的、社会的および文化的生活への彼女たちの参加に対する障害を取り除く措置を支援する。

18.私たちは、先住民族と協力して、先住民族および個人、とりわけ女性、子ども、若者、高齢者並びに障害者 に対するあらゆる形態の暴力および差別を、法的、政策および制度的枠組を強化することにより、 防止しそして取り除くための私たちの取組を強めることを約束する。

19.私たちは、人権理事会に対し、女性に対する暴力、その原因および結果に関する特別報告者、 先住民族の権利に関する特別報告者並びにその各々の職務権限の範囲内で他の特別手続職務権限保有者と協議して、 先住民族の女性および女児に対する暴力の原因と結果の調査を審議することを招請する。 私たちはまた、女性の地位委員会に対し、将来の会期において、先住民族の女性の地位と能力の向上の問題を審議することを招請する。

20.私たちは、先住民族の土地または領土および他の資源に影響を及ぼす何らかの事業の承認の前に 彼らの自由なまた情報に基づく合意を得るために、彼ら自身の代表機関を通して関係する先住民族と誠実に協議しまた協力するために、 先住民族の権利に関する国際連合宣言に関して、国家により為された公約を認識する。

21.私たちは、関係する先住民族と連携して、先住民族の土地と領域、資源に関する先住民族の権利を認め、 前進させまた裁定するために、公平、独立、中立で公開された透明性のある手続を、国のレベルで設立するために、 同宣言に関して、国家により為された公約もまた認識する。

22.私たちは、先住民族および地域共同体の伝統的知識、工夫および慣行が、生物多様性の保全および持続可能な利用に対して 重要な貢献をしていることを認識する。私たちは、先住民族の知識、工夫および慣行の給付においては、可能な限り、 先住民族の参加の重要性を認める。

23.私たちは、採取産業の活動に関係するものを含む、適切な危機管理を目的としたものを含む、 主要な開発事業の先住民族に対する影響または可能性のある影響に対処するため、先住民族と協働するつもりである。

24.私たちは、全ての適用可能な法および事業と人権に関する指導原則:国際連合「保護、尊重及び救済」枠組(6 A/HRC/17/31、添付文書.)を含む、 国際的な諸原則を尊重し、そして透明にまた社会的および環境的に責任あるやり方で経営する 多国籍企業やその他の企業の責任を想起する。これに関連して、私たちは、先住民族の権利の侵害を防止するため、 適切な場合には、さらなる措置を講じることを約束する。

25.私たちは、関係する先住民族と連携して、また適当と認められる場合に、先住民族の職業、伝統的な生存活動、経済、生計、 食糧の安全保障および栄養摂取を支援する政策、計画および資源を策定することを約束する。

26.私たちは、伝統的な種子供給システムを含む、伝統的な持続可能な農業実践を通して経済的、社会的および 環境的開発においてまた貸付および他の金融サービス、市場、保証された土地保有、保健医療、社会福祉事業、教育、訓練、 知識および灌漑および水の採取並びに貯蔵を含む、適切且つ入手可能な科学技術に対する利用において先住民族が 果たすことができる役割の重要性を認識する。

27.私たちは、同宣言に従って先住民族の宗教的および文化的な遺跡のまた儀式用具および遺骨に対する 立ち入り並びに返還を提供することの重要性を確認しまた認識する。私たちは、関係する先住民族と連携して、 国のまた国際的なレベルで儀式用具と遺骨のアクセスおよび返還のための公平で透明性のある効果的措置を策定することを約束する。

28.私たちは、先住民族の見解を考慮しつつ、人権理事会に対し、その既存の制度、とりわけ先住民族の権利に関する 専門メカニズムの職務権限を、同宣言の目的の達成を監視し、評価しまた改善するために加盟国をより一層支援することによるものを含んで、 専門メカニズムが同宣言に対する尊重をより効果的に促進することができるようにそれを修正しまた改善する目的で、 総会の第69会期中に、再検討することを招請する。

29.私たちは、人権条約機関に対し、その各々の職務権限に従って、同宣言を考慮することを招請する。 私たちは、加盟国に対し、これらの人権条約機関に対する報告書においてまた普遍的定期的審査過程の期間中に、 同宣言の目標を追求するために講じられた措置を含む、先住民族の権利の状況についての情報を、適切な場合には、含めることを奨励する。

30.私たちは、同宣言の目的の達成に対する貢献において国のまた地域の人権条約機関の増加している重要な役割を歓迎する。 私たちは、民間部門、市民社会および学術研究機関に対し、先住民族の権利の促進および保護において積極的な役割を果たすことを奨励する。

31.私たちは、事務総長に対し、先住民族、先住民族の問題に関する機関間支援グループおよび加盟国と協議および協力して、 同宣言の目的を達成する一貫した対処方法を確実にするシステム全体の行動計画の策定を、既存の資源の範囲内で、 始めることまた行われた進展について、経済社会理事会を通して、第70会期の総会に報告することを要請する。 私たちは、事務総長に対し、総会の第70会期の終わりまでに、既存の国際連合制度の上級官僚に、制度内の意思決定の 最高レベルへのアクセスと共に、行動計画の調整、可能な最高レベルでの先住民族の権利の意識向上および これに関連した制度の活動の統一の増加の責任を与えることを招請する。

32.私たちは、国際連合機関、基金および計画、適当と認められる場合は、それに加えて駐在調整官に対し、 より良い調整および協力を通して、国の優先事項および国際連合開発支援枠組が存在する場合には、それらに従って、 国の行動計画、戦略または同宣言の目的を達成するための他の措置の実施を、要請に基づいて、支援することを招請する。

33.私たちは、下記第40項において為された要請に対応して事務総長により行われる具体的な提案を含む、 先住民族に影響を及ぼす問題に関する関連する国際連合機関の会合に彼らの代表および機関の参加を可能にするための方法を、 総会の第70会期に審議することを約束する。

34.私たちは、政府に対し、現在および将来の世代の経済的、社会的および環境的必要性の中の 正当な均衡を達成するため、持続可能な開発の促進に対する先住民族の著しい貢献、および多くの国々や地域において 母なる大地として知られている、この惑星とその生態系を守るため自然との調和を促進する必要性を認識することを奨励する。

35.私たちは、狩猟、採取、漁業、牧畜および農業における経験を通して得られた知識を含む、 生態系管理および持続可能な開発に対する先住民族の貢献並びに彼らの科学、科学技術および文化を尊重することを約束する。

36.私たちは、私たちが気候変動の緩和および適用に対する国のまた国際的な対処方法を策定する場合、 先住民族の環境を継続する彼らの知識および戦略が、尊重されまた考慮されるべきことを確認する。

37.私たちは、先住民族が開発に対する彼らの権利を行使するための優先事項および戦略を決定しまた策定する権利を有していることに留意する。 これに関連して、私たちは、ポスト2015開発アジェンダの推敲において先住民族の全ての権利に然るべき考慮を払うことを約束する。

38.私たちは、世界中の先住民族の権利を尊重しまた促進する手段として国際連合先住民族自発的基金、先住民族問題に関する信託基金、 先住民族支援ファシリティおよび国際連合先住民族パートナーシップに対して貢献することを加盟国に招請し また民間部門並びに他の機関に強く奨励する。

39.私たちは、事務総長に対し、ミレニアム開発目標の達成に関する彼の最終報告書に先住民族に関する関連情報を含めることを要請する。

40.私たちは、事務総長に対し、先住民族の問題に関する機関間支援グループおよび加盟国と協議して、 先住民族により表明された見解を考慮しつつ、この成果文書の実施について総会の第70会期に報告すること および先住民族の権利に関する国際連合宣言の目的を達成する既存の国際連合制度の利用、修正および改善の方法に関する勧告、 同宣言の目的を達成することに対する一貫した、制度全体の対処方法を高めるための方法および 先住民族に影響を及ぼす問題に彼らの代表の国際連合での参加を促進する方法並びに手段に関する 事務総長報告書( 7 )に基礎を置いた、先住民族の代表および機関の参加を可能にするための具体的提案を、 経済社会理事会を通して、同会期に提出することを要請する。

第4回本会議 2014年9月22日


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