海外の先住民族
オーストラリア
カナダ アメリカ アイヌモシリ回復に向けて
エドワード・コイキ・マボ(Edward Koiki Mabo)1936年6月29日〜1992年
1月21日(拡大)
|
真っ先にオーストラリアの「マボ判決」を取り上げるのは「無主の土地」
の考え方がこの判決によって崩されたからです。明治政府により北海
道は「無主の土地」としてアイヌ民族から収奪されました。その前提
がこの判決で覆りました。先住権原(Native title)が基本概念です。
これからマボ判決を勉強していきます。
マボさんの写真はhttps://aiatsis.gov.au/explore/eddie-koiki-maboより。
以下はオーストラリア先住民およびトレス海峡諸島民研究所 (Australian Institute of Aboriginal and Torres Strait Islander Studies
AIATSIS アイアトシス)の資料に依拠します。
オーストラリア先住民およびトレス海峡諸島民研究所 (AIATSIS) は、先住民が主導する国立研究所であり、あらゆる階層の人々がオーストラリアの先住民の知識、遺産、文化に触れることができるよう、啓発、教育、啓発活動を行っています。
AIATSISは、2013年の公共統治、業績および説明責任法に基づいて設立されたオーストラリア政府の法定機関です。
2024年現在、首相府の管轄下にあり、先住民オーストラリア人担当大臣のリンダ・バーニー氏が担当大臣を務めています。
▲日本もゆくゆくこのような機関が必要になってくるでしょう。
アイアトシスはホームページhttps://aiatsis.gov.au/explore/mabo-caseでマボ判決を次のように要約しています。
この事件の法的手続きは、1982年5月20日に始まった。
エディ・マボ氏とメリアムの人々が提出した訴訟は、メリアムの慣習と法律が彼らの伝統的な所有権制度の基礎であり、
土地に関する彼らの伝統的な権利と義務の根拠となっていることを証明しました。
1992年6月3日、高等裁判所の判事7人のうち6人がこの主張を支持し、ヨーロッパ人が入植した時点でこの大陸の土地は「無主地」、つまり「誰にも属さない土地」ではなかったとし、メリアム族は「全世界に対して、マレー諸島の土地(の大部分)を所有、占拠、使用、享受する権利がある」との判決を下した。
・マボ事件は、オーストラリアにおける重要な訴訟であり、トレス海峡のマレー諸島(メール島、ダウアー島、ワイアー島を含む)の伝統的所有者であるメリアム族の土地の権利を認めた。
・マボ事件は、植民地化当時オーストラリアは「無主地」、つまり誰にも属さない土地であったという神話を覆すことに成功した。
・高等裁判所は、先住民が何千年もの間オーストラリアに住み、独自の法律と慣習に従って土地の権利を享受してきたという事実を認めた。12か月後、1993年先住民権法(連邦法)が可決された。
・この訴訟を起こしたメリアムの5人は、エディ・コイキ・マボ、デイビッド・パッシ牧師、 サム・パッシ、ジェームズ・ライス、
そしてメリアムの女性1人、セルイア・マポ・セールでした。エディ・コイキ・マボが最初の原告として指名され、
この訴訟はマボ事件として知られるようになりました。
オーストラリア民主主義博物館のホームページ
https://www.foundingdocs.gov.au/item-did-33.htmlより
(拡大)
|
ジェラルド・ブレナン判事の署名入りの判決文のこれらのページは、
この長い判決文だけでなく、この事件を共同で裁定した高等法院の
7人の判事のうち6人の多数決判決からなる重要な文書集を表して
います。
多数派の判決全文は、オーストラリアの主要な憲法文書の中で最大
であり、おそらく見た目も最も簡潔です。マボ事件の 6つの判決は
数百ページに及びますが、ここではそのうちの 3 ページのみを示し
ます。判決全文はオンラインでご覧いただけます。
▲判決文の結論の128パラグラフのみ取り上げます。
https://aiatsis.gov.au/sites/default/files/research_pub/overturning-the-doctrine-of-terra-nullius_0_3.pdf
▲上記HPの中のMabo and others v. Queensland (No. 2) [1992] HCA 23; (1992) 175 CLR 1 F.C. 92/014 (3 June 1992)をクリックすると判決文が英語と日本語で読めます。判決がブレナン判事の提案に沿ったものであることが4.で明示されています。128.が判決の結論です。
英文のthe Crownは王室と訳されていますがオーストラリア政府のことです。
4. 裁判所が下す正式命令は、ブレナン判事が提案した宣言に沿ったものである。
128. この訴訟は、非常に重要な問題を提起しているが、それらの問題に対して与えることのできる回答は、
必然的に、メリアム族の伝統的な権利の特定の側面を扱うというよりは、一般的な言葉で語られることになる。
これは、原告の請求の策定方法を批判するものではなく、単に、宣言的救済の請求が一般的な言葉で語られていることを認めているにすぎない。
申し立てられた請求の一般的な性質と、この判決の根拠となる理由に従って、私は次の言葉で宣言する。
1. マレー諸島がクイーンズランド州に併合された時点で、これらの島々のすべての土地の根本的な所有権はクイーンズランド州の王室(the Crown)に帰属する。
2. マレー諸島に対するメリアム族の伝統的な所有権、すなわち島の所有、占有、使用および享受の権利は、クイーンズランド州への併合後も存続し 、クイーンズランド州法の下で保持される。
3. メリアム族の島の土地に対する伝統的な所有権は、その後の立法または行政行為によって消滅しておらず、島の伝統的な所有権保有者に補償または損害賠償 を支払わない限り消滅することはない。
4. マレー諸島の土地は 、1962 年土地法 (Q.) の第 5 条に定義されている 王室の土地ではない。
▲この論理はそっくり、そのままアイヌモシリ回復に使えそうです。特に2項。
「島の所有、占有、使用および享受の権利は、クイーンズランド州への併合後も存続し、クイーンズランド州法の下で保持される。」を「アイヌモシリの所有、占有、使用および享受の権利は、明治2年の日本国への併合後も存続し、日本国法の下で保持される。」となります。
さらにtitleとrightの違いを理解するために英文がどうなっているのか調べました。英文は結論の部分だけ引用します。
128.
1. Upon the annexation of the Murray Islands to Queensland,
the radical title to all the land in those islands vested in the Crown in right of Queensland.
2.
The traditional title of the Meriam people to the Murray Islands, being their rights to possession, occupation, use and enjoyment of the Islands, survived annexation of the Islands to Queensland and is preserved under the law of Queensland.
3.
The traditional title of the Meriam people to the land in the Islands has not been extinguished by subsequent legislation or executive act and may not be extinguished without the payment of compensation or damages to the traditional titleholders of the Islands.
4.
The land in the Murray Islands is not Crown land within the meaning of that term in
s.5 of the Land Act 1962 (Q.)(太字は引用者)
4.のs.5 of the Land Act 1962 (Q.)が気になりました:
https://classic.austlii.edu.au/au/legis/qld/hist_act/lao1962n4294/で調べます。
第5条(用語の定義)
(拡大)
|
クイーンズランド土地法
(拡大)
|
“ Crown land ” All land in Queensland, except land which is, for the time being
1962年のクイーンズランド土地法の第5条(用語の定義)ではクイーンズランドのすべての土地は、クラウンによって認められた一部の土地を除いてクラウンの土地となっていますが1992年のマボ判決はマレー諸島の土地は
not Crown landクラウンの土地でない、となりました。
一部の土地を訳出しておきます。
(a) 手数料で付与されることを契約したもの。
(b) 公共の目的のために専用されている。
(c) 占有ライセンスの下で保持されているもの。
マボ判決を受けて翌年先住民権法(連邦法)が制定されています。
1993年先住民権法(連邦法)を調べます。
https://compliance.une.edu.au/directory/summary.php?legislation=780
ニューイングランド大学
Native Title Act 1993 (Cth) - Level 2
Native title is the recognition in Australian law, under common law and the Native Title Act 1993 (Cth),
of Indigenous Australians' rights and interests in land and waters according to their own traditional laws and customs.
Unlike freehold titles or leases, native title is not a grant or a right that is created by governments.
Native title may be recognised in placeswhere Indigenous people continue to follow their traditional laws and customs and
have maintained a link with their traditional country.
【日本語訳】
先住権(Native title)とは、オーストラリアの慣習法および 1993 年先住権法 (Cth)(the Native Title Act 1993 (Cth)),
に基づき、オーストラリア先住民の土地と水域に対する権利と利益を、先住民自身の伝統的な法律と慣習に従ってオーストラリア国内で認めるものです。
自由保有権やリースとは異なり、先住権は政府によって付与または付与される権利ではありません。
先住権は、先住民が伝統的な法律と慣習に従い続け、伝統的な国とのつながりを維持している場所で認められる場合があります。
▲
先住権は政府によって付与または付与される権利ではありません、の意味は重いです。政府以前に存在しているとの表明です。
そもそも国が認めるものではない、との認識は重要です。ブックレット79頁で再確認。裁判所も確認をするだけのものの意味です。
CthはCommonwealthでコモンウエルス・連邦の略です。
▲NATIVE TITLE ACT 1993全体をきっちり勉強すること。
ニューイングランド大学
Native titleをより具体的に理解する為に池田光穂さんの「英語:ウィキペディア」も勉強しました。
https://navymule9.sakura.ne.jp/Native_title_Australia.html
「Native title in Australia includes rights and interests relating to land and waters held
by Indigenous Australians under traditional laws and customs, and recognized in accordance with the Native Title Act 1993 (Cth).[2] 」
Native titleはrights and interests relating to land and watersを含む広い概念。
この考え方は、アイヌモシリ回復の先住権原(native title)の確認訴訟で使えそうです。
さらに角田猛之教授による下記論文中の近代法批判は重要で的確だと思います。この見解は「MIP回復運動」の指針になります。
file:///C:/Users/osc-hp/Downloads/KU-1100-20190301-09%20(3).pdf 関法 第68巻第6号
ジェイムズ・アナヤ 「 先住民族の権利に関する特別報告者報告 ――アジアの先住民族の状況に関する協議 」 角田猛之
235頁〜236頁*近代的な私的土地所有と先住民族の集団的な土地の利用:
「部族や氏族社会を基盤とする先住民族にとって、自分たちの共同の生活基盤でありまたさまざ
な宗教的、伝統的な儀式などを行う土地や山、海、湖、河川などは、生活の糧としての狩猟採取や漁労といった日常活動や生活の場である。
またさらに、先祖代々にわたって継承してきた聖地あるいは神聖なる山々、聖なる湖、河川……として、自然宗教としての信仰の対象でもある。
そのような伝統的で集団的な慣習のもとづく利用とそれらの土地との世俗的、宗教的なつながりを通じて、
彼/彼女らは それらの土地を長年にわたって保持し、維持してきたのである。
したがって、西洋起源の個人に帰属する近代的な私的土地所有権の観念や、ましてや所有権の登記制度
――近代法においては登記することによっていわゆる公信力と対抗力が生じる――などは存在しないのは当然である。
つまり、近代的な土地所有の観念と先住民族の伝統的で集団的な土地利用の観念のずれである。
そしてそのズレのゆえに、とりわけ19世紀以降の帝国主義=植民地主義の時代においては、西洋基準の所有権観念にもとづいて、
先住民族が伝統的に使用し、利用してきた慣習地などは、 先住民族が「居住」してはいるが「所有」していない、つまり所有者が存在しない無主地とされた。
その結果、先住民族の伝統的な慣習地は、侵略もしくは植民地化のプロセスにおいて西洋の侵略者や植民者によって徹底的に収奪されたのである。
そしてこのような無主地の観念を否定した画期的な判決が、オーストラリアの最高裁によって1992年に出され、オーストラリアを変えた判決といわれているマボ判決(Mabo v Queensland)である。
この事件において、オーストラリアの先住民族たるメリアム族の一員 たるエディ・マボ(Eddie Koiki Mabo)ら3名が、クイーンズランド州政府を相手取って保留地に対する先住民族の権利を主張した。
そして連邦最高裁は世界ではじめて、先住民族がこれらの土地に対して先住権原を有していることを認めたのである。
この判決では、「アボリジニ、トレス諸島民[274の小島からなるサンゴ礁のオーストラリア領の島々]はもともとの土地所有者であり、先住者としての土地に対する権利(native title)は白人の入植によって否定されない」と明言している。
そしてこの判決にもとづいて連邦政府は1993年に、慣習地等の返還もしくは補償に関する先住民権原法(Native Title Act)を制定した。
この法律によって、慣習地との先祖代々にわたる関係性を明らかにした場合には、その慣習地の返還もしくは補償がなされねばならないことが規定されたのである。
そしてこの法律において「先住権原」は、「慣習法あるいは慣習にもとづき保持され、オーストラリアのコモン・ロー[判例法]によって承認される土地あるいは水面に対する先住民族の共同体的、集団的あるいは個人的な権利と利益」(先住権原法223条1項?)と定義されている。」
▲よく理解できます。概念が正確です。論文との出会いに感謝。
先住権原法223条1項(a)を確認します。223条はNative titleについての定義です。
http://www8.austlii.edu.au/cgi-bin/viewdoc/au/legis/cth/consol_act/nta1993147/s223.html
NATIVE TITLE ACT 1993 - SECT 223 Native title
Common law rights and interests
(1) The expression native title or native title rights and interests means the communal, group or individual rights and interests of Aboriginal peoples or Torres Strait Islanders in relation to land or waters, where:
(a) the rights and interests are possessed under the traditional laws acknowledged, and the traditional customs observed, by the Aboriginal peoples or Torres Strait Islanders; and
(b) the Aboriginal peoples or Torres Strait Islanders, by those laws and customs, have a connection with the land or waters; and
(c) the rights and interests are recognised by the common law of Australia.
Hunting, gathering and fishing covered
(2) Without limiting subsection (1), rights and interests in that subsection includes hunting, gathering, or fishing, rights and interests.
【日本語訳】
1993年先住民権法 - 第223条 先住民権
コモンロー上の権利と利益
(1) 「先住権」または「先住権の権利および利益」という表現は、以下の場合に、土地または水域に関する先住民またはトレス海峡諸島民の共同体、グループ、
または個人の権利および利益を意味します。
(ア) 当該権利および利益は、先住民族またはトレス海峡諸島民によって認められた伝統的な法律および遵守された伝統的な慣習に基づいて保有されている。
(ロ) アボリジニの人々やトレス海峡諸島民は、それらの法律や慣習によって、土地や水域とのつながりを持っている。
(ハ) 権利と利益はオーストラリアの慣習法によって認められています。
狩猟、採集、漁業がカバーされている
(2)(1)の規定を制限することなく、同項に規定する権利および利益には 、狩猟、採集、漁業の権利および利益が含まれる。
▲マボ判決、マボ法でアイヌモシリの回復が可能になると確信しました。
(拡大)
|
マボのマレー島の面積は4.29平方キロメートル。2016年の国勢調査では、マレー島の人口は453人でした。
この小さな島の出来事がオーストラリアを動かしたのです。
カナダ
裁判について
これまでの知識でカナダでは先住民の権利に関わる判決が幾つかあることを知っていました。
そしてカナダ新憲法でも触れられているということも。
オーストラリアのマボ判決が1992年ですが、それより20年前の1973年にAboriginal title(先住民の権原)を扱ったニシュガア判決があることは知りませんでした。
カナダ先住民の判決の流れは次のようになっていました。
1973年 ニシュガア判決
1982年 新憲法25条、35条
1990年 スパロー判決
1992年 マボ判決
1997年 デルガムーク判決
2000年 ニシュガア最終合意:ニシュガア民族、連邦政府、BC州政府
2014年 チルコットイン判決
2014年チルコットイン判決
(拡大)
|
1997年デルガムーク判決
(拡大)
|
1973年ニシュガア判決

(拡大)
|
1973年ニシュガア判決
フランク・カルダー

(拡大)
|
https://indigenousfoundations.arts.ubc.ca/calder_case/
先住民財団ブリティッシュ コロンビア大学
https://indigenousfoundations.arts.ubc.ca/calder_case/
カルダー対ブリティッシュコロンビア司法長官事件 判決文
https://www.nisgaanation.ca/
Nisga'a Lisims Governmentニシュガア政府
https://www.nisgaanation.ca/maps-3
ニシュガア地図
https://bcanuntoldhistory.knowledge.ca/1970/the-calder-case
下記記述
「知られざる歴史」より。
1967 年、フランク・カルダーが、州政府を訴えました。
カルダーは、
他のニスガ族の長老数名とともに、ニスガ族がナス渓谷周辺の土地を
正式に放棄したことはないと主張しました。
【判決文から】
訴状のパラグラフ 19、20、および 21 で控訴人が次のように主張していることが注目されます。
19. 当該領土のいかなる部分もイギリスまたは連合王国に譲渡または購入されたことはなく、また、
当該領土のいかなる部分もブリティッシュコロンビア植民地に譲渡または購入されたことはない。
20. 当該領土のいかなる部分もブリティッシュコロンビア州の権利に基づいて王室に譲渡または購入されておらず、
また、当該ニシュガ族または原告らから購入されたものではない。
▲「売った覚えも、貸した覚えもありません」アイヌ民族萱野茂さんの主張に似
ています。
この訴訟は、先住民が太古の昔から住んでいる領土のために戦った初
めてのケースではありません。
ニスガ族の指導者は、
1881 年にはすでに、ブリティッシュ コロンビア州が彼らの土地の権利主張を無視する決定を下したことに
対して正式に抗議していましたが、成功しませんでした。
▲アイヌ民族はアイヌモシリを奪われたことに正式に抗議してきたか。訴訟を提起してきたか。
1969年、BC州最高裁判所は訴訟を棄却した。カルダーは、著名な弁護士で法学者のトーマス・バーガーとともに、BC州控訴裁判所に控訴したが、訴訟は再び棄却された。
しかし、20年間にわたり先住民族の土地のために闘ってきたカルダーは、訴訟が 自分たちの土地の権利を危うくするのではないかと恐れたBC州の多くの先住民族の反対にもかかわらず、諦めなかった。
1971年、ニスガ族は、カナダ最高裁判所に対し、約 1万2000平方キロメートル(120万ha)の未割譲地(新しい団体に正式に引き渡されていない領土)
に対する所有権を認めるよう求めた。
1973 年 1 月 31 日、最高裁判所判事 7 名が画期的な判決を下した。ニスガ族の土地に対する主張は 4 対 3 で棄却された。
敗訴ではあったが、
しかし、
カナダの法制度は、その歴史上初めて、先住民の土地所有権の存在を認めた。
判事 7 名のうち 6 名が、先住民の所有権は土地の「歴史的占拠と所有」に由来することに同意した。
(For the first time in its history, the Canadian legal system acknowledged the existence of Indigenous title to land. Six out of seven judges agreed that Aboriginal title derived from the "historic occupation and possession" of the land.)
それだけでなく、3 名は、ニスガ族の先祖伝来の領土に対する所有権を消滅させた政府はないことに同意した。
3 名の判事はこれに同意せず、残りの判事は技術的な理由で訴訟を棄却した。
▲実質勝訴。国立マンション問題の仮処分、高裁江見決定に似る。あの時形は負けたが、勝ったと報告集会を開いた。それと同じ。
「先住民財団ブリティッシュ コロンビア大学」の解説から:
画期的な訴訟であるカルダー判決は、カナダ全土、さらにはオーストラリアやニュージーランドなど国際的に、
現代の先住民の土地請求において今も引用されている。
マボ判決の
45パラグラフ
領土は主権または帝国の権利の対象であり、
財産は所有権または領有権の対象です。
▲1996年の吉川仁「アイヌ民族の土地権に関する序論的考察」(論文8頁)の問題提起を思い出します。
オコンネル教授は、著書「国際法(76)第2版(1970年)」378ページで、
ホール判事が
カルダー対ブリティッシュコロンビア州司法長官(1973年)SCR.313の404-405ページ、
(1973年)34 DLR(3d)145の210ページで引用しているように、国家行為による領土の取得と既得権の廃止の違いを指摘している。
▲1967年から1973年までの6年間の裁判。
先住民の所有権(Indigenous title 、Aboriginal title…正確には先住民の所有権ではなく先住民の権原だと思います。)
は歴史的占拠と所有に由来することのカナダ最高裁判所による承認はわれわれの「MIP回復訴訟」で大いに参考になります。
ニシュガア政府についてもう少し勉強します。
政庁舎
(拡大)
|
政府
(拡大)
|
鮭の民
(拡大)
|
経済
(拡大)
|
文化
(拡大)
|
1997年デルガムーク判決
デルガムーク対ブリティッシュコロンビア州の判決は1997年12月11日に言い渡され、カナダの裁判所における条約上の権利の解釈方法の判例となり、
先住民の口頭証言の承認が確認された。
上告者らは、ギトクサン族またはウェツウェテン族の世襲酋長
https://www.wetsuweten.net/departments/administration-and-finance/
ウェツウェテン族政府
https://www.thecanadianencyclopedia.ca/en/article/gitksan
ギトクサン族
ギトクサン政府
https://gitxsan.ca/
33,000 km2 2021 census, 4,950 people
ギトクサン族は現在、ブリティッシュコロンビア条約プロセスの第 4 段階にあります。このプロセスは全部で 6 つの段階に分かれており、
最終目標は自治、通貨および土地資源、先住民族の権利と領土所有権の承認です
ギトクサン トーテムポール
(拡大)
|
ギトクサン 景色
(拡大)
|
ギトクサン 山
(拡大)
|
ギトクサン 川
(拡大)
|
ギトクサン 建物
(拡大)
|
ギトクサン デモ
(拡大)
|
ウェツウェテン族
ウェツウェテン
https://www.wetsuweten.net/
国章
(拡大)
|
バーンレイク
(拡大)
|
街全景
(拡大)
|
デイケアセンター
(拡大)
|
▲先住民はすばらしい景色の場所を選らんで住んでいた。
ニスガ語5495人 チルコットイン2805人 ギトクサン5675人 2016年カナダ統計局
先住民人口プロファイル、2016 年国勢調査
デルガムーク判決は、ギトクサン族とウェツウェテン族の指導者らが1984年にブリティッシュコロンビア州北西部の5万8000平方キロメートルの
土地と水域に対する管轄権を確立するために州政府を訴えた訴訟に端を発している。
1991年、ブリティッシュコロンビア州最高裁判所は、先住民が土地に対して有していたあらゆる権利は、
1871年にブリティッシュコロンビア州がカナダの一部となった時点で法的に消滅したとの判決を下しました。
先住民は控訴し、最終的にこの訴訟はカナダ最高裁判所に持ち込まれ、最高裁判所は条約上の権利は消滅できないと判断し、
口頭証言は他の証拠と同様に正当であると確認し、先住民の所有権には土地だけでなく、土地から資源を抽出する権利も含まれると述べました。(Indigenous
title rights include not only land, but the right to extract resources from the land.)
この事件は、ブリティッシュコロンビア州の未処理の土地に対する先住民の所有権の存在をさらに確立した2014年のティシュコティン判決など、
将来の裁判所の判決に影響を与える要因として広く引用されている。
▲デルガムーク判決の122パラグラフが重要なパラグラフです。日本語訳のみならず英文でも確認しておきます。
http://sisis.nativeweb.org/clark/97delrul.html
Delgamuukw v. British Columbiaデルガムーク判決
122.先住民の権利の内容は、先住民の独特の文化に不可欠な慣習、習慣、
伝統に限定されないという主張の 3 番目の根拠は、インディアン
石油ガス法である。…Guerin の判決に基づき、先住民の権利には
鉱業権も含まれ、先住民の権利に基づいて保有される土地は、同じ方法で開発できるはずであり、
これは確かにそれらの土地の伝統的な使用法ではない。
122 The third source for the proposition that the content of aboriginal title is not restricted to practices,
customs and traditions which are integral to distinctive aboriginal cultures is the Indian Oil and Gas Act.
…On the basis of Guerin, aboriginal title also encompass mineral rights, and lands held pursuant to aboriginal title
should be capable of exploitation in the same way, which is certainly not a traditional use for those lands.
▲先住民の権利に鉱業権も含まれるという新しい見解を出すのに判決は次の作業をしています。
まず114パラグラフです。
(1989年のRoberts v. Canadaで) 同裁判所は 340 頁で、全員一致で「先住民権(aboriginal
title)はイギリスによる植民地化以前に遡り、イギリスの主権主張後も存続した」と判決した
(Guerinの 378 頁も参照)。これが示唆するのは、先住民権(aboriginal title)の第二の源泉、
つまり慣習法と先住民法の既存システムとの関係(the relationship between common law and
pre-existing systems of aboriginal law)である。
そして115パラグラフでその答えを出しています。
115 先住民所有権のさらなる側面は、それが共同体によって保持されるという事実である。
先住民所有権は個々の先住民が保持することはできず、先住民国家のすべての構成員が保持する土地に対する集団的権利である。
その土地に関する決定もその共同体によって行われる。これは先住民所有権のもう 1 つの特徴であり、独自のものであり、
通常の財産権とは区別される。
▲先住民所有権のさらなる側面は、それが共同体によって保持されるという事実である。…土地に対する集団的権利である、と。
近代法が避けてきた集団的権利の承認です。これは今後日本の裁判でも争点になると思われます。
さらに判決は先住民権の内容について117パラグラフと118パラグラフのあいだに、大事な命題としてわざわざ下線を引いてつぎのように記述しています。
先住民のtitleには、そのtitleに基づいて保有されている土地をさまざまな目的で使用するrightが含まれており、
その使用目的は、先住民の独特の文化に不可欠な先住民の慣習、文化、伝統の側面である必要はありません。
そして122パラグラフで先住民の権利(aboriginal title)には鉱業権も含まれ、先住民の権利(aboriginal title)に基づいて保有される土地は、
同じ方法で開発できるはずであり、これは確かにそれらの土地の伝統的な使用法ではない、と結論づけています。
ここでtitleとrightの用語の使い分けを「WEBSTER’S NEW WORLD DICTIONARY」で確認しておきます。
title:evidence of such right to ownership
right: that belongs to a person by law, nature, or tradition
titleとrightの関係は、rightの根拠となるevidenceがtitleということになります。
▲ならばtitleにアイヌのイオルが入りそうです。アイヌモシリの回復に北海道のアイヌ語の地名とイオルの存在の証明から入っていきましょう。
因みにAboriginalはオーストライアの先住民だけに使われる英語ではなくすべての先住民について使われます。念のために。
2014年 チルコットイン判決
川の人々
(拡大)
|
領土は川の両岸
(拡大)
|
https://www.cbc.ca/news/indigenous/first-nations-ecstatic-over-historic-supreme-court-ruling-1.2688509
CBC News
先住民族、最高裁の歴史的な判決に「大喜び」
カナダ全土の先住民が最高裁の判決におけるチルコティン・ファースト・ネーションの勝利を祝う
コニー・ウォーカー ・ CBCニュース・ 投稿日: 2014 年 6 月 26 日 午後 4:32 (東部標準時) | 最終更新日: 2014 年 6 月 27 日
チリコティン・ファースト・ネーションの首長ロジャー・ウィリアムは、カナダ最高裁判所の本日の判決に反応した。
最高裁判所は、チリコティン・ファースト・ネーションが伝統的領土とみなす広大な土地に対する先住民族の権利を認めた。(ボブ・チェンバレン首長/Twitter)
https://www.cbc.ca/news/politics/tsilhqot-in-first-nation-granted-b-c-title-claim-in-supreme-court-ruling-1.2688332
CBC News
チルコットイン酋長
(拡大)
|
これは先住民族にとって大きな勝利として歓迎されており、カナダ全土の先住民族は、ブリティッシュコロンビア州の1,700平方キロメートルを超える
土地の所有権をチリコティン先住民族に付与した本日のカナダ最高裁判所の判決を祝っている。
「この決定は、私が関わった決定の中でも、非常に大きく、最も重要
な決定だ」と、チルコティン・ファースト・ネーションの首長ロジャー・ウィリアム氏は語った。
チルコットイン市長
https://www.williamslake.ca/218/Mayor-Council(拡大)
|
チルコットイン街
https://www.williamslake.ca/218/Mayor-Council(拡大)
|
この訴訟は、ブリティッシュコロンビア州内陸部のウィリアムズ湖の南と西にある44万ヘクタール(4,400平方キロメートル)の土地に対する先住民の所有権を主張する、
チルコティン・ファースト・ネーションズに焦点を当てたものでした。
▲4,400平方キロメートルの内1,700平方キロメートル、つまり4割の勝利。さらに残りも。
ブリティッシュコロンビア州インディアン酋長連合会長の
チルコットイン大酋長
(拡大)
|
スチュワート・フィリップ酋長
「たった150年しかかからなかったが、我々はより明るい未来を期待している」
本日の判決が将来のパイプラインにどのような影響を与えるかは不明だが、ある専門家は、この判決はエンブリッジ社のパイプラインと法廷で争う先住民族
によって利用される可能性が高いと述べた。
▲チルコットインの政府、つくっていきたいアイヌモシリの姿。自治の大地。アイヌ自治政府の創設。釧路湿原に。2024.9.6
釧路湿原にアイヌ自治政府を
(拡大)
|
所有主体別面積円グラフ
(拡大)
所有主体別面積
(拡大)
|
アメリカ
ブラックヒルズ
涙の道
https://www.fivecivilizedtribes.org/Cherokee.html
開化五部族の紋章
開化五部族の紋章
(拡大)
|
https://www.fivecivilizedtribes.org/Chapter-One.html
部族間評議会の形成
▲開化五部族が部族間評議会を形成して以降の取り組みが概説されています。第6章セクション3: 土地の集落で墓地、遺骨の問題が取り上げられています。
歴史
Chapter One第1章
s1: 部族間評議会の形成
s2: インディアン保健サービス (IHS)
s3: 住宅都市開発 (HUD)
s4: 経済
|
Chapter Two:第2章
s1: 教育
s2: 水利権
s3:土地の権利
|